YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

ほめる文化の功罪

2015-01-05 00:23:50 | 教育
アメリカ流のほめて育てるやり方は、大半の子供たちにとっては、叱って育てるよりは効果が高いと思う。

豚もおだてりゃ木に登るで、能力以上の結果が出る事がある。しかし、キチンと叱られた事がないと、人としてのバランスが悪くなり、大人になって厳しい状況に置かれると言い訳ばかりのになる可能性が高い。特に、頭が良く、成績も良く、素行も良い子はスポイルされること間違い無しだ。

この様なひ弱な輩が、政治の世界に入ったりすると大変なことになる。結果とか、効率とかではなく、言葉で捏ね回すだけの仕事をするのだ。特に、リベラルのイディオロギーに毒されていると目も当てられない。オバマ政権に群がったのはこんな輩ばかりだ。

学校を出て、政府機関とかで働いたりして、オバマ政権で実力以上のポジションを得たのは良いが、空虚な発言を繰り返すだけだ。典型的な例がこの人。(てんぱった顔 (9-7-2014))

最近の大学教育はこの手の輩を大量生産しているが、オバマ政権が終わると過剰になるだろう。高学歴リベラルの食い詰め浪人の大量発生だ。この人たちは、そうなったら、そうなったで、コミュニティーオーガナイザーとかインテリ穀潰しになるのだ。

親の圧倒的な権限で、子供を厳しく叱る事は絶対に必要だ。(私は、体罰について、特に男の子へは、肯定的である)子供は5歳頃までは、ある意味動物と同じだと思う。

一番肝心なのはバランスであり、現代で子供に厳しく接せるのは親しかいないので、重要な役割として感情的にならずにやるしかないと覚悟している。

褒めてばかりの育て方は、甘いばかりの料理の様なものだ。ほんの少し塩味が無ければ料理は耐えれないものになる。子育てもそんなものではないか。

教育論は難しい。我が家でも意見が一致しているわけではないし、私が叱った事が、トラウマになる可能性だってある(娘は怒られたとしか思っていない様子)。でも、頭の良さを無駄遣いしている可哀想な人々を見ると、親の教育が透けて見える気がしてならない。

Even answer that seems wrong can be right as kids focus on the why, not just the what

2012-10-20 20:37:47 | 教育
Detroit Free Press という地元の新聞に掲載された教育関係の記事です。

"Even answer that seems wrong can be right as kids focus on the why, not just the what"

おおらかなアメリカならでは、です。何か勘違いしている所は父親譲りかも。(あくまでもポジティブな意味合いでですが)将来が楽しみ(心配?)です。


現在の担任が教育熱心で、今年から新しくなったカリキュラムの取材で、たまたま取り上げられたようです。


Single-Sex Education, 共学と男子校、女子校

2012-10-18 09:02:38 | 教育
アメリカにいて今でも時々びっくりするのは、平等の名のもとにメチャクチャな事をごり押しするのに出会う事である。(こんな事をするのは基本的にリベラルである)

男女同権ということには異存はないのだが、だからといって基本的(生物学的?)に違う男と女を同じ様に扱うという発想は全く理解不能である。

現在、アメリカのいくつかの州で公立の男子校、女子校を廃止して、全て共学にする動きがあるらしい。男子校、女子高は差別的で違法だとのたまう大馬鹿がいるらしい。

10年ほど前にフロリダ州で、クラスサイズや生徒の成績等を出来るだけ同じレベルにして、共学と男子校、女子校での学習効果を比較する厳密な調査があり、共学よりも男子校、女子高の方が成績が良くなる結果が出ている。特に数学と科学に関して、女子校の成績が著しく改善した。

男子校において、男子学生は女子を意識しかっこつけることをしなくなり、読解などの地味な科目の成績が上がる傾向があるらしい。(自分が男であるからこの現象は良く分かる。やっぱり男はバカだねー)女子高の女子は、数学、科学で男子を意識せず、より多くの質問が出来る環境になるらしい。(小学生の娘二人に算数を教える経験からも、女子の算数の理解の仕方が違うのがよく分かるので、これも納得)

間違いえてはいけないのは、男子校、女子高の方が全ての生徒にとって良い方向になるといっているのではなく、生徒に選択の余地がある事がより良い教育機会を与える事になるということである。

リベラルは学校の勉強が良く出来る人たちが多いので、こういうことに無頓着で、平等といえばなんでも通ると思っているのだろう。

シカゴ市、公立学校区教員組合のストライキ

2012-09-10 22:12:09 | 教育
シカゴ市の公立学校区教員組合が、今週月曜日からストライキをしてる。ストライキとなるのは25年振りとのこと。シカゴ市の学校区は全米3番目の規模で、教員数は2万6千人、生徒数は約35万人だそうだ。

最大の争点は、当然のことながら昇給と、児童の学力向上を数値化する教員の評価方法である。

シカゴ市もご多分に漏れず財政状態が悪いので、組合要求の昇給に応じることを拒否しており、健康保険への負担増も要求している。又、教育改革の一環として、市は昇給を認める代わりに日当り90分の勤務延長を要求しているが、組合は拒んでいる。但し、教員の平均給料は約7万ドルで、全米でもトップクラス。

教員評価については、組合はレイオフの方法として使われることを警戒している。シカゴ市は典型的な都市部公立学校区の問題(貧困と強い組合)を抱えており、学力試験、高校卒業率などでは、全米最低レベルとなっているので、組合としては、教師の努力を超えた環境の影響についての考慮が無いというのが理由で拒否している。

シカゴ市長は、元オバマホワイトハウス首席補佐官だった Rahm Emanuel、民主党である。教員組合も民主党支援であり、教育改革を厳しい財政の中で実現させようと言う首長と、既得権を守ろうとする教員組合の対決の構図になっておいる。

更に言えば、首長の党に関係無く、教員組合に留まらず、公務員組合も含めての大きな形があり、交渉結果が今後の全国自治体の財政再建の行方を決める重大な要素となっている。

この争いの行方が注目されるのは、シカゴ市やその他自治体だけでなく、今秋の大統領選挙にも影響しそうだからである。まず、オバマは市長側につくのか、教員組合側についくのかという問題がある。

これまで、この手の地方自治体の労働争議では、(大統領としてはあるまじき行為であるが)自分の選挙基盤ということで必ず組合側についていた。今回は、自分の首席補佐官であった Rahm Emanuel との対決となっているだけに、ホワイトハウスは、どちら側にも付けず、早期解決を促すという歯切れの悪いコメントを出しているだけだ。

その上、タイミングの悪いことに Rahm Emanuel は、オバマの大口献金集めの責任者に付いたばかりだ。又、これまでも市長本人が交渉に臨むことは無かったのであるが、交渉決裂直前の先週に民主党大会でスピーチをしたり、昔の上司であるクリントンの演説でのジョークで大笑いしている映像が流れたりしている。

もしストライキが長引く様なことになれば、オバマにとっては良いことはひとつも無さそうだ。


関連エントリー

Rahm Emanuel 大統領首席補佐官辞任 (10-2-10)

StudentsFirst 初の上席フェロー

2011-05-24 09:01:43 | 教育
カテゴリー的には、「教育」というより「Michelle Rhee の紹介」になってきたが、昨年暮れに彼女が創立した StudentsFirst については、着実に活動の規模を拡げている様だ。(以前の StudentsFirst 紹介エントリー

彼女が、アメリカの公立教育システムに大きなインパクトを与えるかもしれないと思って(既に与えているが)、フォローしているのだが、ワシントンDC市教育監時代に雇用契約でやり合ったワシントンDC市教員組合長であった Geroge Parker を、初の上席フェローとして迎える事を知り、その確信がより強くなってきた。

その時合意した雇用契約は、Michelle Rhee の全面勝利とも言えるもので、今になって振り返ってみると、全国教員組合組織の大反対にも拘わらず合意を行った Geroge Parker は、彼女と同じく、生徒の為に何をするべきかという、彼女と同じ問題意識を持っていた可能性が高い。

Michelle Rhee は、自分のブログでも、最近の彼との会話で、組合も教員の待遇を優先的に考えるのでは無く、生徒の成績向上を目指した改革思考であるべきと考えており、組合も自らの手で気の悪い教師を排除する必要があると思っている事に驚いたと、素直に心情を書いている。

彼等に共通している思いは、生徒の成績を良く為には、教師が良くなくてはならない。その為に一番大事なのは、教師の良し悪しをどのように評価するかという事である。その上で、その評価に基づいた柔軟性のある雇用体系(実績ベースの賃金やボーナス、先任優位の廃止等を)を作り上げるという事である。

生徒の向上をどのように評価するかという、一番難しい問題も残っているが、ワシントンDC市教員組合との雇用契約の交渉でも、ある程度確立されてきている教師の評価システムが、大きく貢献している。

因に、公立教育システムが崩壊しているデトロイト市では、住民の47%が実質的な文盲functionally illiterate)との調査結果が出ていた。荒廃した都市部、貧困、マイノリティ、公立教育システムを改革する為には、否応無しに政治的に成らざるを得ない。

Michelle Rhee は、元々政治学出身なだけに、今後の活躍を注目していきたい。

D. C. Opportunity Scholarship Program

2011-04-07 11:36:25 | 教育
Michelle Rhee に興味を持った事で、必然的に、ワシントン DC だけではなく、教育関係全般の報道が気になる。そんな中で分かって来たのは、アメリカの教育をダメにしている大きな要因は、教員組合にあると言う事である。

Michelle Rhee も組合との戦いを激しく行っており、勝利したかに思えたが、結局、後ろ盾の市長が教員組合の応援する候補に破れて、再選出来ず、結局、ワシントンDC市教育監を辞職した。(過去のエントリー、『Michelle Rhee 教員組合との雇用契約を合意』、『Washinton DC 市長選 民主党予備選の結果』、『Michelle Rhee の辞職』)

彼女は、公立の学校を改善しようと奮闘したのだが、一方で、所得家庭の子どもを私立の学校に通わそうという試みもあり、D. C. Opportunity Scholarship Program が、2004年から 約3300人の生徒に機会を与えて来た。( ワシントン DC 市は州に属さず特別区なので、連邦政府がこのようなプログラムを提供しているのだと思う)このプログラムの適用となった生徒達の成績は、公立学校に行った生徒に比べ劇的に向上している。

厳しい財政状況のなかで、何でもかんでも歳出カットの共和党、何もカットしたくない民主党という漠然としたイメージがあるのだが、このプログラムについては、ホワイトハウス(!)も民主党も、このプログラムの素晴らしいデータを全く無視して、継続に反対しており、2009年から縮小させてきている。

オバマ大統領や民主党が教育に熱心であると言うのは、全くの幻想で、大嘘である。彼等は、自分達をサポートし、投票してくれる教員組合(組合員である教員では無く、教員組合幹部と)と堕落した関係にあるだけだ。

オバマに至っては、ハワイ州の同じ様なプログラムでハワイ州で一番と言われる私立の学校に通い、自分の娘2人も、当然のように私立に通わせている。

さて、共和党が過半数を占める下院で継続が可決したので、上院を通過すれば大統領のサインという事になるのだが、その折には、オバマは既にプログラムに反対の意思表明をしているのであるから、堂々と拒否権を発動して、このプログラムを葬ればよい。

自閉症とワクチン

2011-01-12 20:20:29 | 教育
自閉症については、以前、このエントリーで書いたことがあるが、未だに根強く残っておるワクチンが自閉症を引き起こす危険性があるという間違った認識を否定する記事が、今月の British Medical Journal に掲載される。(記事はこちら

自閉症とワクチンの関係は、1998年にLancet と言う医療雑誌に発表されて以来、医療関係者の否定に拘わらず、風評的に信じられてきた。

オリジナルの記事は、たったの12人のサンプル(データ改竄疑惑もある)での結論であり、ワクチン接種前に既に症状が出ていたりしていた例もあるとの事だ。発表した医師は、自閉症のテストの特許を持っており、このテストの売り込みの一環として、発表したと言う疑惑もあるらしい。既に倫理的な理由(この件とは別件の様だが)で医師の資格を剥奪されている。

データ、結論については掲載に当たり、編集委員の間で疑問があったのに、当時の編集長の独断で掲載されたと言う経緯もあるとの事。Lancet は昨年、この掲載を撤回しているようだ。

で、ワクチンが原因でない事はハッキリしているのだが、遺伝子かという言うと、そうとも言えないらしい。ある程度原因となる遺伝子の特定が進んでいるようだが、遺伝子で説明できる発現は15%位らしい。

そんなこんなで、インターネットをウロウロしてたら「自閉症の新しい理論」というサイトを見つけた。

正しいかどうか不明なので、気をつけてお読み下さい。


Students First

2010-12-08 10:47:57 | 教育
このブログでも何回も取り上げた Michelle Rhee は、今年10月に3年半務めたワシントンDC教育監を辞職したのであるが、Students-First という組織(Advocacy Group)を立ち上げた。 (過去のエントリーは、3/28/10, 7/3/10, 9/18/10, 10/17)

趣旨は、「公立教育で学ぶ子供を守るために全国規模で改革を進め、アメリカが世界一の教育システムであるようする」と言うものである。具体的には、賛同する政治家、学区の応援を挙げている。

やり方は彼女がワシントンDC で実践したもので、生徒の成績を元に良い教師には飴(見合った昇給)を悪い教師には鞭(退職勧告)と言う方針である。教育の質は教師の質と断言しており、公立である以上効率的に資金(税金)を活用すべきで、親や地域住民の積極的な係わりも強く訴えている。

活動資金は一般からの寄付を募っており、目標は$1B(約830億円)と野望に満ちたのもである。

オバマ大統領を始め、教育省長官も彼女を応援していたのだが、彼女をワシントンDC教育監に任命した市長が再選出来なかったこと、彼女がオバマ大統領を始めとする民主党を支持する教員組合と激しく対立した事で、見殺し(ワシントンDC教育監を辞職)にした経緯がある。

しかし、彼女のワシントンDC での実績は確固たる物で全国的に評価が高い。これまでの寄付の金額は明らかにされていないが、順調に資金も集まっているらしい。

良い教師も悪い教師もいるという当たり前の事を前提に、公立教育システムを良くしようと言う彼女の熱意による活動が、既得権にしがみ付く教員組合と今後どのような戦いを繰り広げるのか注目である。

自分の経験からしても、真面目で熱心な公立学校区の教師には何の問題も無いし、感謝の気持ちで一杯である。教員組合の幹部とその庇護を悪用しようとする少数の不届き教師が全体のシステムを崩壊させようとしているのである。

当たり前の事を当たり前にする事が困難である事が、アメリカ公立教育システムの根の深さを如実に示している。

Michelle Rhee の辞職

2010-10-17 11:49:23 | 教育
このブログでも何回か取り上げた Michelle Rhee (過去のエントリーは、3/28/10, 7/3/10, 9/18/10)が先週、3年半務めたワシントンDC教育監を辞職した。(詳細は、前回のエントリーを参照して下さい)結局は、教員組合と痛み分けという事なのだと思う。彼女の辞職は、アメリカでの教育改革、特に公立学校システムの改革が限りなく不可能に近い事を暗示している。

ニューヨークのグランドゼロモスク問題とかで、不必要に地方の問題に口を出すオバマ大統領は、このお膝元のワシントンDCの件については、黙りを決め込んだままだ。"WAITING FOR "SUPERMAN"" にでている彼女や Geoffrey Canada 支持を表明しているのだから、禁を破ってでも、 事前に Michelle Rhee の続投を望むコメントを出すべきではなかったか?

昨日観た映画 "WAITING FOR "SUPERMAN"" で芋づる式に思い出した映画 "Lean On Me" 。アメリカの教育の虚しさと希望は、映画タイトルになったこの曲に詰まっている様な気がする。


娘の音楽会、戦争反対、自虐的歴史観教育

2010-10-09 20:40:17 | 教育
今日は、娘が通うデトロイトりんご会・補習授業校で、小学校4、5、6年生の音楽会が催された。(時間の都合で6年生は見れず)各学年3曲と夏休みの宿題作文の優秀賞の朗読があった。土曜日だけの授業で、数週間の準備の割には、良く仕上がった音楽会であった。運営委員の父兄や教職員の方の努力にはいつも頭が下がる。

作文は夏休みの宿題で、戦争の悲惨さ、原爆の話、戦時中の朝鮮人の話等が出てきた。そう言えば、夏休みという事で(原爆記念日、終戦記念日があるので)、娘の課題図書リストも戦争絡みばっかりだった事を思い出した。

国外に住む期間が長くなると、自然に愛国精神が芽生えるのか、自分の交際範囲の中でも心情的右翼の人が多い。私も自嘲的に在外日本人右翼と称した事もある。天皇制は別にして、国防をしっかりしなければならないという漠然とした思いが芽生えたからだ。アメリカの保守を勉強するうちに、それはもう少し具体的な形で考えが深まりつつある。(天皇制に関しては、思考停止になるのか、現在の日本国憲法以上の考えは浮かばない)

娘の同級生の戦争反対の作文朗読を聞きながら、日本の戦後教育が一貫して、戦争反対と第二次世界大戦の日本の行為を自虐的に教える方針である事を、初めて意識した。この方針がいつから固まったかは分からないが、少なくとも私も同じ事を習っているので、40年近く同じ内容を手を変え品を変え教えているのは間違いないだろう。そして、既に2世代に渡り、戦争反対という意識が、戦争の悲惨さ(原爆、空襲体験、戦地で死んだ兵士)、日本が朝鮮半島、中国でやった残虐な行為を通して刷り込まれている。

戦争反対の教育方針は、日本に居る限り、強力なアメリカの軍事勢力下にいる限り、大正解なのであった。海外から日本を眺めてみると、アメリカの相対的軍事力が弱まってきているなかで、現時点、将来的に同じ事を教えていて、大丈夫かと思ってしまう。

「戦争は悲惨なのでやらない方が良いです。戦争の無い世界の為に努力しましょう。だから日本は軍備を放棄しているのです」という論理は、「泥棒はダメですと熱心に教育するので、警察は必要ありません」と言っているのと同じになるのではないだろうか?人、集団、国家で悪い事のは避けられないのは歴史が証明している。この世から悪事(規定するのも難しいが)が尽きる事は絶対にない。こんな人間の本質を教え無い教育で良いのか?

小学校5年生の子が、大叔父さんを原爆でなくした話を朗読したが、今の小学生でも身近に戦争の被害者がおり、戦争の悲惨さを具体的に訴える事に事欠かない。それは、特殊な例を引いて、戦争そのものを正面から考えるのを邪魔をするだけではないのか?

自分達は平和に暮らしたいと思っても、泥棒にしろ、無法者国家にしろ、むこうの論理で否応無しに迫ってくるのである。戦争放棄(国防)をしないという事は、無抵抗主義、つまり自分の者は全て略奪され、殺される事を覚悟している事が前提の上で成り立つのである。日本国民が皆、ガンジーだとでも言うのであろうか?

現代の戦争は、宣戦布告して国が正々堂々と戦ってくる事は無いのである。テロであり、資源をめぐる争いであったり、外国人による違法な国富の略奪だったり、無差別で勃発的なのである。

日本は連合国に降伏して以来、もう半世紀に渡って思考停止状態にあるといっても過言ではないと思う。反面、それは非常に幸福な半世紀であった。そのような状況下でも、戦争を生き残った人々が、現実的な対応を行って(どう解釈しても憲法違反だったりするのだが)自衛隊を編成してきていたりしたので、国体が維持出来てきているのである。

40年以上も変わらない無邪気な「戦争の無い世界」という理想を聞きながら、戦争に負けた影響で、戦争に関する思考が停止する教育をせざるを得ず、その為に世界の見方が片輪になっている事、もっと悪いのは片輪になっている事さえも、気付かなくなってきている事に愕然とした。

戦争の悲惨さ、自虐的歴史観ばかりでは、世界に出て行っても、阿呆と思われるだけだ。日本の教育界が、英語教育、日本文化の理解等を掲げて、世界で勝負出来る人材を育てる意気込みは分かるが、敗戦と戦後の歪んだ反戦教育の見直しをしないと、特に軍事的現実に関してはチンプンカンプンであろう。日本はぬるま湯の中にいて、誰もその温度さえ分からなくなってきているのだ。軍隊を所有し、自国の兵の生死を左右する決断をしなくてよい政治家を、世界の誰がまともに相手してくれるというのだ。

単なる思い付きだが、日本人が歴史小説、戦国ものや幕末ものを好きなのは、これらを通じて少しは軍事を学べるからで、日本の教育に欠けているものを無意識に、バランスを取ろうとしているのかもしれない。

この音楽会のおかげ(?)で、今年最後のシカゴ会のゴルフに参加出来なくて残念だったが(ミシガンは素晴らしい秋晴れであった)、有意義で興味深い土曜日であった。

自閉症

2010-10-01 21:38:09 | 教育
自閉症が増加しているらしい。自閉症に対する認識が広がった事で、以前では診断されなかったり、診断自体を受けてなかった事例が増えてという事情もあるらしい。しかし、経験的にも、自閉症が増えている感覚が間違いなくある。なにせ自分が親になるまで、自閉症の子供と接した事がなかったので、ベースがゼロである。子供が学校に上がったりする事で、初めて見聞したので、インパクトが強かった事もあるが、自分の回りでは、20人に2人とか、母集団がに小さいのに複数のいるのである。

一般には、千人に一人(0.1%)だとか、1%だとか言われているし、自閉症自体の定義も混乱している事(あくまでも素人にとって)もあって、今一実態が分からない。プロゴルファー、アーニー・エルスの子供の一人がやはり自閉症で、啓蒙運動や寄付等を熱心に行っているが、その告知のなかでは125人に1人(0.8%)と言ってたと思う。南アフリカ、イギリス、アメリカ(フロリダ)をローテーションしながら生活していたのだが、アメリカが自閉症の研究、治療が一番進んでいるという事で、現在はフロリダに定住している。

要因についても、発育障害と理解していたが、遺伝的要素もあると言われている。不思議なのは、発育障害とした場合、何が要因(環境物質等)なのかを特定出来ていないし、遺伝だとしてもマーカーと呼ばれる遺伝子を特定出来ていないらしい。自閉症が増えている事実はあるのだが、原因が特定出来ないので、予防する訳にもいかない。(遺伝的であれば、一定なので何らかの外的要因なのだと思う。)一時、予防接種が原因と言う説あったが、ガセだったようだ。

自閉症という病名が誤ったイメージを与えている事も重要な問題だ。字面から、症状として大人しく自分のからに閉じこもる子供の印象をずっと持っていたが、奇声を発したり、走り回ったりという症状の子供もいる。ある種、子供らしい行動でもあるので、症状を見逃す事にもなる。

親に知識が無い為に、明らかに独特の症状を示していても、放ったらかしになっている例を聞いたりする。早期発見、早期治療を行うと、将来的な社会適合性が大きく改善する事が分かっているだけに、痛々しい。

症状が18ヶ月位で(人間らしくなってくる時期?)出てくるという事で、その時期はそれなりに自分のこどもを注意深く観察していた覚えがある。(幸い、自分の子供は健康だった)なぜ、自分がそんな知識を持ったのかは、記憶が無いのだが、アメリカなので産婦人科、小児科病院でパンフレット等をもらったのかもしれない。

アメリカでは、プリスクール(4歳)等の幼児教育に係る職員への指導が割としっかりしており、職員が自閉症の様々な症状をを理解しているので、僅かでも疑いがあると、専門医の診断を勧める事になっているらしい。早期発見、早期治療の有効性が認知されている事が、このようなシステムを作る為に役立っている。

早期治療が有効である事が分かっているので、日本でも、幼児教育に係る人々への教育の徹底と親への通知義務を徹底する時期にきているのではないかと思う。また、変な先入観を抱かせる自閉症という呼称も変更した方が良いと思う。

Washinton DC 市長選 民主党予備選の結果

2010-09-18 20:00:02 | 教育
以前、ワシントンDC市教育監として活躍している Michelle Rhee の事は、紹介した。(Michelle RheeMichelle Rhee 教員組合との雇用契約を合意

生徒の成績向上等具体的な成果もでてきているのだが、将来に暗雲が立ちこめてきた。彼女を支えてきた現職の市長 (Adrian Fenty) が市長選の民主党の予備選で敗れたのだ。市長候補になったのは、市の議会議長の Vincent Gray だ。Washinton DC は、共和党は非常にマイナーなので、このまま Vincent Gray が市長になる事が確実だ。

首都としての Washinton DC は、アメリカ政治の中心地として有名であるが、都市としての Washinton DC は、黒人が多くて貧困層の東地区と、比較的白人が多い西地区に分かれている。長年、市行政が上手くいっておらず荒廃が進んでいた。象徴的な出来事として、何年か前に、当時現職の市長が覚醒剤仕様の現行犯で逮捕された事がある。

アメリカの貧困層が多い都市の殆どは、黒人の割合が高く、圧倒的に民主党が強い傾向に有る。貧しいから福祉政策に積極的な民主党の支援をするのだが、その為に福祉政策に頼った生活から抜け出せなくなる悪循環にもなっている。

現職の市長 (Adrian Fenty)と予備選を勝った Vincent Gray 候補とも黒人であるが、Fenty 市長は豊かな白人よりの政策を取っているとの批判がある。また、Michelle Rhee が協力に進めている教員組合との戦いを全面的に支援した事で、教員組合ばかりでなく、その他の公務員組合の票も Gray 候補に流れた。

Michelle Rhee は、Gray 候補の元では働かないという趣旨の発言をしており、Gray 候補も慰留をする気もがないと言われている。

生徒の成績が改善しているし、教員組合との契約で教員の質を維持出来る体制が出来てきたのに、彼女が辞めてしまうと元の木阿弥になる可能性が高い。教員組合の力が強く、にっちもさっちも行かなくなった特に大都市での公立学校の問題解決のモデルケースとして順調だっただけに、長期間での成果が注目されていた。これで教育改善にやる気のある市長達も、組合の反対を恐れて大胆な手を打つ事に躊躇する可能性もある。

Gray 候補は、教育問題だけでなく、行政全般で逆戻りはしないと公約しているらしいが、もし、Michelle Rhee を慰留する気がないのであれば、古き悪き Washinton DC に逆戻りする可能性が高い。

JASSEM 入学見送り

2010-09-01 10:33:54 | 教育
「バイリンガルー2方向イマージョン教育」(日本語と英語)を理念とする新しい学校 JASSEM がデトロイト郊外にこの9月から出来る事は紹介した。下の娘を入れるかどうか悩んだのだが、結局、見送る事にした。

悩んでいた理由は、以前にも書いた通り以下の4つ。

1)ダブらせる事への疑問 (現地の学校で既にキンダー(幼稚園の年長)が終わっている)
2)上の娘(現地校では9月から 5th Grade、補習校では4年生)をみていると、それなりにバイリンガルになっているので、わざわざ未知数の学校に入れる必要があるのか、又、現在姉妹で同じ学校に行っているので、別の学校に行かせる事で混乱するのではないかという心配
3)本当に一期生なので、理念とは別に、運営が安定しないのではないかと言う疑問、伝統的な学校の骨組みが経験出来ない事、上下関係を経験出来ないという事
4)クラス規模、構成が始まるまで分からない事

結論は、これらの要素の組み合わせであるのだが、順番通りの比重といった所だ。

初年度はキンダーのみで50人の募集をしたのだが、結局は応募は15人(ほぼ駐在員の子供らしい)だったと聞いた。

知り合いの駐在員のこどもも入学するのだが、理由は、JASSEM の運営される方々は、デトロイト郊外で「ひまわり幼稚園」という日本人向けの幼稚園を運営されている方々とほぼ同じ顔ぶれなので、後2年程で帰国するので、キンダーでわざわざ現地校に入れて苦労させたくないという事であった。(子供もこの幼稚園に通っていたので、日本語の環境が良いと言っているとの事)

今の時点で、不安視していた上記の3)、4)が当たりそうな感じである。

教育理念には興味があるのだが、学校経営となると全然別の問題がある。駐在員の子弟が多いという事は、今後人が減る事も確実であるし、来年以降の入学者数も、今年の募集からすると厳しそうである。

JASSEM

2010-07-04 10:40:38 | 教育
以前のエントリーで紹介した「バイリンガルー2方向イマージョン教育」(日本語と英語)を行う学校が、ミシガン州リボニア市でチャーター・スクール、Japanese American School of South Eastern Michigan (JASSEM) として、この9月からスタートする事が決定した。

既に連邦政府と州からの出資も決定しており、日本の教育団体からの援助も貰えるそうだ。「バイリンガルー2方向イマージョン教育」を研究している Eastern Michigan 大学の協力も決定しており、一クラス25人に先生が一人なのだが、20人を超える場合は、教育学部の大学院の生徒がアシスタントで入ってくれる話なども進んでいるとの事だった。

先ずは、キンダーガーデン(幼稚園の年長)のみのスタートで、この一期生を頂点として、小学校、中学校まで位の学校を目指しているとの事だ。9月入学の募集は2クラス50名で、イマージョン教育としてバランスが良い50:50から75:25の日本語と英語(もしくは英語と日本語)ネイティブの割合を想定している。但し、チャーター・スクールという事で、偏ったとしても差別する事は出来ず、募集が50名を超えた場合は抽選になるそうだ。どの様な構成になる見通しを聴いてみたが、全く予想出来ないとの事であった。

現在、下の娘が現地校のキンダーを終え、9月からは小学校一年生になるのであるが、11月生まれ(ミシガンは、1月から12月が学年の区切り)なので、ダブらしてこの学校に入れようかと、今年一月の講演会を聴いた時から妻と相談していた。

7月1日の学校説明会に出席したのだが、出席者は、基本的には日本人(駐在と永住)と国際結婚の人々しか出席しておらず、所謂純粋アメリカ人はいなかった。国際結婚の方のなかには家庭の言語が英語になっていると言うコメントをされた方もいたのだが、日本語の子供ばかりになるのではないかと思ったりした。

出席者も少なく(20組位)、50名集まるのかも心配になった。その上、駐在の方の子供が多くなると、帰国等でクラスが小さくなる事も考えられ、小学校低学年までは途中入学を許せたとしても、学年が上がるに連れ難しくなってくると思われる。教育方針は良くてもクラスサイズが小さくなり過ぎて、妙に特殊な環境になるのではないかという懸念もある。

先ずは、キンダーのみ2クラスなので、校長先生などもおらず、先生以外には事務の方が一人だけとの事であった。校舎は、ひまわり幼稚園という私立の日本語幼稚園が入っている建物を共用する事になる。この幼稚園の経営者が、Japanese American School of South Eastern Michigan (JASSEM) の理事の一人(現実には設立の旗ふり役)なので、有る程度、学校としての呈をなすのではないかと思っている。

説明会の最後に、理事の一人である日本滞在経験もあり現在日本語の家庭教師などもしている女性が、自分自身のチャーター・スクール設立(イマージョン教育ではなく、普通の)の経験談をしてくれた。キンダーから開始だという事もあり、少人数で校舎などにも恵まれてなくて、自分を含め他の親御さんも心配であったそうだが、8年経った今では、入学待ちが出るくらい評判の高い学校になっているそうだ。新しい試みでもあるので、心配は分かるが、皆で素晴らしい学校にしていきましょうと力強く結んでいた。

応募は来週から開始との事なので、早急に結論を出す必要があるのだが、現時点では消極的である。理由は次の通り。

1)ダブらせる事への疑問
2)上の娘(現地校では9月から 5th Grade、補習校では4年生)をみていると、それなりにバイリンガルになっているので、わざわざ未知数の学校に入れる必要があるのか、又、現在姉妹で同じ学校に行っているので、別の学校に行かせる事で混乱するのではないかという心配
3)本当に一期生なので、理念とは別に、運営が安定しないのではないかと言う疑問、伝統的な学校の骨組みが経験出来ない事、上下関係を経験出来ないという事
4)クラス規模、構成が始まるまで分からない事

退学や途中編入など細かい疑問もあるので、募集が交付された時点で問い合わせてみて最終結論を出すつもりである。

Michelle Rhee 教員組合との雇用契約を合意

2010-07-03 05:43:32 | 教育
Michelle Rhee の事は、以前のエントリーで紹介しているが、ワシントンDC市教育監に就任以来、改革と平行して三年に渡って交渉を行っていた教員組合との雇用契約が合意した。

ワシントンDC市教員組合自体では手に余ったと見えて、最終的には上部組織の American Federation of Teachers (AFT) (全米教職員組合)の代表も登場したが、最終的には、Michelle Rhee の主張がほぼ全面的に通る形で決着した。

従来の契約からの大きな変化は、2つ。まず、3年の勤務で基本的に生涯の雇用保障があったのを無くした事、次に、採用やレイオフが、先任順位 (Seniority)ではなく、実績(生徒の成績向上)と授業の質で決めれる様になった事である。一定の基準に達しない教員については2年間猶予期間後、改善が見られなければ退職勧告となる事、実績ベースが導入されたことで、固定給か、実績でボーナスの支給がある二通りから給料を選べる事も盛り込まれている。

今回の合意に至った経緯には、彼女が屈しなかった事が一番大きな要因であるが、強力なバックアップがあった。先ず、市長(市長も女性、民主党であるが公立学校教育の荒廃の現実を前にはやるしか無いと思ったのだろう)の後ろ盾があり、いつもは組合の側に立つオバマ大統領も支援を表明していた。また、同じく通常は組合側(現状維持)につくローカル新聞 (Washingtn Post) も味方している。

教員の評価基準という難問題については、これまで様々な所で行われてきた改革の成果としてシステムが確立してきている事、彼女が従来型の公立校を廃止しながらチャーター・スクールと呼ばれる、有る程度教育方針に自由度がある認可制の公立学校への変換を進めてきた事も大きい。

これまでは、教育監と教員組合のなれ合いで、教員の権利を守るばかりで、肝心の生徒の向上がおざなりにされてきた教員組合との雇用契約であったが、今回の全く新しい契約が、その他の州、都市に波及する可能性が高い。普通に考えると今回の契約が当たり前なのであるが、アメリカの組合との契約はバランスが悪く、組合が取れる物は何でもとってやろうと言う傾向が強い。又、教育監は任期後、教育組合の執行部になる事がケースが多く、基本的に契約更新はなあなあになる事傾向にある。

経験と信念を持った人が、問題意識を共有する人々のバックアップで、絶望的と考えられていたアメリカの公立教育の改革に火を付けた事に感動する。

「絶望は愚か者の知恵」、昔、ニッポン放送の人生相談でパーソナリィティの人が、冒頭だか結びだかに、いつも言っていた言葉を思い出した。