暘州通信

日本の山車

◇00060 今宮神社祭礼

2009年09月15日 | 日本の山車
◇00060 今宮神社祭礼
栃木県鹿沼市今宮町1
今宮神社
祭神
オオナムチノミコト 大己貴命
タゴリヒメノミコト 田心姫命(宗像三女神の一神)
アジスキタカヒコネノミコト 味耜高彦根命
□祭は十月中旬。
□山車
・麻苧町(旧称新町)        
白木彫刻を施した白木造屋臺。安政四年(一八五七)の建造。
 高欄上の金龍匹は旧屋臺の彫刻をそのまま使っている。文化十五年(一八一八)に室田宿(現大平町)の彫刻師、磯辺杢斎、息子の儀兵衛との合作といわれる。
市指定文化財
・上材木町
市指定文化財
彩色を施した黒漆塗の屋臺。
箱に天保十二年(一八四一)の記載がある。
欄間彫物は鶏と壮丹。表面に石塚知興の刻銘がある。知興は初代石塚直吉のことである。文政期(一八二〇頃)ころ、息子の二代直吉吉明とともに鹿沼に来て彫刻した。彼らの代表ともいえるの作に、石橋町薬王寺の欄間に彫られた天女があり、文政七年(一八二四)の作である。初代知興は脇障子にみごとな孔雀と藤と壮丹を彫刻している。
 鬼板は懸魚ともに金獅子。二匹の子獅子をともなう
・下材木町
彩色屋臺。
彫刻は、龍で統一されている。
彫刻は、富田宿(現大平町)の四代目(のちに三代目)を襲名した磯辺儀左衡門信秀、号を龍斎といい最晩年六十八歳の作。後藤周二正秀の兄である。
鹿沼市の市指定文化財に指定されている。・久保町       
彩色を施した黒漆塗屋臺。
久保町は裕福な商家が多く、屋臺に多額の費用が投じられている。
建造は、鬼板を収納してある屋臺箱に文化十年(一八三二)のきさいがあることから文化年間と考えられている。
嘉永元年(一八四八)に、琵琶板、外欄間などの彫物を補作されているが作者は不明。方立に「則之」、臺輪に「大工彫物藤原」の銘がある。
内鴨居の飾金具に日光住小池常右衛門の銘がある。
鹿沼市の指定文化財に指定されている。
・戸張町
彩色を施した黒漆塗屋臺。文政十一年(一八二八)の建造。
工匠は池田平吉。
彫刻は彫物屋清兵衛。
脇障子に添柱がある。
鬼板と懸魚は、大鷲と三匹の猿。栗鼠に葡萄。脇障子の「瓢箪と金鶏鳥」、勾欄の龍虎は天保年間、石塚直吉によると考えられている。
弘化三年(一八四六)仏師屋栄吉により彫刻を彩色。屋臺は塗師友吉により黒漆塗となった。鹿沼市の市指定文化財に指定される。
・天神町       
素木屋臺で、脇障子のみを飾金具付の黒漆塗に仕上げる。
側面の障子の間が等間隔でなく前方を広くしている。
側面の勾欄は虹勾欄といい、上部に彎曲する。
鬼板、懸魚をはじめ竜の彫刻が多い。
琵琶板、外欄間は尾長鳥に梅。
脇障子彫刻は龍虎。氏家町上阿久津本町屋臺脇障子彫刻におなじ図柄がある。
勾欄下、車隠しは、牡丹に唐獅子。
彫刻は儀辺儀兵衡敬信と言われる。
鹿沼市の市指定文化財に指定される。
・仲町       
素木屋臺。
寛政六年(一七丸四)当時あった踊屋台の改造で建造された。彩色彫刻塗屋臺鹿沼市の「彫刻屋臺の原型といわれる。この屋臺の行方は不明である。
現在の屋臺は、天保七年(一八三六)の建造。
鬼板、懸魚の波間の龍、脇障子の櫻、牡丹に孔雀。息を呑むみごとな彫刻は、富田宿(現大平町)磯辺から出た後藤正秀「日光五重御塔彫物方棟梁 行年六十四歳 後藤周二 正秀 鑿」と誇らしい銘があり、円熟した晩年の作である。
鹿沼市の市指定文化財に指定される。
・銀座二丁目(旧称上横町) 
素木屋臺。弘化四年(一八四七)の大火で旧屋臺は類焼、嘉永六年(一八五二)から屋臺再建かかりおよそ五年をかけ、安政四年(一八五七)に完成した。
工匠は茂八。
彫刻は後藤音次郎のもと、同音吉、同猶之助、徳二郎、磯辺平五郎敬信、神山政五郎などが関わっている。
鬼板と懸魚は鳳凰。脇障子は二龍。
鹿沼市の市指定文化財に指定される。
・中田町
素木屋臺。
鬼板と懸魚は波に龍。
脇障子は雌雄の孔雀と小鳥
後部の羽目は大鷲と猿。
前の車隠しは牡丹に唐獅子。いわゆる籠彫りの玉把獅子。
鹿沼市の市指定文化財に指定される。
・下田町
素木屋臺。
工匠は石塚吉明。
棟が他の屋臺のなかでももっとも高く。基臺(臺輪)を低くとっているため、彫刻部分が大きくなり、宏壮な屋臺に仕上がっている。
彫刻は石塚二代目の直吉こと吉明で、文久二年(一八六二)に吉明の下田町屋臺圖があり、当為すでに彫刻のみならず屋臺の建造にもかかわっていたことをうかがわせる。鬼板、懸魚、高欄下、蹴込、車隠しなどに龍が彫られる。脇障子は大鷲と龍馬、障子は龍虎。琵琶板は松に鷹。欄間は花鳥の彫刻。蹴込みは唐獅子に牡丹、籠彫りの玉把獅子。
鹿沼市の市指定文化財に指定される。
・銀座一丁目(旧称東横町・吾妻町)
素木漆塗屋臺
鹿沼市の屋臺は彩色屋臺と素木屋臺に二大別される。建造期は彩色屋臺が古く、素木屋臺があとである。文化・文政期は化政期と略称されるが、江戸文化がもっとも華やかに開花した時代であった。各地の山車はこの時期に華麗になっている。
 しかし、文政一〇年(一八二七)、幕府は関東八州に華美な風俗を禁じ、「祭禮は質素に、在郷し芝居は禁止」されて、厳しい取締まりがおこなわれた。その禁令は天保の大飢饉のあと、天保十二年(一八四一)の改革においてさらに強化された。
 鹿沼の屋臺も例外ではなく、天保囲碁に建造された屋臺は彩色されず素木造となった。 当組の屋臺が建造されたのは、その過度期にあたっていて、屋臺は黒漆塗り、彫刻は素木のままの屋臺になった。
 しかし、彩色彫刻はすでに完成していたが取り付けできず、下横町に譲ったという伝承がある。これを裏付けるように、文化十一年(一八一四)銘の脇障子を収める箱があるのに脇障子がなく、一方、下横町には同時代の脇障子が現存する。
天保三年(一八三二)に、磯辺儀左衛門の四代信秀により高欄下と車隠しに彫刻が補われている。
鹿沼市の市指定文化財に指定される。
・下横町
彩色漆塗の屋臺。
建造は安政三年(一八五六)。
脇障子は黒漆塗で、額付明かり障子窓にしている。
当屋臺は東横町(現銀座一丁目)がら譲り受けたという伝承がある。
彫刻師は不明だが、すばらしい芙蓉彫刻がある。
鹿沼市の市指定文化財に指定されている。

・石橋町
彩色漆塗屋臺である。
文化四年(一八〇七)に火災に罹災。再建された。
当時の彫刻の彫師は、菊彫りの名手、上久我出の神山政五郎、通称菊政との伝承がある。のちに次第に彫刻も補われているが、なかでも久我村神山政五郎の弟子だった、今市瀬川の大出常古政次とその子啓一郎による優れた菊の彫刻は、琵琶板、欄間、障子、障子周りなどを飾り類型にとらわれない自由な発想により、非凡な技術で彫刻されている。大出政次は、古い彫刻を彩色し直しているが、その繊細で華麗な彫刻は山車好きな方には必見である。
鹿沼市の市指定文化財に指定されている。
・御成橋町
江戸時代、将軍が日光参詣するときに渡る黒川の橋を架けかえられた。これが機縁で御成橋と呼ぶようになり、例幣使街道沿いにある当町も、御成橋町となった。明治十年には、今宮神社の付祭には、番外組として祭に参加している。
昭和十年ごろ、町内に住んでいた。三代目石塚直吉の孫にあたる石塚広吉が花屋臺に彫刻を加えた。

・上田町
彩色屋臺。
白木彫刻が含まれる。
山車(屋臺)の建造は、文政五年(一八二二)頃造られた彩色彫刻黒漆塗屋台があつたが、昭和のはじめに廃臺となり、昭和二十八年に旧臺を模した素木屋臺が建造された。
再建屋臺には旧臺の彩色彫刻がとりつけられる。
波に飛龍の鬼板、波間に鯱の懸魚。獅子に牡丹の琵琶板。菊の内琵琶板。親子獅子と牡丹の欄間、梅の方立。黒漆塗脇障子。波に金龍の高欄下彫刻。勾欄下の鶴亀。車隠しは、波に亀。
鬼板裏、前琵琶板に「文政五年 宇都宮大町 日光御五重塔 彫物方棟梁 後藤周次 正秀」の銘がある。尚、再建屋臺には、栃窪の天棚彫刻、また、下武子町吉沢聖晃、栃木市鶴見紅雲により白木彫刻が補作されている。
鹿沼市の市指定文化財に指定されている。
(順不同)
□汎論
 創祀は古く、社記によると延歴元年(七八二)の創祀とある。日光の二荒山神社とかかわりが深く、佛教と褶合していた時代には日光山鹿沼今宮権現とよばれている。
 今宮神社は、天文三年(一五三五)、鹿沼築城が建造されたとき、日光神領惣政所の
壬生綱房が現地に遷座して城の鎮守とした。天正十八年(一五九〇)豊臣秀吉の関東攻めにより、壬生氏が滅び、それ以後鹿沼宿の鎮守となった。
 宮中から東照宮に幣帛を献納するための勅使が通った道を日光例幣使街道(にっこうれいへいしかいどう)といい、徳川家の参道とは別の道路が作られている。日光街道と同じように、立派な杉並木が続く。国道道路標識も「例幣使街道」とある。
 鹿沼市はこの例幣使街道筋にあたり、東照宮の建造以来建築工匠らとの関わりが深かったといわれ、見事な山車が建造されている。祭にはすべては曳かれず、彫刻屋臺二〇数臺のうちから年毎に交代で六ー七臺を曳く。山車は例大祭の「鹿沼今宮付祭」として行われ、付祭(つけまつり)というのは、江戸時代、江戸の天下祭といわれた神田明神などの祭礼に、狂言や、歌舞など雑戯を演じるものをいい、屋臺も含まれている。
鹿沼祭は、国の無形民俗文化財に指定されている。

□問い合わせ
鹿沼市観光課
電話 0289-63-2188

□山車文献資料
・鹿沼の彫刻屋台 柳田芳男

□外部リンク
◇ナギと旅行☆縁結び催促旅行 福縁「日御碕神社」☆
2009/7/26(日) 午後 0:01
... なかなかお目にかかることが無く 細部に渡る彫刻類も極彩色で彩られていました。 また、この日御碕神社では、門司で行われている布刈神事と同様の神事が行われているようです。 障子を、あーゆーふうにして風を通すのか~と新たな発見もありました。 ...  http://blogs.yahoo.co.jp/nagi27nagi27/60056229.html

◇目黒で昭和な旅 ~百段階段~
2007/5/27(日) 午後 2:24
... 極彩色で浮世絵チックな壁や、橋がかかっ ... 」は欄干や柱の絵がすべて彫刻になっている(画像中)。 ... それと、もう1つ貴重なのが、各部屋の障子にほどこされている細工。 「組子障子」という高い技術でつくられた障子です(画像下)。これだけでも芸術品! これも今で ...
 http://blogs.yahoo.co.jp/jushimatsu23/49623845.html

◇御供本町だんじり
2007/4/6(金) 午前 1:44
... (彩色 平井真理子氏) 水引幕 紫地に御所車白紋二つ 彫刻 破風 鳳凰    手すり 花鳥    支輪 雲龍    胴板 三国志演義    隅障子 三国志演義    乳隠し 唐獅子牡丹    袖障子 唐獅子牡丹 土台幕 白地に青横線二本(改修時は三本) 写真 ... http://blogs.yahoo.co.jp/crjdb092/2704394.html

◇街で見つけた木鼻「その30」(嵐山町 鎌形八幡神社)
2006/12/24(日) 午後 3:16
... 本殿は、簡素な一間社流造りで、装飾的な彫刻は正面扉   両脇・脇障子・蟇股(かえるまた)・向拝木鼻(ごはいきばな)・   向拝蟇股などに限られている。   彩色もこの彫刻部分にのみ施されている。   本殿の建立年代は、棟札に「奉 ...
 http://blogs.yahoo.co.jp/sakado_iwasaki/25591532.html

◇半田 亀崎 西組 花王車 (詳細あり)
2005/5/22(日) 午後 7:24
... (文政年間には、建造されていただろう) ・彫刻は、金箔や彩色を施し現車とは、かなり異なる。   現車について ◎弘化3年(1846) ○立川和四郎富昌  ・壇箱『太平楽、楽人』 ・脇障子『葡萄取り仙人』 ・前山蟇股『百羽雀、稲穂に ...
 http://blogs.yahoo.co.jp/michy_f_wb4/3192788.html

◇00554 大津の御船祭

2009年09月15日 | 日本の山車
◇00554 大津の御船祭
茨城県北茨木市大津町
佐波波地祇神社(さわわちぎじんじゃ)
アメヒカタクシヒカタノミコト 天日方奇日方命
オオナムチノミコト 大己貴命
ツミハヤエコトシロヌシノミコト 積羽八重事代主命
ミワノカミスクナヒコナノミコト 三輪神少彦名命
ヒメタタライスズヒメノミコト 媛蹈鞴五十鈴姫命
イスズヨリヒメノミコト 五十鈴依姫命
□祭は五月上旬(五年毎)
□汎論
 佐波波地祇神社は延喜式神名帳、常陸國多珂郡の項に記載される古社。古代出雲系の神々が祭神に祀られている。アメヒカタクシヒカタノミコト(天日方奇日方命)はよくわからない神で、兵庫県豊岡市出石町(旧出石町)に、やはり延喜式に記載される古社、石部神社があり、やはり祭神に祀られている。石部神社の説明に、アメヒカタクシヒカタノミコト(天日方奇日方命)は、八柱大神ともいい、
天日方奇日方命(櫛日方命)
大己貴神
大物主神
大国魂神
事代主命
媛踏鞴五十鈴姫命
溝□姫命(□は文字なし、糸偏ではなく、木偏に「織」の旁部を書く)
活玉依姫命
を指すようである。佐波波地祇神社の祭神とよく似ている。
 ミワノカミスクナヒコナノミコト(三輪神少彦名命)は、スクナヒコナノミコトを三輪の神としているのが特筆される。イスズヨリヒメノミコト(五十鈴依姫命)はタマヨリヒメノミコト(玉依姫命)であろう。
 佐波波地祇神社の鎮座する山を、唐帰山(かいらいさん)とよぶ。おそらく神南備山であろう。大津岬にはアーネスト・フランシスコ・フェノロサとともに法隆寺の東院夢殿の救世観音(推古佛)を世に紹介した岡倉天心の旧跡「六角堂」がある。
 祭には船を陸上げし、これに神輿を載せて豪快な神幸が行われる。唐破風の屋根、黒い勾欄の安定感のある華麗な山車がある。唐帰山は古代出雲氏が舟により各地に移動したことを推定させる。

□問い合わせ
郵便番号 319-1702
茨城県北茨城市大津町一一五五
電話番号0293-46-0328

□外部リンク
◇「超古代史 -竹内文献よりー 」の講義資料です。本日分は復習としてお読み下さい。
2009/3/15(日) 午前 2:11
... 天皇の本来の使命は、天神地祇を奉祭し、宇宙の中心として「万有の生成化育を祈る」ところにある。 ... 上古1~3代   上古1代 天日豊本葦牙気皇主尊天皇     (あめひ ... こいのぼりにつける5色の吹流し、神社仏閣の御祭 りに用いられる5色の幕 ...