暘州通信

日本の山車

●973 スゲ属(Calex)植物図譜

2007年01月11日 | 岐阜県植物誌
●973 スゲ属(Calex)植物図譜
スゲ属(Calex)植物図譜3巻、は吉川純幹の著で、たしか金沢大学理学部に所属する
北陸植物の会から刊行されたはずである。
名古屋の小物学者で著名だった井波一雄氏(故人)が、その描画を「まさに神業」と評され、入手の機会が得られないのを残念がっておられたことを思い出す。
昭和50年代に古書店ですでに60万円あまりの値段がついたことがあるが、ほしい方が入手できたか、否か?
金沢市のT氏とは永年の交流だったが、あるときこの、スゲ属(Calex)植物図譜が送られてきた。添えられた手紙に謹呈とあった。正直、嬉しさと困惑があった。早速手紙を出してその気持ちを伝えたのだが帰ってきた返事は意外なものだった。
T氏は糖尿病の持病に長年悩まされてきたのだが、病状は悪化。ついに失明にいたったということで、かねてから希求していたあなたに(筆者のこと)役立てていただければ幸いです。ということで、忝く頂戴したのだった。
まもなくT氏は逝去された。その後なんどとなく本をひらくのだが、T氏の好意に報いられないのは遺憾のきわみである。
一緒に卯辰山の植物観察をしたのがきのうのことのように思い出される。もし、病気にかからなければ、いまもよき交流が続いているはずだと思うと残念だ。

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◆00051 植物分布区系1

2006年09月30日 | 岐阜県植物誌
◆00051 植物分布区系1
四国の石鎚山、剣山、近畿の和泉山系から中部鈴鹿山系、岐阜県恵那山、木曾の御嶽山。中央アルプスから南下して南アルプスを光岳まで。ここから北に向かい群馬県鳴神山、さらに北上して東北早池峰山まで。
このラインを結ぶ日本の脊梁線上には固有の植物群がみられる。
サクラソウ科、サクラソウ属の、
シコクカッコソウ、カッコソウ。
ラン科、エビネ属の、
イシヅチエビネ、キソエビネ。
ケシ科、オサバグサ属の、
オサバグサ。
キク科、アザミ属の、
スズカアザミ、ワタムキアザミ、イブキアザミ、コイブキアザミ、トネアザミ(タイアザミ)、ナンブアザミ。
などがあげられる。
中央アルプス・木曾駒ケ岳のハハコヨモギ、南アルプス・北岳のキタダケソウは特産種。ホウオウシャジン、イワシャジンは南アルプス山系に産するが自生地でも変異が多く種としては固定しない。


◆00734 イチョウシダ

2006年09月18日 | 岐阜県植物誌
◆00734 イチョウシダ
広げた葉の直径は50-60ミリメートルくらい。想像以上に小さい植物である。葉の先はその名のように銀杏のような形をしている。
石灰岩質を好む植物で、岐阜県内では北部の飛騨市(旧宮川村)旧道脇のほぼ垂直の石灰岩壁にまれに見られる。
チャセンシダ科
チャセンシダ属

◆00247 コマクサ

2006年09月17日 | 岐阜県植物誌
◆00247 コマクサ
高山礫地に他の植物と混じることなく自生する。その孤高で優雅な紅花はまさに高山植物の女王である。
乗鞍岳には豊産する。御嶽山にまで分布したが、お百草とするためずいぶん採集され、絶滅と伝えられるが、じつはまだまだ若干の生育が認められる。九十九草にコマクサを加えて百草とする。
双子葉植物なのに発芽は葉が一枚しか出てこない。種子から開花まで早くても数年はかかるようだ。
加賀白山には自生がない。
ケシ科
コマクサ属

◆00041 フジアザミ

2006年09月15日 | 岐阜県植物誌
◆00041 フジアザミ
静岡県富士山五合目あたりでは、オンタデ、ムラサキモメンヅルなどに混じって巨大な花を点頭させる。
岐阜県北部に見られ、かって白川村に御母衣ダムが建設されたときは路傍に大繁殖したことがある。日本地溝帯で変化した種と推定されている。松本清張の推理小説に、越後の古代遺跡から出た勾玉にはじまり、富山県小滝川の翡翠、新潟県の姫川支流でフジアザミが目撃される話が出てくるが、分布域が異なることに、ある人物が疑問を抱いたことから話が展開する。
キク科
アザミ属

◆00039 シラネアオイ

2006年09月15日 | 岐阜県植物誌
◆00039 シラネアオイ
江戸時代、大垣平林荘の飯沼慾齋が著わした「草木図説」に白山で採集したものが記載されている。新潟県の飯豊山にはまだまだ見られ、富山県宇奈月で採集した標本を見せてもらったこともあるが、岐阜県ではまだ確認できずにいる。
キンポウゲ科
シラネアオイ属

◆00035 ユキツバキと雪椿

2006年09月14日 | 岐阜県植物誌
◆00035 ユキツバキと雪椿
ユキツバキの自生は岐阜県北部、富山県庄川沿いに白川村椿原まで。神通川沿いに富山県から飛騨市(旧宮川村)まで自生が見られる。
幹や枝はしなやかで強靭、2メートルをこえる雪にも折れずその重みに耐え、ゆきどけとともに立ち上がって見事な花をつける。
「雪椿は越後」と思われがちだが、長年にわたって加賀、越中、飛騨で育種された
雪椿の品種にはまだ世に知られぬ優品が多々ある。
尾張の名椿玉手箱は純白の花弁に一筋の紅色が紐をかけたようにみえる。これも雪椿の血が入っていると推定している。
山本梅逸の椿図におしべが花心から長く抽出する珍しい椿が描かれているが、いまこの椿は世に伝わらないようだ。
富山県南部から白川村には厳選されたみごとな雪椿が栽培されているのが見られたが、近年めっきり減少している。
ヤブツバキ(ヤマツバキ)とユキツバキは生育地の重なるあたりに自然交雑があり、サルイワツバキなどが知られるが、園芸品種となっている椿にはユキツバキ系との交配種と推定されるものも少なくない。

◆00269 ベニマンサク(マルバノキ)

2006年09月14日 | 岐阜県植物誌
◆00269 ベニマンサク(マルバノキ)
秋には見事な紅葉をみせるが、木の葉も散った、晩秋から初頭(10月下旬から11月)、新雪の積もる山野にひっそりと紅色の花を咲かせる。
高山市宮村(旧宮村)の宮川上流域から高山市(旧清見村)馬瀬川に沿い下呂市(旧金山町)にいたるかなり限定されるが岐阜県では広範囲に見られる。
白い山道で紅色の花といえばかなり目立ちそうだが、意外と知られておらず、路傍にあるものは無造作に刈払われている。
となりである愛知県、静岡県、三重県、滋賀県でもまだ検出されていないのでは? と思われるが、飛んで広島県には自生がある。著しい隔離分布だが、岐阜県の自生は貴重だ。
マンサク科
マルバノキ属