34474 鳥と霊
太陽を運行する太陽信仰と鳥の例。
赤ちゃんはコウノトリが運んでくる西洋の例。
死者の霊は鳥によって来世に運ばれる鳥葬の例。
来るもの、往くもの。万物すべてが免れ得ない絶対の摂理に支配されている。
明烏の鳴き声には不吉を覚え嫌悪する。鳥と霊を結びつける事例は世界に無数にある。
ときには、蝶にさえも先祖の存在を感得する説話さえある。
死と生を絶対としてそのまま自然に受け入れる思想のひとつに「鳥居」がある。
鳥居の起源は不明な点が多いが、朝鮮半島から、中国の西部からヒマラヤ、東南アジアの一部に分布するようである。
こうしてみてくると日本の神社に見られる鳥居は、外来文化と言えそうである。
社寺建築に「鳥衾(とりふすま)」をもつものがあるが、死者の霊を迎えにきた鳥のとまる場所であろう。
京都府北西部、兵庫県の東部におよぶ広範な値域、丹波地方にはかつて草葺の屋根に千木を結び、さらにそのうえに、竿状の架木をおいた家屋が多く見られた。
あらたないのちをとどけ、死者の霊を迎える鳥のとまる場所である。
近年数は減少したがまだ一部では見られるようである。この架木を「鳥とまり」という。東南アジアのタイ北部にもまったくおなじような家屋があるからアジアではかなり広範に分布するのだろう。鳥居もおなじである。そしてそれは、支石墓・ドルメンの分布にほぼ重なる。
支石墓は、南方型と北方型に二大別されるようだが、わが国でも各地にみられる古墳は、基本的にこの支石墓から発展したものであろう。
支石墓・ドルメン、またストーンサークルという祭祀文化は紀元前から、紀元八世紀ころまで変化しながら分化発展しているが、それは、縄文文化、弥生文化のなかに同化している。紀元前、この文化をもった民族が古代日本人であろう。