暘州通信

日本の山車

20001 山車の定義 6

2007年03月31日 | 日本の山車
4 笠鉾の進化
笠鉾は傘鉾と「よみ」がおなじで混同されることが多いが、もとは同義と考えてよかろう。ただ車輪をつけた山車は笠鉾で、笠鉾といわない。秩父地方各地にみられる。
北陸地方高岡に代表される御車山は、傘鉾から進化した型。華やかな五色の花笠が垂れ下がる。真柱頂部に「鉾止め」といわれる作りものがあがる。
ちなみに、山車の数え方は、一本、二本というように、「臺」ではなく、「本」であるのは柱が基本になっているからである。
多層式の山車の二層、三層の胴部が膨出するかたちは村上大祭の山車、江戸山車が伝わるる栃木の山車などに見られる。この形は傘鉾の変化したものと推定される。
埼玉県寄居町にみられる一本柱山車は関東各地にみられる。
埼玉県本庄市に数臺のこる山車の中には基臺はそのままに、上層部が回転する。
日立風流物も前部と後部が一八〇度回転する構造となっていて趣向の変わったからくりを披露する。このような構造は一本柱でなければ不可能であるが、見ていて感嘆する。

20001 山車の定義 5

2007年03月31日 | 日本の山車
20001 山車の定義 5

3 練物と笠鉾
練り物が出る過程で笠鉾(傘鉾)が出るようになった。

京都祇園祭の四条傘鉾、綾傘鉾。
城端祭の傘鉾は傘のうえに飾物(練り物)がのる。
新潟県北部村上大祭には、華麗な堆朱がほどこされた、にわか山車、曳山がでるが、これに傘鉾が混じる。
長野県須坂市には傘鉾がでるが、近年これを展示する「傘鉾会館」ができて、年中拝見できるようになった。
盆踊りで名高い岐阜県の郡上八幡とその周辺には傘鉾がでる祭がある。


20001 山車の定義 4

2007年03月30日 | 日本の山車
20001 山車の定義 4

2 風流と浮流
風流と浮流は、前者が茨城県の常陸地方、後者が佐賀県西部から長崎県の杵築地方に行なわれている。
室町時代から江戸時代にかけてひろく行なわれていた田楽、猿楽などが長い年月の消長の過程で遺存的に名を変えて残ったものであろう。
芭蕉の『奥の細道』に詠まれている俳句に、
  風流のはじめや奥の田植え歌
がある。雪月花を賞でる風流だという。また、風流人という言葉があるが、これを茨城県日立市で曳かれる「宮田の日立風流」など「風流」だったと解すると、俳句の解釈もすこし違ったものとなってくる。
風流は練物へと変化している。

20001 山車の定義 3

2007年03月30日 | 日本の山車
20001 山車の定義 3
第3 山車の形態
1 柱の形をとるもの。
①山車の基本形は一本の柱である。
例、
正月の門松。
伊勢神宮の真の御柱。
山口県下関市蓋置島の柱。
愛媛の柱。
長野県諏訪大社の御柱。
丹後旧野田川町三河地曳山祭の幟
京都丹波日吉町牧山の柱松。
美山町柱松。
京都市雲ヶ畑の柱。
京都市花背の柱。
越前灘庄の柱。
越前の天道花。
とぶさたて。
岩国市の柱幟
難波西成区の臺額。
お熊甲祭の枠旗。
魚津浦のたてもん。
秋田の竿灯。
七夕飾り。
など。

20001 山車の定義 2

2007年03月30日 | 日本の山車
20001 山車の定義 2
第2 山車とは移動神坐である。
①移動する「やま」である。「やま」とは、神の依代のことである。
②移動の形態は、直接人力によるもので、これには舁くもの。担ぐものがある。
③移動を容易にするため物理的な力を加えるもの。神坐に車輪をつけ曳くもの。
これにも人が曳くもの。牛など他の動物の力をかりるものがある。
④山車は曳くもので、「押しやま」というものはないようである。

20001 山車の定義 1

2007年03月30日 | 日本の山車
20001 山車の定義 1
「山車」ということばはかなり普遍的に使われている。しかしこれを定義するのは甚だ難しい。そもそも「山車ということば」そのものにも疑義が問われる。
しかし、「山車」ということばには便宜性があり、ごく一般的に普通名詞として使われている。
では、山車とはなんだろうか?
まずその分類であるが、

第1 神は天から降臨する。
①標となるものは標山(しめやま)である。

05950 馬市まつり

2007年03月22日 | 日本の山車
05950 馬市まつり
青森県つがる市(旧木造町)
□祭は九月上旬。
明治中期に農耕馬の市としてはじまった馬市は、農業の近代化で衰退したが、馬ねぶたまつりは盛大に続けられ,
馬ねぶたが二〇基ほどでる。

□問い合わせ
木造町産業振興課 
電話 0173-42-2111

00153 掛塚祭

2007年03月11日 | 日本の山車
00153 掛塚祭
静岡県竜洋町
貴船神社
□祭
屋臺六臺を曳く。
貴船神社は、海上海運の安全、漁業、農業の守護神として崇敬され特に廻船業者の厚い
信仰を受けてきた町の産土神である。
神が神社から仮宮に神幸するとき、氏子の若衆らが屋臺を曳いて神輿のお供をする。これが掛塚祭の中心である。初期の屋臺は、荷車から曳舞臺、二層の屋臺へと時代と共に変遷してきた。江戸時代末期から明治時代にかけすべてが唐破風造りの単層になった。江戸時代の掛塚は、廻船業を中心として栄え、町民の財政も豊かだったため、各地のすぐれた技術者が集まり、造られた屋臺も絢爛たるものとなった。

□山車
・蟹町 可組
工匠は坂田歌吉亀寿。大正九年の建造。
破風前鬼板、題は三国誌演義、彫常。
懸魚
破風後鬼、一ノ谷の合戦
懸魚
正面蟇股、千羽雀
正面欄間、親子竜(子持竜)彫松
後面欄間、義経弁慶五条大橋の出逢い
後面蟇股、雲
欄間 松に鳩、竹と雀、梅とうぐいす。
脇障子 須佐之男命、彫松
櫛稲田比売、彫松

・新町 志組
工匠は立川和四郎富重。
慶応二年の建造。
信州諏訪からの出造りで国清寺に滞在し三年掛りで完成したといわれる。
破風前鬼板、石橋山合戦 立川和四郎富重
懸魚、立川和四郎富重
破風後鬼板、唐獅子と毬 立川和四郎富重
懸魚、牡丹 立川和四郎富重
正面蟇股、虎の子渡し(雄)
欄間 虎の子渡し
後部梁上 老松
梁 瀬田の唐橋
欄間 鐘馗の豆まき
欄間 唐子の宝遊び
縁止 前 唐子の曲芸
後 粟にうずら
正面腰板、雲、波。千鳥
木鼻 獏
幕 迦陵頻、飛竜

・横町 よ組
工匠は平野勘蔵
建造は明治四0年
破風前鬼板 黄石公と張良 伊藤松次郎(彫松)
懸魚、大正七年の作
破風後鬼板、加藤清正の虎退治、大村善太郎、大正7年
懸魚
正面蟇股、子持竜、昭和六年
正面欄間、波に日の出 彫松
後面欄間 児島高徳と桜樹
後面蟇股竜 龍 昭和6年
欄間 責砥藤網、大村善太郎、大正七年
欄間 養老の滝、伊藤松次郎(彫清?)
欄間 神功皇后(彫松)大正七年
司馬温公の瓶割(彫松)、野々垣清三郎
脇障子 左甚五郎とのみ、彫松、昭和十九年
京人形と牡丹、昭和十八年
幕、仙人群像(詳細不明)、永井実、大正一五年。
木鼻 狛獅子 川合富士

・大当町 大組
工匠 不詳
破風前鬼板、雌雄竜、彫雲堂吉門
懸魚
破風後鬼板雌雄竜、彫雲堂吉門
懸魚
正面蟇股蟇股、雲
正面欄間 二見ケ浦 後藤岩五郎
後面欄間 霊獣
後面蟇股、雲
欄間 風神、雷神 霊獣 後藤岩五郎
 風神
木鼻、狛獅子 片桐兵助伊寿
脇障子 
表 羅生門、立川和四郎富惇
裏 張呆廊
表 松と虎
裏 鐘馗
持送り 犬に蒲公英(タンポポ) 小池佐太郎
幕、鳳凰
七つの兎、兎のもちつき
支度寺縁起
玉と竜

・田町 田組
工匠 小池佐太郎
昭和二十七年
懸魚
破風前鬼板 大江山鬼退治 浦辺一郎
破風後鬼板 中国の物語、浦部一郎
懸魚、張道陵仙人
正面蟇股、鳳凰、浦部一郎
正面欄間、岩見神楽、浦部一郎
後面欄間、七福人、浦部一郎
欄間 源三位頼政の鵺退治 浦部一郎
欄間 二十四孝より郭巨
左欄間 日本武尊
平家公達、維茂の持つ刀
脇障子、呂洞賓、鐘馗

中町 な組
工匠 坂田歌吉
明治三十九年
破風前鬼板 天岩戸開き 彫松
懸魚
破風後鬼板 鍾馗の鬼退治 彫常
懸魚
正面蟇股、雲
正面欄間唐獅子と牡丹、彫常
後面欄間、熊襲退治
後面蟇股、國造り
欄間 司馬温公甕割り 早瀬利三郎(号秋静)
欄間 二十四孝より舜帝 早瀬利三郎
左欄間 獅子の玉とり
欄間 七福人
脇障子 手長、足長
木鼻狛、獅子 鈴木宣之
持ち送り幕、波に亀
幕、大國天とねずみ、東京越後屋製
後幕、七金織帯

・砂町 す組
工匠 鈴木庄吉作
明治二十九年
破風前鬼板 小栗判官と照手姫 作者不詳
懸魚
破風後鬼板、九尾の狐、大村善太郎 昭和四年
懸魚、川合富士 大正六年
正面蟇股 竜、不易堂三光
正面欄間 玉獅子と牡丹 不易堂三光
後面欄間、鵺退治
後面蟇股、鵺退治 不易堂三光
欄間 藤と猿、菊と親子島
欄間 越後八ツ橋の梅、梅とうぐいす、紅葉
木鼻、狛獅子 正面二、左右四。
脇障子 獅子 千丈谷落し 彫松 大正八年
須佐之男命と櫛稲田姫
持ち送り
幕、波に千鳥 川合富士
幕、虎に竹 作者不明

本町 も組
工匠 鈴木勇次郎
明治三年
破風前鬼板、須佐之男命、立川専四郎富種、作成年は不明
懸魚、櫛稲田比売
破風後鬼板、鞍馬の牛若丸と鳥、後藤岩五郎、作成年不明
懸魚、天狗
正面蟇股、粟穂とうずら、不易堂三光
正面欄間 唐獅子牡丹 竹に虎 不易堂三光、明治二十四年
後面欄間 義経と弁慶五条大橋の出会い 鈴木岩重
後面蟇股、太平鰭
木鼻獅子 正面二 左右四。後藤岩五郎の弟子
右欄間 立川専四郎富種
梅、蘭、菊。
脇障子 石榴と鸚鵡、立川専四郎富種
脇障子 蝦蟇仙人
幕 鶴、鳥籠、千羽鶴の図 作者は不明。嘉永五年
後幕 花と籠

□祭囃子
掛塚祭屋臺囃子は昭和四十五年六月二日、静岡県指定無形民俗文化財に指定された。
〈掛塚掛塚屋台囃子保存会〉