備忘録として

タイトルのまま

Hundred-Foot Journey

2014-12-20 13:25:56 | 映画

インド人の若者が異国で奮闘活躍する映画2本、ハンガーゲームDivergentのような近未来の社会を描いたSF映画2本を機中で観た。インド人が活躍する映画は、「Slumdog Millionaire」や「Life of Pi」が面白かったが、この2作もなかなか良かった。偶然か必然か面白いことに、この4作品のタイトルには、”Hundred”100、”Million”100万、”Pi”3.14とすべて数字が入っている。インド人が数字と論理に優れていることを象徴しているのだろうか。ポスターはIMDbより。

「The Hundered-Foot Journey」2014、監督:ラッセ・ホールストローム、出演:ヘレン・ミレン(マロリー)、オム・プリ(パパ)、マニッシュ・ダヤル(次男ハッサン)、シャーロット・ルボン(ハッサンの恋人)、タイトルの100フィートは30mなので、わずか”30mの旅”という題である。ところが実際は、インド人家族がいたインドのムンバイからレストランを開業した南フランスまでの直線距離は約7000㎞、すなわち2300万フィート以上の遥かな旅である。インドから出てきた家族はたまたま車の故障で留まった南フランスでインド料理店”Maison Mumbai”を開業する。通りを挟んだ100フィート向うにはミシュラン星1のフレンチレストランが立っていた。インドレストランの発散する電飾や音楽が格調高いフレンチレストランの雰囲気を壊すことに苛立つ女主人マロリーは様々な営業妨害を仕掛け、インド料理店のパパと大喧嘩を始める。しかし、マロリーはインド料理店のシェフで次男のハッサンが天才的な味覚と腕を持っていることを見抜いていた。ハッサンは自分の腕を磨きたくて100フィート向うのフレンチレストランで働くことになる。ハッサンはすぐに頭角を現しミシュラン星2を獲得する。ハッサンはスカウトされ、パリのレストランでも活躍するが、ある日厨房のインド人スタッフが食べているインド料理を懐かしく思い、家族や恋人のいる南フランスへ戻り、フレンチレストランのオーナーシェフとして生きることにする。習慣や文化や宗教が違っていても人間の本質は不変であることに気付かされる。★★★★☆

パパの”Almost girl friend"になるマロリー役のヘレン・ミレンは、古くはハリソン・フォードと共演した「モスキート・コースト」、最近では「Red」と「ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記」を観た。

ハッサンが亡くなった母親からもらったスパイスが重要な役割を果たす。Masaraはインドの香辛料の総称、すなわちスパイスと同じ意味で、Masaraという名前の香辛料はないということをインド人の知人から最近教えられた。9月に行ったデリーの下の写真の店で紅茶といっしょにいろいろなMasaraを買った。店でもらったレシピに沿ってMasaraを調合し家でカレーを作ったが、インド料理店で食べるカレーとは程遠いものだった。レシピ通りにいかないのには、今は”存在しない”ことになったSTAP細胞と同じような何か秘伝のコツがあるのかもしれない。店では香辛料のほかアッサムのダージリングティーやサフランを大量に買った。自分のサフランを使うレシピは3種類(パエリア、リゾット、ただのサフランライス)しか持ち合わせていないので一生かかっても消費しきれないかもしれない。写真の右側は、デリーのレストランで出てきたインドチーズの上に焼いたパプリカをのせた前菜で、大変美味しくシンガポールのインド料理店では食べたことがなかったので思わず写真を撮った。いつも食べるカレー、タンドリーチキン、ティカ、サモサ、ナン、サフランライス、ラッシー、マサラティーなどの写真は当たり前すぎて手元にないので割愛する。映画の中でインド料理にウニを使うのを見て驚いた。食べてみたい。でも、カリフラワーアイスクリームは食べなくていい。

「Million Dollar Arm」2014、監督:クレイグ・ギルスピー、出演:ジョン・ハム(JBスポーツエージェント)、シュラジ・ファーマ(リンク)、マヅアー・ミタル(ディネッシュ)、ピトバッシュ(通訳アミット)、レイク・ベル(ブレンダ下宿人)、野球の未開地インドで野球選手をスカウトした実話。スカウトされたRinkuとDineshはまったく野球経験がなく、球速による身体能力でスカウトされ、アメリカに渡り期限付きでトレーニングを受ける。大リーグスカウトの前でトライアウトに臨みパイレーツとマイナー契約する。みんなで野球映画のクラシックであるゲーリー・クーパー主演「打撃王」を見る場面が出てくる。「The Hundred-foot Journey」同様に、インドの若者二人と通訳のアミットがホテルで騒動を起こしたり、JBの家でヒンドゥー教の祭壇を作りお祈りしたり、インド料理パーティーをするクロスカルチャーが面白い。★★★☆☆

下の写真は昨年シンガポールで開催された少年野球大会の開会式で、左から3人目のスーツを着た背の高い選手がインドチームのキャプテンである。初めての国際試合参加だと思うが、インドで盛んなクリケットの開会式はスーツ着用なのだろうか。オリンピックに野球を復活させるためにもインドなどの野球未開地で普及してほしいものだ。他は地元シンガポール、日本、台湾、インドネシア、マレーシア、タイ、オーストラリアで、息子は小中学生の頃、このシンガポールチームで野球をさせてもらった。

「The Giver」2014、監督:フィリップ・ノイス、出演:ブレントン・スウェイテス(ジョナス)、ジェフ・ブリジス(Giver)、メリル・ストリープ(長老)、人類から紛争、諍いを失くすために作られた管理社会では、家族や愛や希望は邪魔物である。Giverから真実を教えられた若者ジョナスは愛と希望を取り戻そうとする。近未来社会を描く他のSF映画と差別化したかったのだろうか、管理社会への批判、家族、愛、ヒューマニズムを強調するため、マンデラ、天安門事件、戦争、子供、家族などの現実社会の映像を何度も流すが、それが安直で逆に共感できなかった。ストーリーが単純で、かといってSF映画必須のCGに迫力がなく、超大物俳優二人が出演してもなお、★☆☆☆☆

「The Maze Runner」2014、監督:ウェス・ボール、出演:ディラン・オブライエン、カヤ・スコデラリオ、ある理由で集められた少年たちは、迷路の真ん中に閉じ込められている。少年たちはそれぞれの個性を発揮し協力して化け物が棲む迷路から抜け出そうとする。抜け出た先には、迷路を管理する施設があったがそれはすでに破壊されていた。迷路に少年たちを集めたのは、そこで人類を救う能力を持った少年を選抜するためだったというのだが、この映画ではその背景がよくわからない。迷路に棲む化け物はクモ型ロボットで、「Edge of Tomorrow (All You Need is Kill)」の異星生物に似ていた。観る気はあまりないのだが、一応続編に期待して、★★☆☆☆