イギリスが国民投票によりEUからの離脱を決めた。国民投票という行為は一見すると民主的な方法に見えるが、議会制民主主義を崩壊させるものだ。議会制民主主義は国民の代表を国会に送り、そこで国としての施策を決めるもの。国としての施策は国民投票で決めるわけではない。国民投票を行うという事は矛盾した民主主義である。行ってみれば何のために議会制民主主義としたのか、である。
国民投票で、重要な施策を決めるのなら、議会を作る必要があるのだろうか。また、全ての施策を国民投票で決める、というのならばいいのかもしれないが、一つの事だけを国民投票にする、というのならば、それは憲法で規定されていることなのか。日本国憲法の場合には、憲法改正に限って国民投票により決めるようになっている。その他の法律の改正においては基本的には国会で決めることになっている。
イギリスの法律のことは良く解らないが、日本ではこのようなことは有り得ない。要は、イギリスにおいては重要事項を国民投票で決めるようになっているのかもしれない。今回のEUからの離脱は果たしてイギリスの将来を何処に持って行こうというのだろうか。人の動き、物の動き、経済の動き、などを一つの国家の様に取り扱うのがEUである。これを根本から否定してしまうと、そこに止まることは出来なくなる。
イギリスはEUが進める移民政策について異議を唱えていたことは確かだ。いや、ドイツ以外の国は移民に対して考え方が全て一致していたわけではない。夫々の国の事情が異なっている。それを一律に取り扱おうとすれば、どこかに無理が出てくる。移民に関してはドイツが主導権を握って事を進めていたような気がする。ドイツ以外の国は何処も経済的に豊かではない。
移民の受け入れで、社会保障、雇用、治安など様々な問題が起きている。ドイツなどは日本が移民を受け入れないことに対して異議を唱えていた。日本でも外国人の受け入れを極めて慎重に行っている。移民となればEUと同じ問題に突き当たることは確かだ。若しも、日本が重要事項を国民投票で行うとしたら、それは極めて危険なことになるだろう。当然、法律上の問題も起きる。国民投票は必要がなければ行うことは避けるべきだ。憲法改正であれば、それは憲法上の問題として行うべきだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます