たまたまある雑誌を見ていて、初めて知りました。コレクティブ・ハウジング。"collective"とは、「集合的な」という意味です。北欧で1970年代に登場した新しい形の住まい方。一人にしろ家族にしろ、複数の世帯が各々の住まいを持ちつつ、日常生活の空間を共有しているのだそうです。数年前から既に日本でも現実に存在するらしいです。コレクティブ・ハウスを管理するNPOもあります。
その一つ、東京・日暮里にある「かんかん森」というコレクティブ・ハウスは、中学校の跡地に作られた「日暮里コミュニティ」という12階建ての建物の2~3階にあります。ちなみに、4~12階までは老人ホーム。1階にはレストランや保育園、診療所が入っています。
コレクティブ・ハウス部分には、0歳から80歳までの28世帯、38人が暮らしています。それぞれの住戸は賃貸で7万円台~17万円台。これだけだと普通のマンションと同じですが、コレクティブ・ハウスの特徴は、住戸の延長として住人が自由に使える「コモンスペース」が充実していること。菜園テラス、カフェコーナー、ランドリースペース、工作テラス…。さらに、ダイニングとキッチン、リビングまでが共有スペースなのです。ただし、これらは、「共同生活」の場ではなくて、あくまでも「日常生活を補完する場」だという。
コレクティブ・ハウスの一番大きな特徴は、週3回程度、みんなが「食事を共にする」点だと思います。「コモンミール」といって、月に1回程度、全員分の食事を作る「食事当番」が回ってくるのだそうです。月1回とはいえ、20~30人分の食事を提供するのは結構たいへんだと思うのですが、逆に考えれば、それ以外の日は食事を作らなくてもいいわけだし、特に、シングルマザーとか共稼ぎ夫婦、高齢者にとっては、便利で合理的なシステムなのかもしれません。もちろん、「味」には文句は言えないでしょうけどね。
食事は、日常生活の中で非常に重要な意味を持ちますが、日本では、祭りや慶事など、「ハレ」(非日常)の場では食事を共にする文化はあるものの、「ケ」(日常)の中で他人と食卓を囲むという習慣はなかなかありません。欧米の「ホームパーティ」のようなスタイルは、日本人にはなかなかなじまないものです。しかしながら、コレクティブ・ハウスで同じテーブルを囲むことを非常に重視しているのは、そのことによって、家族を超えたつながりや共同体意識が生まれるからなのでしょう。そういえば、日本にも「同じ釜の飯を食った仲間」という言葉がありますもんね。案外、工夫次第では、このシステムも日本に根を下ろすのかもしれません。
また、コレクティブ・ハウスのもう一つの大きな特徴は、「話し合い」によって合意形成を図ることが徹底していること。「かんかん森」では月1回の住人全体による定例会では、多数決ではなく、すべて話し合いによって物事を決めているといいます。全員が納得するまで話し合う。職場の会議とは違って、コトは自分たちの「暮らし」そのものにかかる話し合いですから、全員が「当事者」なわけです。「長いものには巻かれろ」意識の強い日本人には、こうした合意形成の進め方はなかなかむずかしいように思えますが、要は「慣れ」の問題でしょうか。
コレクティブ・ハウジングに関心が高まったのは、阪神・淡路大震災で多くの住民が長い期間にわたって共同生活を余儀なくされたことがきっかけだとも聞きますが、核家族化、少子化、高齢化がますます進行する中で、こうした新しい住環境が日本でも登場してきたのは十分うなずけます。個々の家族のプライバシーには十分配慮しつつ、相互扶助の精神に支えられた共同体としての「住居」も維持していく。それは新しい形の「地域」と呼んでもいいのかもしれません。
日本でコレクティブ・ハウジングが根を下ろしていけるかどうかは、北欧の真似だけではなく、日本人に合った「日本版コレクティブ・ハウス」ができていくかどうかにかかっているのではないでしょうか。もちろん、その時には「コレクティブ・ハウス」という外来語に変わる、新しい呼び方も必要ですね。
その一つ、東京・日暮里にある「かんかん森」というコレクティブ・ハウスは、中学校の跡地に作られた「日暮里コミュニティ」という12階建ての建物の2~3階にあります。ちなみに、4~12階までは老人ホーム。1階にはレストランや保育園、診療所が入っています。
コレクティブ・ハウス部分には、0歳から80歳までの28世帯、38人が暮らしています。それぞれの住戸は賃貸で7万円台~17万円台。これだけだと普通のマンションと同じですが、コレクティブ・ハウスの特徴は、住戸の延長として住人が自由に使える「コモンスペース」が充実していること。菜園テラス、カフェコーナー、ランドリースペース、工作テラス…。さらに、ダイニングとキッチン、リビングまでが共有スペースなのです。ただし、これらは、「共同生活」の場ではなくて、あくまでも「日常生活を補完する場」だという。
コレクティブ・ハウスの一番大きな特徴は、週3回程度、みんなが「食事を共にする」点だと思います。「コモンミール」といって、月に1回程度、全員分の食事を作る「食事当番」が回ってくるのだそうです。月1回とはいえ、20~30人分の食事を提供するのは結構たいへんだと思うのですが、逆に考えれば、それ以外の日は食事を作らなくてもいいわけだし、特に、シングルマザーとか共稼ぎ夫婦、高齢者にとっては、便利で合理的なシステムなのかもしれません。もちろん、「味」には文句は言えないでしょうけどね。
食事は、日常生活の中で非常に重要な意味を持ちますが、日本では、祭りや慶事など、「ハレ」(非日常)の場では食事を共にする文化はあるものの、「ケ」(日常)の中で他人と食卓を囲むという習慣はなかなかありません。欧米の「ホームパーティ」のようなスタイルは、日本人にはなかなかなじまないものです。しかしながら、コレクティブ・ハウスで同じテーブルを囲むことを非常に重視しているのは、そのことによって、家族を超えたつながりや共同体意識が生まれるからなのでしょう。そういえば、日本にも「同じ釜の飯を食った仲間」という言葉がありますもんね。案外、工夫次第では、このシステムも日本に根を下ろすのかもしれません。
また、コレクティブ・ハウスのもう一つの大きな特徴は、「話し合い」によって合意形成を図ることが徹底していること。「かんかん森」では月1回の住人全体による定例会では、多数決ではなく、すべて話し合いによって物事を決めているといいます。全員が納得するまで話し合う。職場の会議とは違って、コトは自分たちの「暮らし」そのものにかかる話し合いですから、全員が「当事者」なわけです。「長いものには巻かれろ」意識の強い日本人には、こうした合意形成の進め方はなかなかむずかしいように思えますが、要は「慣れ」の問題でしょうか。
コレクティブ・ハウジングに関心が高まったのは、阪神・淡路大震災で多くの住民が長い期間にわたって共同生活を余儀なくされたことがきっかけだとも聞きますが、核家族化、少子化、高齢化がますます進行する中で、こうした新しい住環境が日本でも登場してきたのは十分うなずけます。個々の家族のプライバシーには十分配慮しつつ、相互扶助の精神に支えられた共同体としての「住居」も維持していく。それは新しい形の「地域」と呼んでもいいのかもしれません。
日本でコレクティブ・ハウジングが根を下ろしていけるかどうかは、北欧の真似だけではなく、日本人に合った「日本版コレクティブ・ハウス」ができていくかどうかにかかっているのではないでしょうか。もちろん、その時には「コレクティブ・ハウス」という外来語に変わる、新しい呼び方も必要ですね。
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