27年ぶりに、トキが佐渡の空に美しい弧を描きました。
佐渡トキ保護センターで育てられていた10羽のトキが、9月25日、野生復帰に向けて先日放鳥されました。佐渡の空にトキが舞ったのは、1981年1月、人工繁殖のために最後の野生のトキ5羽を捕獲して以来のことだそうです。2年前、佐渡に行ったときに保護センターのゲージの中で甲高い声で鳴いていたトキたちの中に、この10羽もいたんだろうなと、とてもうれしく思いました。
「ニッポニア・ニッポン」という学名のついているトキですが、実は日本産の種は2003年の「キン」の死によって途絶えてしまっています。現在保護センターにいるトキは、すべて、中国から寄贈されたつがいから繁殖したもので、現在122羽まで増えているのだそうです。保護・繁殖から野生復帰へ。今回の放鳥は、トキの「回復」に向けた新たな段階に入ったものです。環境省は、今後2015年までに60羽ほどを野生に戻すのだとか。放鳥といっても、完全に「手放す」わけではなく、何羽かには背中にGPS付き発信器を背負わせて、野生での生態もしばらくは追うらしい。かわいそうな気もしますが、これも「保護」のためか。
トキの「保護」。それは、トキと人間が共生できる環境づくりということですね。考えてみるまでもなく、トキが姿を消したのはすべて人間のせい。トキのエサであるドジョウやタニシ、サワガニなどが農薬まみれの田んぼからいなくなったことが大きな原因と言われています。あるいは、その美しい羽ほしさの乱獲。そもそもトキは、地元の人にとっては田んぼの苗を踏み倒す「害鳥」だったわけで、その意味では人間が生きていくためには、「必要のない」生き物だったのかもしれません。なんだか、下北半島の「北限のニホンザル」を思い起こさせます。
ところが、個体数がどんどん減って、いよいよ絶滅に近くなると、人間は今度はトキの「保護」に乗り出します。佐渡トキ保護センターができたのは1967年のこと。それ以来、国も県も地元の村も、総力を挙げてトキの保護に努めます。これまでトキの保護にかけられた経費は、なんと50億円にものぼるそうです(日経ビジネスオンライン「地方再生物語」宮嶋康彦)。保護センターのエサ代がすごい。ドジョウは1kg3,000円もする最高級品をわざわざ大分から運んでくるのだそうで。知名度があるから予算もつき、保護にもお金がかけられるというわけか。もっとも、トキがちゃんと棲めるような環境が残っていれば使わなくてもよかったお金ですが、それだけのお金をかけて、トキと共生できる環境を作ってきたととらえることにしましょう。
宮嶋氏によれば、農家の人たちもコメのブランドとして「朱鷺(トキ)」を使うようになるなど、コメ余り、減反政策の中で、トキと田んぼが共生できる風潮がようやく整いつつあるようです。農薬だってずっと前から使用量はずいぶん減っているし、無農薬米にこだわる消費者も増えています。ドジョウだって田んぼに戻ってくるかもしれません。放鳥されたトキのためのビオトープも作られているようです。
トキが増えれば、佐渡も潤う。50億円の費用と27年間の歳月をかけて、そのことにやっと人間は気づいたのかもしれません。ただ、本当の意味の試金石はこれからでしょうね。
とりあえず、放鳥されたトキが、最高級でなくても、佐渡のドジョウやサワガニもちゃんと食べてくれればいいなと思っています。
佐渡トキ保護センターで育てられていた10羽のトキが、9月25日、野生復帰に向けて先日放鳥されました。佐渡の空にトキが舞ったのは、1981年1月、人工繁殖のために最後の野生のトキ5羽を捕獲して以来のことだそうです。2年前、佐渡に行ったときに保護センターのゲージの中で甲高い声で鳴いていたトキたちの中に、この10羽もいたんだろうなと、とてもうれしく思いました。
「ニッポニア・ニッポン」という学名のついているトキですが、実は日本産の種は2003年の「キン」の死によって途絶えてしまっています。現在保護センターにいるトキは、すべて、中国から寄贈されたつがいから繁殖したもので、現在122羽まで増えているのだそうです。保護・繁殖から野生復帰へ。今回の放鳥は、トキの「回復」に向けた新たな段階に入ったものです。環境省は、今後2015年までに60羽ほどを野生に戻すのだとか。放鳥といっても、完全に「手放す」わけではなく、何羽かには背中にGPS付き発信器を背負わせて、野生での生態もしばらくは追うらしい。かわいそうな気もしますが、これも「保護」のためか。
トキの「保護」。それは、トキと人間が共生できる環境づくりということですね。考えてみるまでもなく、トキが姿を消したのはすべて人間のせい。トキのエサであるドジョウやタニシ、サワガニなどが農薬まみれの田んぼからいなくなったことが大きな原因と言われています。あるいは、その美しい羽ほしさの乱獲。そもそもトキは、地元の人にとっては田んぼの苗を踏み倒す「害鳥」だったわけで、その意味では人間が生きていくためには、「必要のない」生き物だったのかもしれません。なんだか、下北半島の「北限のニホンザル」を思い起こさせます。
ところが、個体数がどんどん減って、いよいよ絶滅に近くなると、人間は今度はトキの「保護」に乗り出します。佐渡トキ保護センターができたのは1967年のこと。それ以来、国も県も地元の村も、総力を挙げてトキの保護に努めます。これまでトキの保護にかけられた経費は、なんと50億円にものぼるそうです(日経ビジネスオンライン「地方再生物語」宮嶋康彦)。保護センターのエサ代がすごい。ドジョウは1kg3,000円もする最高級品をわざわざ大分から運んでくるのだそうで。知名度があるから予算もつき、保護にもお金がかけられるというわけか。もっとも、トキがちゃんと棲めるような環境が残っていれば使わなくてもよかったお金ですが、それだけのお金をかけて、トキと共生できる環境を作ってきたととらえることにしましょう。
宮嶋氏によれば、農家の人たちもコメのブランドとして「朱鷺(トキ)」を使うようになるなど、コメ余り、減反政策の中で、トキと田んぼが共生できる風潮がようやく整いつつあるようです。農薬だってずっと前から使用量はずいぶん減っているし、無農薬米にこだわる消費者も増えています。ドジョウだって田んぼに戻ってくるかもしれません。放鳥されたトキのためのビオトープも作られているようです。
トキが増えれば、佐渡も潤う。50億円の費用と27年間の歳月をかけて、そのことにやっと人間は気づいたのかもしれません。ただ、本当の意味の試金石はこれからでしょうね。
とりあえず、放鳥されたトキが、最高級でなくても、佐渡のドジョウやサワガニもちゃんと食べてくれればいいなと思っています。
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