
この冊子、その名もすばり「砂糖」。精糖工業会が毎年発行していて、なぜかうちの職場に毎年届けられます。砂糖の種類、製造方法、日本の糖業の歴史と糖業政策、そして世界の糖業事情。よくよく読んでみると、けっこう読み応えあり(^^)
砂糖の原料は主に2種類で、甘藷(かんしょ=サトウキビ)から作る甘蔗糖と、甜菜(てんさい=ビート、砂糖大根)から作るてん菜糖があります。甘蔗糖はすべて沖縄県と鹿児島県で生産されています。なにしろサトウキビが原料ですからね。一方、てん菜糖の原料であるビートは寒冷な気候を好むので、北海道でしか生産されていません。製造過程を見ると、甘蔗糖はいったん原料糖(粗糖)を作って、それから白い砂糖に精糖していきますが、てん菜糖は、ビートがもともと白いせいか、原料糖を作る過程がなく、直接純度の高い真っ白な砂糖を作れるのだそうです。同じ砂糖でも、熱いところと寒いところで製造過程が異なるのが面白いなあ。ちなみに、2013年の統計だと、日本で消費される砂糖の総量は約200万t、そのうち、国内産は約3割(68万t)しかなくて、その内訳は、甘蔗糖が13万t、てん菜糖が55万tだそうです。サトウキビじゃなくて、ビートのほうが多いとはちょっとびっくり。
歴史的に見ると、日本に初めて砂糖がもたらされたのは奈良時代にさかのぼります。もちろん、当時は極めて貴重品で、調味料というより薬として扱われていたようです。調味料として菓子原料に使われるようになるのは江戸初期の頃。江戸時代には鎖国のおかげで、国内生産も始められます。日本の糖業は、まず琉球や奄美大島の黒糖から始まりました。讃岐の三盆白で知られる和糖の生産も盛んになります。しかし、明治以降、外国産の砂糖が輸入されるようになると、国内の砂糖業はほぼ壊滅状態となってしまいます。日本で本格的な近代糖業が始まったのは、日清戦争で台湾を植民地とするようになってからとのこと。日本の甘蔗糖の精糖技術は台湾で培われたのかもね。
日本人の一人あたりの年間砂糖消費量は17.3kg。世界的に見ると、少ない方です。世界一の砂糖消費国ブラジルなんか、年間58.7kgですから。日本での用途別消費量を見ると、「菓子類」(市販のケーキや和菓子など)が一番多くて27.3%、次いで多いのが「清涼飲料」で21.0%。缶コーヒーとかスポーツドリンクとか、けっこう糖分多いんですよねー。
都道府県別のデータはこの冊子には載っていなかったので、ネットで調べてみたら、ちょっと古いデータですが、意外にも、ダントツで消費量が多いのが長寿健康県として知られる長野県でした。塩分控えめ、糖分多めが長生きの秘訣?! 不思議。私たちの体に糖分はもちろん必要ですが、何事もほどほどに、に越したことはないでしょう。
そういえば、3月10日は「砂糖の日」だったそう。そして、この日は松田聖子の誕生日でもある。というわけで、懐かしい「スイートメモリーズ」でも聴いて、甘く甘く…。
https://youtu.be/34I-3KPKpLE
真剣に好きだった人のことを思いだしました。