カクレマショウ

やっぴBLOG

「公共」という科目。

2015-09-15 | ■世界史

「歴史総合」と並んで、高校の次期学習指導要領のもう一つの目玉は、「公共(仮称)」という科目の新設です。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられることを踏まえて、主体的に社会に参画する力を養うための科目として、必修となる方針のようです。具体的には、授業の中で模擬選挙が行われたり、「良き消費者」になるための体験的な学習が行われたりすることになるのでしょう。あと、実社会とつながるキャリア教育の視点からのインターンシップなども。

 「公民」という教科の下に位置付けられていることの是非はともかく、仮称ではありますが、「公共」という科目名はいいと思う。言うまでもなく、この場合の「公共」は、「新しい公共」という意味の公共であって、決して古い「お上」という意味の公共ではありません。一人一人が「市民」として主体的に社会に参画できるような力や資質、つまり「シチズンシップ」を養っていくための科目と捉えていいでしょう。日本の学校教育の歴史の中で、画期的なことだと私は思います。

 もちろん、シチズンシップを育む教育は、既存の教科・科目の中で既に行われています。「政治経済」や「現代社会」での政治、選挙に関する教育や金融教育、家庭科における消費者教育、(高校ではありませんが)「道徳」におけるモラル教育など。それらの知識を踏まえ、新設される「公共」は、より実践的・体験的な学習内容となるのではないかと期待しています。

 ただ、逆に「公共」という授業が設けられたがために、良き市民となるための教育活動がそこだけに集中してしまってはなんにもなりません。本来は、学校全体の教育活動そのものが「良き市民」となるためのものではなければならないわけで。そういう方向性を示す先導的な科目になればいいなと思っています。


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