カクレマショウ

やっぴBLOG

「お待ちくださいますか?」と「お待ちいただけますか?」

2007-11-01 | ■その他
仕事がらみの文書作成は、どうしても依頼ごと、お願いごとが多いのですが、そんな時よく迷ってしまうのが、「くださる」と「いただく」の使い分けです。たとえば、

・ご出席くださいますようお願いします。
・ご出席いただきますようお願いします。

どっちが正しいのか? どっちも正しいような気もするのですが、「くださる」と「いただく」ではやはり微妙なニュアンスの違いがあるような気もします。

で、ネットで検索して調べてみると、さすが、この分野に長けた方がいるもので、わかりやすい説明をたくさん見つけることができました。

まず、「くださる」と「いただく」はいずれも敬語なので、普通の言い方に直してみると、

くださる→くれる
いただく→もらう

となります。つまり、どちらも「物や行為のやりとり」を指す動詞ですが、主語が違うことに気づきます。つまり、「くれる」は相手が主語、「もらう」は自分が主語です。当然、敬語にした場合、「くださる」は相手の行為に敬意を表するので「尊敬語」、「いただく」は自分の行為をへりくだって表すので「謙譲語」となります。

したがって、

くださる(くれる)→相手が自分から何かをしてくれた場合に使う。
いただく(もらう)→こちらから依頼した場合に使う。

という使い分けができそうですね。

「くださる」と「いただく」の使い分けに悩んでしまうのは、日本語が、主語を省略することが多いからなのですね。というより、主語をわざわざ入れる方が不自然な場合が多い。「あなた様が貴重な資料をお送りくださり」とか「あなた様より私に貴重な資料をお送りいただき」はちょっとヘン。「貴重な資料をお送りくださり」、「貴重な資料をお送りいただき」でいいのです。

この場合も、頼んでいないのにわざわざ送ってくれた場合は「お送りくださり」だし、頼んで送ってもらった場合は「お送りいただき」がより正確な表現だということですね。

同じように、「来てくれた」ことにお礼を述べる時は、ひょっこり来てくれた時は「おいでくださりありがとうございました」だし、こちらから頼んで来てもらった時は「おいでいただきありがとうございました」となります。

では、「お待ちくださいますか?」と「お待ちいただけますか?」はどうでしょうか。どちらも間違いではないようですが、「待つ」のは相手ですから、ここは尊敬語の「くださる」の方が適切でしょう。「いただく」というのは、「~してもらいたい」というこっちの要望や意向を直接伝えてしまう感じがあるし。

ここで気がつくのは、「いただく」の方は過去に「してもらった」ことを表すのに使うぶんにはいいのですが、未来のいつかに「してもらいたい」といった場合は、少しだけ違和感があるということです。やはりこちらの要望がストレートに伝わってしまう言い方は、日本人は得意ではないようですね。「この点についてお考えいただくようお願いします」よりは、「この点についてお考えくださるようお願いします」の方が、柔らかく聞こえますよね。相手の立場になって言葉を使い分けるということを、日本人は知らず知らずのうちにやっているようです。

もちろん、日常会話の中では、「くださる」「いただく」はそれほど厳密に使い分ける必要もないでしょう。ほぼ同じ意味合いで使ってもいっこうに差し支えない、と、どのサイトでも書いてありました。日常のコミュニケーションでは、そんな使い分けより、「言い方」や「言う時の仕草や態度」が大切で、たとえば、「お待ちくださいますか」だろうが「お待ちいただけますか」だろうが、「笑顔」で言われたら、それだけでいいコミュニケーション成立ですよね。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
勉強になりました (ナルト)
2007-11-02 16:17:40
こんにちは。「メロヴィング」で検索していたら偶然こちらに来ました。
勉強になりました。ありがとうございます。
返信する
ありがとうございます。 (やっぴ)
2007-11-04 11:06:47
ナルト様

こんにちは。ご訪問ありがとうございます。
「メロヴィング」ということは、「ダ・ヴィンチコード」ですね。

どうぞいつでもおいでくださいませ…。
返信する

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