カクレマショウ

やっぴBLOG

あけましておめでとうございます。

2008-01-03 | ■その他
今年はねずみ年ですね。

ねずみは、本来人間にとって決して相性のいい動物ではありません。畑を荒らし、収穫した穀物を食い散らす憎むべき相手であり、下水道や天井裏なんぞに住む得体のしれない不気味な存在。一方で、ねずみは、多産や豊穣をもたらす大黒様の使いとみなされたり、時には「愛すべき動物」でさえありました。その代表例はもちろん、「世界一有名なねずみ」ミッキーマウス。

日本のおとぎ話でも、ねずみが登場する物語は各地に伝わっています。有名なところでは、「おむすびころりん」。おじいさんがおむすびを追いかけて転がり込んだ穴の先には立派なねずみの家がありました。「ねずみの嫁入り」は、「日本一の婿探し」が、太陽→雲→風→壁とつながって結局、ねずみが一番偉いというオチ。「小さい」から「かわいい」というだけでなく、ねずみの持つ旺盛な食欲やたくましい生命力に、人間は畏怖さえ感じていたことがうかがわれます。

もちろん、ねずみの「かわいさ」や「賢さ」を強調する童話は、近年の絵本にも数多く見られます。いわむらかずおの「14ひき」シリーズ、なかえよしを・上野紀子の「ねずみくん」シリーズ、佐々木マキの「ねむいねむい」シリーズなどの優れた「ねずみ絵本」。あ、「ぐりとぐら」も野ねずみですね。

外国の童話の「ねずみ登場率」は日本以上かもしれせん。たとえばイソップ童話。「いなかのねずみと町のねずみ」、「ライオンとねずみ」などよく知られた寓話がたくさん登場します。ねずみたちがネコの首に鈴をつけることを決めたはいいものの、さていったい誰が首に鈴をつけに行くのか…という「ねずみの相談」などは、いかにも含蓄に富んだエピソードです。

アンデルセンの「おやゆびひめ」には野ねずみのおばさんが出てきます。「大きなかぶ」で一番うしろを引っ張るのは小さなねずみでした。ペローの「長ぐつをはいたねこ」では、長ぐつをはいたねこが怪物をねずみに化けさせてぺろりと食べてしまうという場面もあります。そして、グリム童話の「ハーメルンの笛吹き男」。ねずみたちは、笛吹き男の笛の音に誘われて集団で川に入って死んでいく。このねずみたちは、「集団自殺」することで知られるレミングという種類。もちろん、「集団自殺」するというのは全くの誤りで、集団で移動する際に、たまたま進行方向に川があってもそのまま入っていってしまうというのが真実のようです。

ところで、「トムとジェリー」は、ネコのトムがネズミのジェリーをいつも追いかけ回しています。実は、ネコがネズミを追い回すのには理由があって、それは、ネズミが十二支の最初に位置づけられていることと関係あります。よく知られた話ですが、こんな話です。

昔々、神様が動物たちに呼びかけた。元旦に私のところに来なさい、12番目までの者をその年の大将としよう。うっかりものネコは、集合する日を忘れてしまい、ネズミに尋ねる。ネズミは新年2日だとウソを教える。さて、元旦の日、一番早く神様のところにやってきたのは、足が遅いからといって朝早く出発した牛。ところが、その背中に乗ってきたのがネズミだった。ネズミは神様の前に来るとひょいと飛び降りて、まんまと一番乗りを果たす。そのあとの順番はご存じのとおり…。収まらないのはネコ。十二支に入れなかったのはネズミにだまされたせいと、それからというもの、ネズミを見ると追いかけ回すようになったとさ。

童話やおとぎ話の世界では、たとえば、キツネは「ずるがしこい」、クマは「おっとりしている」、オオカミは「悪いやつ」、ヒツジは「か弱い」といった割と固定的なイメージがあるのに対して、ねずみは、極めて多種多様な描かれ方をしています。「人間様」にとっては、ねずみは、最も好悪入り交じった動物と言えるようです。

今年もよろしくお願いします。

 


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