カクレマショウ

やっぴBLOG

それでも空はうつろう。

2011-06-15 | ■その他
憎しみは、育ててしまうとそだってしまうものです。
育てないようにすれば、いつしか養分を断たれて枯れてしまいます。
ほとんどの憎しみは、自分の至らなさを棚にあげて相手にある種の甘えを持っていることから生まれているように思います。


吉本ばなな『Q 人生って?』(幻冬舎,2009年)の冒頭に、こんな一節がありました。

なるほどね。「インナーチャイルド」を大切にしている吉本ばななならではの言葉ですね。「内なる自分」の視点から、自己を冷静に観察できるのは素晴らしいことです。おのれの中に巣喰う醜い「憎しみ」さえ、枯らすことができるのさ。普通は、ついつい、「自分の至らなさ」は簡単に棚にあげてしまうんだけどね。

嫌なことはすべて忘れるにかぎる。
だから僕はいつも幸せなんだ。


これは、トーベ・ヤンソンの「ムーミン」シリーズのスニフのセリフ。スニフ、うらやましいね。嫌なことをすべて忘れられたら、それは「幸せ」に決まってる。でも、ん?ちょっと待てよ、と思う。逆に、嫌なことの一つや二つは抱えていないとツマラナイという考え方もある。だって、嫌なことがあるからこそ、そのぶん、うれしいことも2倍うれしいのかもしれないし。

大震災から3カ月。家族を亡くした方が、「3カ月たって、生活は変わったけど、悲しみはあの時と全然変わらない」とぽつんとつぶやいていました。悲しみは、育てなくても決して枯れないもの。忘れようとしても忘れられないもの。

憎しみも悲しみも、嫌なこともいろいろあって、でも今日も風は流れ、空はうつろう。


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