goo blog サービス終了のお知らせ 

カクレマショウ

やっぴBLOG

『ガルシアへの手紙』─誰もが「手紙を届ける人」になるべきなのか?

2007-01-13 | ■本
1521年、世界周航中のマゼランは、フィリピン東部の太平洋上に浮かぶ島に到達しました。1565年には、マゼランを航海に送り出したスペインがこの島の領有を宣言します。その島の名はグアム島。だけど、今はグアムって米国領ですよね。グアム島を米国がスペインから奪ったのが、1898年の米西戦争(アメリカ-スペイン戦争)という戦争です。この時、米国はグアム島のほかに、フィリピンやプエルトリコもスペインから獲得 . . . 本文を読む

『クライマーズ・ハイ』その2─下りるために登る。

2007-01-10 | ■本
安西耿一郎(きょういちろう)。 この物語のもう一人の主人公です。と言っても、その登場シーンのほとんどは病室で意識が戻らぬまま眠り続けている姿なのですが。 安西は、悠木に山登りの魅力を教えてくれた男。同じ新聞社に勤めていると言っても、販売局のたたき上げのため、仕事上はほとんど悠木との接点はありません。悠木は、部下の望月を死なせてしまった頃に安西と出会い、「行きがかり上、仕方なく参加した」妙義山の . . . 本文を読む

男たちの戦い─横山秀夫『クライマーズ・ハイ』その1

2006-12-24 | ■本
横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』を読んでみました。9月にNHKで見たドラマ(再放送)のシーンが頻繁にフラッシュバックしてきて、その結果、登場人物のほとんどが、ドラマに出てた俳優の顔と重なりながら読み終えることになりました。主人公の悠木は、カンペキに佐藤浩市だし、等々力部長は岸部一徳だし、社長は杉浦直樹、安西は赤井英和。物語を活字で追うときに、それはいいことなのかよくないことなのか。この作品に限って . . . 本文を読む

アイディアが浮かぶ場所

2006-11-16 | ■本
あなたにとって、頭が冴えて、アイディアがひらめきやすい場所はどこですか? 「創造性の4B」という話が、時折ひもとく『スウェーデン式アイデア・ブック』(フレドリック・ヘレーン著、中野美奈子監訳、鍋野和美訳、ダイヤモンド社)に載っています。 創造性の4Bとは、次の4つの場所。 Bars(バー) Bathrooms(バスルーム) Busses(バス) Beds(ベッド) 「バスルーム」には、トイレ . . . 本文を読む

ケン・フォレット『大聖堂』─プロローグ

2006-11-12 | ■本
久々に読んだ長編です。上・中・下の3巻。しばらく前に、BOOK OFFで新潮文庫の上巻だけ見つけて買っておいたのですが、長らく「積ん読」として放置され、思い立って読み始めたら面白くて面白くて。で、中・下巻をAmazonで購入しようとしたら、新潮文庫版がなぜか絶版になっているみたいで、ソフトバンクのSB文庫で復刊したものしかありませんでした。訳者が同じ(矢野浩三郎)なので問題ないのですが、これほど評 . . . 本文を読む

NO BORDERな宮沢賢治

2006-10-08 | ■本
先日、久しぶりに岩手県花巻市にある宮沢賢治記念館を訪ねる機会がありました。ここに来るたびに賢治を読み返したくなるのですが、今回は、賢治がエスペラントを学んでいたという展示を見て、改めてなるほどなーと思いました。 エスペラントとは、1880年代にポーランドのルドヴィコ・ザメンホフによって発明された「世界共通語」です。賢治は、世界のいろいろな人に自分の作品を読んでもらいたいという動機から、エスペラン . . . 本文を読む

『半落ち』─「事件」に関わる人間たち

2006-10-01 | ■本
夕べ、NHKでドラマ「クライマーズ・ハイ」の前編やってました。原作を読んでいないせいなのか、ぐぐっとくる骨太のドラマだと感じました。横山秀夫氏の作品は、『動機』と『半落ち』しか読んでいないのですが、来週の後編を見た上で、『クライマーズ・ハイ』も読んでみたい。 横山氏の筆致は本当に硬質です。知らず知らずのうちに眉間に皺が寄ってしまう感じがします。設定上、小説に出てくる会話は男どうしの会話が圧倒的に . . . 本文を読む

いろんな楽しみ方ができる『容疑者xの献身』(東野圭吾)

2006-09-08 | ■本
第134回直木賞受賞(平成17年)。2006年「このミステリーを読め!」ダントツの1位。読んだ人は誰もがおもしろかった、感動した、って言っています。ところで、これってミステリーなんでしょうか? 石神という数学教師が、アパートの隣に住む女性(靖子)とその娘が衝動的に犯してしまった前夫の殺人を巧妙なトリックで隠す、というのが大まかな筋書き。風采のあがらない中年男の石神は、もちろん靖子に惹かれているの . . . 本文を読む

おせっかいな本屋、大賛成。

2006-09-07 | ■本
本を読むことがなぜ大事なのか。 読書はもっとも効果的なキャリア学習だと思います。本には様々な人間が登場します。身近にもいそうな親近感のわく人物から、およそ自分の人生とは関わりを持つことがないであろう人物まで、本の数だけいろんな人の人生があります。「人」が登場しない本であっても、それを著した人の人生は垣間見ることができるでしょう。 中学生や高校生には、何よりもいろんな本を読むことを勧めたいと思う . . . 本文を読む

『99.9%は仮説─思いこみで判断しないための考え方』(竹内薫、光文社新書)

2006-04-07 | ■本
本屋で平積みされていて、タイトルにちょっと惹かれて読んでみました。 世の中の常識や習慣や定説─要するに「正しい」と思われていること─は、全部ただの「仮説」に過ぎず、覆されることが往々にしてあるし、歴史を振り返ってみても実際に仮説が覆されてきた例は数多い、ということをとてもわかりやすく説いてくれる本です。中学生が読んでも理解できるでしょう。というより、中学生、高校生にこそ、読んでもらいたい本です。 . . . 本文を読む

H.F.セイント『透明人間の告白』は超面白い!─その2

2006-02-18 | ■本
完全に「透明」なら目も見えないはず、とか、物理的に透明なのに物や人にぶつかるというのはオカシイ、とか、そもそも「透明」になってしまった原理が理解できない、とか、いろいろな見解があるでしょう。また、小説としても「くどい」、「展開が遅い」という批評もあるようです。 主人公ニック・ハロウェイは、証券アナリストです。彼は透明になってからも、彼を追う「機関」の誘惑に負けることなく、一人で生きていくことを決 . . . 本文を読む

H.F.セイント『透明人間の告白』は超面白い!─その1

2006-02-17 | ■本
新潮文庫の帯に「《本の雑誌》が選ぶ30年間のベスト30 1位!」とあったのにつられて読んでみました。 ある得体の知れない研究所で起こった事故に巻き込まれ、「透明」になってしまったニック・ハロウェイ。彼をつけ狙うのは、「透明人間」を国家的陰謀に利用しようとする機関。行き場所をつけ狙われ、逃げるしかないニック。しかし、彼もまたスリリングな反撃に転じる。勝つのはどっちか…。 「24」を見るのと並行し . . . 本文を読む

ジョン・ダニング『失われし書庫』 

2006-01-08 | ■本
『死の蔵書』、『幻の特装本』に続く古書ミステリー第3弾です。 主人公は元・刑事で今はデンヴァーで古書店を経営するクリフ・ジェーンウェイ。『死の蔵書』では、古書掘り出し屋の殺害事件をメインに据えつつ、クリフがなぜ刑事をやめたのか、そしてなぜ古書店主となったのかについて描いています。『幻の特装本』は、少し切り口を変えて、豪華限定本を製作する職人の世界に焦点を当てた作品。もちろんそこでも殺人事件が起こ . . . 本文を読む

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』で泣けないボク

2005-12-01 | ■本
リリー・フランキーという人はよくわからないけど、不思議なヒトだと思います。2~3度テレビでしゃべっているのを見たけど、誰もがシモネタを期待していて、その中で彼はすんなりその役割を演じていました。私の大好きなみうらじゅん氏も突拍子もない変人ですが、みうら氏ほどはおちゃらけていないような、素直なような。 で、人に勧められてこの本読んでみました。リリー・フランキー氏のこれは自伝的小説、なんでしょうが、 . . . 本文を読む

『懐かしの昭和こども新聞』

2005-11-22 | ■本
本屋で見かけて、ぱらぱらめくってみて、5秒後にはレジに向かっていました。 昭和38年から昭和53年までの「こどもの文化」を新聞形式で復活させるというスタイル。まさに私の「こども」時代とぴったり重なるではありませんか。 この時代というのは、2~3歳違うと、同年代は当然知っていることをまったく知らなかったりする時代です。たとえば、この本では昭和38年のところに紹介されている「忍者ブーム」。子どもた . . . 本文を読む