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カクレマショウ

やっぴBLOG

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』で泣けないボク

2005-12-01 | ■本
リリー・フランキーという人はよくわからないけど、不思議なヒトだと思います。2~3度テレビでしゃべっているのを見たけど、誰もがシモネタを期待していて、その中で彼はすんなりその役割を演じていました。私の大好きなみうらじゅん氏も突拍子もない変人ですが、みうら氏ほどはおちゃらけていないような、素直なような。

で、人に勧められてこの本読んでみました。リリー・フランキー氏のこれは自伝的小説、なんでしょうが、タイトルどおり、「オカン」へのストレートな愛情の物語ですね。オトンというのは、これまた変わった人で、オカンとは離婚はしてないけど長いこと別居状態。「時々」、オカンとボクの間にするすると入り込んできて、何ともいえない存在感を醸し出してはまた消えていきます。

九州で過ごしたどちらかというと「不遇」な少年時代。大学入学と同時に東京に出てきて、卒業してからもなかなか仕事に恵まれず、貧乏生活を送る「ボク」。そこへ病気を抱えた「オカン」が上京してきて奇妙な同居生活が始まる。二人の暮らす雑居ビルの部屋には、「ボク」がらみのいろんな人がたずねてきては「オカン」の手料理をごちそうになる。しかし、そんな生活も「オカン」の死によって終わりを告げる…。

文体がいいですね。テレビで見ている限りは、こんな素敵な文章を書く人とは思えない。どっちが本物のリリー・フランキーかと言われれば、たぶんどっちも本物で、それだけ多芸多才であることに強く惹かれます。ほとんど同年代のせいか、少年時代の頃の記述には、読んでいて思わずうれしくなる箇所が何度もありました。

この本読んで「号泣」した人も多いようです。「親」に対する感じ方がリリー氏と同じ人ほど共感の涙を流せるのかもしれません。要するに、リリー氏がいかに「オカン」を愛していたか、という話ですから。これほどぴったり波長の合う母と息子の形がうらやましいほどです。私がすんなりと「ボク」に感情移入ができなかったのは、一歩引くような形でしかこの小説を読めなかったのは、そんな気持ちがどこかにあったからでしょうか。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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それは、親孝行だからだと思います (れごまま)
2005-12-02 22:59:52
こんばんは

お久しぶりです(訪問は毎日でしたが^^v)。素敵にイメチェンされましたね。

私には本当に痛い小説でした。結局どこまでも親に甘えて、親に迷惑かけて、自分の人生のどこかに「親に足を向けて眠れない」後ろめたさのある人間にはこれは痛い小説です。散々迷惑&心配をかけてきた挙句、親になった私としては、オカンの気持ちもボクの気持ちもどちらも共感できるところがあって辛かったです。

私は本を読んだら、それこそ「オカン」に貸すのですが、今回は手渡すときに「私がお母さんに貸していい小説ではないが・・・」と言って渡しました(汗)

やっぴさんが感情移入できないのは孝行息子だったからではないですか?(笑)
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親孝行じゃありません。 (やっぴ)
2005-12-03 23:30:34
れごままさんお久しぶりです。



お母さんと同じ本を読めるなんていいですねー。でもこの本はそういう意味ではフクザツなのかもしれませんね。なんとなくわかります。



私の場合、少なくとも、リリー氏とオカンの関係とは違うから、ということです。





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