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新東京お土産菓子?

2017年09月03日 | うんちく・小ネタ



京都のお土産ランキングだと、100選とか50選なんていうものもあり、数が多くてどれが上位定番商品なのか、悩んでしまいますが、東京は意外と定番となるお土産菓子が少ないようです。

それでも、「喜ばれるお土産ランキング東京編」・・・っていう調査をすると必ず上位に選ばれるのが「東京ばな奈見ぃつけたっ」。
スポンジケーキ+バナナカスタードクリームで8個入り1080円。
お土産とは言っても、特別な東京とのつながりはないようですが、1991年の発売以来売り上げを伸ばして今や年間生産量3000万本だそうです。
敷居の低さで「買いやすさ」を演出し、昭和のバナナ世代にダーゲットを絞ったマーケティング戦略がよかったのかも知れません。



そう、昭和の日本人はバナナに弱いのです。

病気の時しかバナナを食べられなかった人。
遠足の時、バナナはおやつかどうか迷った人。
バナナの叩き売りに吸い寄せられた人…。

さっちゃんだけじゃない。
みんなバナナが好きなんです。

ところで、バナナは大学の農学部における育種学講義ネタとしても絶大なる人気を誇るとか。
それは、何もしなくても種なしだから。



ふつう、植物が子孫を残すために生殖細胞を作る場合、減数分裂を起こし染色体の数が2組から1組になります。
この生殖細胞が別の個体の生殖細胞と合体して染色体の数が元に戻るのです。両親の性質を受け継いだ新しい個体「2倍体」の誕生です。

ところが、まれに染色体が2組のまま合体し、合計4組できてしまう場合があります。

これは「4倍体」。
4倍体が減数分裂した生殖細胞と、2倍体が減数分裂した生殖細胞が出会うと、2+1で「3倍体」ができます。
3倍体は染色体のセット数が奇数だから正常な減数分裂が起こらないわけです。
だから生殖細胞ができず、種もない・・・。
ふだん食べているバナナは3倍体ということですね。



バナナは自然交配の末に偶然3倍体となった種なしのお手本なのです(ちなみに種なしスイカは人工的に3倍体をつくります)。
そんなお手本3倍体のバナナですが、種がないことが欠点にもなります。種がないバナナを殖やすには株分けしかありません。

なので、遺伝的に全く同じものだらけ。遺伝子の多様性がないということは病気に弱く、絶滅も考えられなくはないのです。

もし絶滅したら、また3倍体バナナを探そうではないですか。

「3倍体バナナ見ぃつけたっ」

こんな商品名でお土産菓子を作ったら売れるかな・・・。