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あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

世界初の探偵社

2010年08月02日 | うんちく・小ネタ

       B3123

世界で最初に私立探偵社を作ったのは、アラン・ピンカートンという人物。彼はイギリスで生まれたが、23歳のとき、アメリカに渡って、シカゴで桶や樽を作る職人になりました。

ある日、材木を探しに森へ入ったら、数人の男がテント暮らしをしているのを見つけます。「怪しい連中だな」と彼は直感して、警察に知らせたところ、偽金作りの一味であることがわかりました。

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                      アラン・ピンカートン

この初手柄で、彼は犯罪捜査に興味を覚え、保安官になります。彼の父親が警察官だったので、やはり、その血を受け継いでいたようでした。それから郵政省の特別捜査官になり、列車強盗や銀行ギャングを片っ端から捕えて、すっかり有名になっていき、1850年に独立して、私立探偵社を設立します。ちなみに創業当時の部下は9人だったとか。

 1.賄賂をもらってはいけない。
 2.わが社は1日24時間、勤務する。

これがピンカートン探偵社の規則で、バッジには、大きく見開いた目の下に、「我々は眠らない」という言葉が彫ってありました。

          

          No75_we_never_sleep

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彼の名探偵振りがアメリカ中に知れ渡ったのは、リンカーンの暗殺を未然に防いだこと。リンカーンが大統領の就任式に出席するため、首都・ワシントンへ行く途中、奴隷解放に反対する南部人が暗殺を計画。ピンカートンはこの情報を部下から知ると、巧みに変装して暗殺団に加わり、まんまと彼らの裏をかいて、大統領を危険から救ったのだそうです。

フォード劇場でリンカーンが暗殺される1年前のことでした。E59bb31568_3 

  フォード劇場とリンカーン暗殺時に座っていた場所と椅子

                                                                  当時のアメリカは、まだFBIのような強力な警察機構がなかったため、ピンカートンは無能な保安官を尻目に、めざましい活躍をし、そのたびに会社は大きくなっていきます。現在でも世界最大の探偵社になっています。ちなみに推理作家のハメットは、ここの探偵社出身だそうです。

       E59bb31789_2 
                   推理作家 ハメット

    
     
   ─☆─ *:'゜☆.:*:' *:'゜☆.:*:'*:*:'゜*:'゜☆.:*:'゜*:'─☆─   
               
              お知らせ
    
    来週よりお盆を含む夏のお休みを戴きたく、
    2週に渡っての更新をお休みさせて下さい。
    その間のコメントの書き込みは、お断り致します。
    改めて8月8日(9日深夜)に、詳細を告知させて
    戴く予定です。
    何卒ご容赦のほど、お願い申し上げます。                    
                       
                        京のほけん屋
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150 コメント

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京のほけん屋様 (NOいちご)
2010-08-02 05:55:52
京のほけん屋様
今回の写真、すごいですね。
こんな時代の写真を集めるのも
大変だったことでしょう。
記事も、導入部分から面白くて、
まさかリンカーンの暗殺にまで
たどり着くとは思いもしませんでした。

8月に入りました。。
お身体を思いっきり休めて下さい。
ブログからは離れて下さいね。
でも、無理かなぁ。
記事を考えたり、写真の手配を
したりと、今後の準備をされてそう・・。
記事を考え、文章に落とし込んでいく
のは、ものすごく大変でしょうし、
こういう時期にやってしまおうというのも、
想像がつくのですが、この夏は、
どうか、ブログ以外でお時間をつかって
下さい。
そうでなければ、毎日毎日、ご自分の
時間をこのブログに費やされて来たのですから。
私たちも、申し訳なくって。
心苦しいです。。。。

アラン・ピンカートンのプロフィールを
教えて下さい。

返信する
NOいちご 様 (京のほけん屋)
2010-08-02 06:49:51
NOいちご 様
コメントに感謝致します。

アラン・ピンカートン(1819-1884)は
スコットランド人の警官の息子として生れ、
1842年にアメリカに移住。

副保安官を経て、1850年に私立探偵社
を設立。当初の主要な仕事は鉄道会社
の護衛でしたが、1861年にリンカーン暗殺
を未然に防ぎ、南北戦争中は諜報活動に
従事しています。

イギリスでは素人探偵が、フランスでは
警察官が大衆読物の探偵役として
主流になっていきますが、アメリカで
それにあたるのは私立探偵です。

都市犯罪をあばく者として、次代の大衆
ヒーローとなるべき職業は、この時期
はまだ、労働運動を弾圧する権力の手先
として、現実世界で暗躍していたのです。


返信する
「探偵」なんてものが生まれたのか――― (ピンチがチャンス)
2010-08-03 00:09:00
「探偵」なんてものが生まれたのか―――
警察組織が当てにならないから・・・。
これはどういうことでしょうか。
警察には刑事事件に関わる全てを
取り締まる権利があったでしょうし、
その権利による正義が平和をもたらして
いたはずなんですが、当時は、平和とは
言えなかったのでしょうか。
京のほけん屋さん、ゆっくり夏休みを
過ごして下さいね。
昼間のお仕事はあっても、夜のブログ
のための時間がなくなれば、睡眠時間も
たくさんとれるかと思います。と、書いても、
今後の記事の事や写真の準備に、時間を
使われるんでしょうね。
無理だけはしないで下さい。
返信する
警察っていつ頃から出来たんでしょうね。 (GOFIX)
2010-08-03 00:09:22
警察っていつ頃から出来たんでしょうね。
このピンカートン探偵事務所って、小説ネタ?
か何かになったと聞きます。
なんていう小説でしょうか?
宇宙や有名小説家の話が出たなと思ったら、
今度はなんと探偵!
な、なんと!と、声が出たくらい、ユニークな
話題が次から次から出て来ますね。
楽しくて面白くて、ためになって、言うことなし。
そして、優しさと包み込む柔らかい空気感が
たまらなく素敵です。

返信する
Unknown (王枚碁津戸)
2010-08-03 00:09:48
不思議なことがありました。
家内がなにか調べたいことが
あったらしく、二つのキーワードを
並べて携帯でインターネット
検索をかけたところ、その検索
結果の二番目に

あんなことこんなこと
京からの独り言
京のほけん屋

が登場したのでした。
調べものが暦やら天文やらの
事柄であれば分からないでも
ありませんが、検索したキーワードは
二つともどう考えてもそうした事柄
とは関係ないものばかり。
検索した結果で見つけた
「京のほけん屋」を見ても、
なぜ、そのキーワードでこのページ
がヒットしたのかは首を捻るばかり。

「お父さん、何でかな?」

と尋ねられましたが、胸に手を
当てても頭に手を当てても
わかりません。
当然、家内の調べものに益する
情報はありません。
幸い、家内の調べものについては
検索結果の1番目と3番目あたりの
サイトで事足りたようで、よかった
のですが、後には、なぜ検索に
引っかかったのかという謎が残る
ばかり。
     何で?

未だこの謎は解けずにおります。
世の中、いや検索エンジンには
不思議なことが時折、起こるようです。


返信する
全国的に猛暑が続いています。 (みちのく一人遊び)
2010-08-03 00:10:24
全国的に猛暑が続いています。
エアコンがないと厳しい季節です。
熱中症にかかる人も増えている
ようですので、みなさんもお気を
付けください。

母が暮らす栃木県の実家の
あたりも、真夏には30度を超え
る日が続きます。それでも母の
家には今もエアコンがありません。
東京より2、3度気温は低いと
いうこともあるのですが、実家
の戸をすべて開けると風通し
がよくなり、少しくらい暑くても
扇風機だけで快適に生活が
できるからです。
実家は100年を超す古い家で、
先人の知恵には感心してしま
います。

夏に戸をすべて開けっぱなし
にすると、大黒柱がむき出し
になります。
小さい頃、その大黒柱に抱き
ついて何とか両腕でつかもうと
していました。毎年繰り返し、
ある年になんとか指先でつか
めるようになったときは、自分も、
大人の仲間入りをしたような
気分でした。

あれほど太いと思っていた大黒柱も、
今では簡単に腕を回せるようになり、
必死に腕を回していたことは懐かしい
思い出になりました。
返信する
京のほけん屋さま (シークレットアルバートアンド)
2010-08-03 00:11:37
京のほけん屋さま
寒い時期が数か月前にあったことなど、
すっかり忘れてしまいましたね。
この暑さ、エアコンで誤魔化しています。
でも、このブログの中は熱い!
みんなのコメントも、その返事も、
このやり取りが他では見つからない、
環を築いています。
その環がHotですよね。
リンカーンって、スパイ行動の火付け役者
だと聞きますが、まさか、ピンカートン
を使ってのスパイ行動?だっあのでしょうか。
このブログ、どんどん、知識が広がりますね。
たまらない魅力です。
返信する
リンカーンの暗殺時には、ピンカートン (おろな民C)
2010-08-03 00:15:34
リンカーンの暗殺時には、ピンカートン
は護衛して無かったのでしょうか?
その時は、もう、護衛をやめてたのかな。

夏休みを早めに取ることにしました。
これだけ暑いと、仕事に出掛けるのが、
もう、辛くて。1週間程度で気温に
変化は出ないでしょうが、気分的にも
違うし、休んだぞという気持ちが、多少の
暑さなら耐えられそうに思ったのです。
1週間のお休みですが、田舎に帰ってきます。
そろそろ休みを取る人も居るのでは。
このブログにの参加数も、変化する
のかもしれませんね、この時期は。。
返信する
ピンチがチャンス 様 (京のほけん屋)
2010-08-03 00:40:16
ピンチがチャンス 様
コメントに感謝致します。

1850年代のアメリカはシカゴ。当時、警察組織
の人数はべらぼうに少なかったそうです。

シカゴ住民の3000人を守るのに12人以下の
人数で捜査に当たっていたというのですから
驚きます。
それに警察官そのものも、ちょっと問題児ばかりで、
これでは不安だという市民の不満が高まって
いたようです。
そこで当局からの要請を受けて、
「ピンカートン探偵事務所」を創設しました。

基本として「対・犯罪者」の組織であり、
いわゆる興信所がやるような浮気調査などは
行っていなかったようです。
主な活動は列車強盗の逮捕であり、
アブラハム・リンカーンの警護であり、
かなり突っ込んだ犯罪捜査・対テロ行動を行う
組織だったようで、「FBI」の前身となったのも
頷けるような活動をしていました。

返信する
GOFIX様 (京のほけん屋)
2010-08-03 00:56:59
GOFIX様
コメントに感謝致します。

この「ピンカートン探偵事務所」を下敷きにして
書かれたのが、シャーロック・ホームズの
探偵シリーズです。
別にホームズものに限らないのですが、なぜか
探偵の周囲に登場する刑事たちは少し、ヌケた
ところがあって、そのあたりは、ピンカートンが
探偵となる背景とクロスオーヴァーしていて
オモシロイですし、ホームズの捜査法なども
ピンカートンを参考にしたところ大だそうですから、
益々、当時の様子とリンクさせながら読むと
楽しくなってきます。

そうなってくると、例えば・・・、

 第一作『緋色の研究』に登場する、下層階級の
 子供たちも、あれは、ピンカートンが考え出した
 ものなのだろうか。そうだとしたら「警察」の動き
 も当時の警察体制が見えて来そうだ・・・・。

と、興味が深まります。

推理小説に探偵が登場するのを少しも不思議に
思わないのと同じく、警察官が活躍するアクション
映画でも、その主人公の警察官に違和感を
抱かないものですが、さてそのはじまりと言うべき、
警察組織はいつ出来たのでしょうか。

耽読した18世紀の小説には、そうした要素は
チラリとも見えないので、やはり19世紀の産物
のように思っています。(米警察組織詳細不明)

ヴィクトル・ユーゴー(Victor Hugo)の
『レ・ミゼラブル』を見ると、主要な登場人物として
ジャベール警視なんていうのがいますから、
それまでには警察機構が出来あがっていたと、
想定して良さそうです。

こういう視点でアメリカの旧い推理小説を読むと、
色々と勉強になりそうです。

返信する