
今から10年ほど前、接待でレストラン「シェ・トモ」でフレンチを食べ、
野菜の味の奥深さに驚嘆したことがありました。
ほんとうに野菜がおいしかったのです。

山梨県境川村の有機野菜農家と契約している同店は、
自然の野菜が持つ旨味を最大限生かす味付けで有名店にのし上がり、
「おいしい野菜を食べるならシェ・トモ」と言われるようになったとか。
この話をJAの野菜部に勤務する知人に熱く語ったところ、
「野菜にはまったのなら野菜ソムリエの資格でも取ってみたら」と
野菜ソムリエの認定団体である「日本野菜ソムリエ協会」を紹介されました。
なんだかおもしろそう。

ところが、野菜ソムリエの資格を取るための認定講座がまあまあ高いのです。
初歩の野菜ソムリエが148,000円。中級の野菜ソムリエプロが320,500円。
最高位の野菜ソムリエ上級プロが、270,000円も取られてしまう。
初歩からの積み上げ式だから、最終的には約70万円以上かけて
資格を買うという感じですね。

それにしても、これだけの受講料を払って野菜ソムリエになったとして、
資格を生かせる仕事があるのでしょうか。
ワインならともかく、野菜のうんちくでメシを食うのは厳しいと思うのですが。
その日の接待では、ワインソムリエに助けられました。
ワイン通の客人を接待した時、ソムリエが客人のこだわりに耳を傾けながら
リクエストに応え、納得のワインを3本、事前に伝えておいた予算ぴったりに
出してくれたのです。

これは助かった。ソムリエの存在意義を痛感しました。
素人の知識では、何十万円かけても通人の意に添うビンテージを出すことなどできません。
将来、日本の食糧自給率がさらに低下し、ビンテージ野菜が登場するようになった時、
接待の席で野菜ソムリエが活躍しているかもしれないと思った次第です。
