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伊福部昭 モスラ対ゴジラ (Soundtrack)

2006年02月12日 02時44分05秒 | サウンドトラック
 先生が作った特撮映画関係の音楽でもっとも好きなの作品のひとつががこれ。この作品はゴジラ映画としても最高傑作の部類ですが、昭和39年という先生の映画音楽の全盛期ということもあって、スケールの大きなオーケストレーション、魅力的な旋律の数々、縦横に張り巡らされたモチーフの完璧な配置などなど、まさに先生が映画という土俵でとった横綱相撲といった趣の作品であります。

 冒頭の「メインタイトル」は、いきなりピアノをひっかく音なども取り入れた衝撃的な音響によるショッキングなサウンドに始まり、すぐさまゴジラ出現のテーマををメインにしつつ、わずかに2分間にこの映画にちりばめられた印象的なモチーフを凝縮しています。なにしろこのメインタイトルがいいです。この映画で実は前半30分過ぎまでゴジラは全く登場しない訳ですが、その分、このメインタイトルでもってゴジラが暴れさせている訳で、音楽面でゴジラ映画として見事にバランスさせているあたり、さすがであります。
 映画の前半では「モスラ受難のテーマ」と僕が勝手に読んでいるモチーフと「聖なる泉」に連なるモチーフが印象に残ります。前者はモスラの卵が漂着する場面等に、後者はザ・ピーナッツが演じる小美人が登場する場面に使用される訳ですが、いずれもこの映画のヒューマンなタッチを盛り上げています。また「マハラ・モスラ」のテーマの変形である「モスラ去る」の哀愁に満ちたメロディーも忘れがたいものがあります。

 中盤ではなんといっても倉田浜干拓地でゴジラが土中から登場する名シーンで使用された「ゴジラ出現のテーマ」でしょう。このモチーフは第1作から現れているものですが、第1作ではまだ萌芽のように形があまり定まっておらず、前作の「キング・コング対ゴジラ」でようやくはっきりとした形をとった訳ですが、名実共にゴジラのテーマとなったのはやはりこの場面からでしょう。そういう訳でここからしばらくはこのテーマが音楽面でも支配的です。
 そして後半になると、このゴジラのテーマとモスラ関連のモチーフを縦横に組み合わせた圧巻の音楽となります。ことに有名な8分にも及ぶ「幼虫モスラ対ゴジラ」の音楽は、その気宇壮大なスケール感はもちろんですが、同時に表現される一種の悲愴感が素晴らしく。ワンアンドオンリーな伊福部ワールドをたっぷり堪能させてくれるのです。

 ちなみに作品は私の音楽的ルーツのひとつであります。私は5歳の時、この映画を愚兄に連れられて映画館でリアル・タイムで観ていますが、その時の印象はかなり強烈なものがあったにせよ、まさかそれが音楽的ルーツになっているとは思いもよりませんでした。同じ年に私はもうひとりの愚兄がビートルズに熱中していたおかげてビートルズという音楽的洗礼を受けたおかげてルーツはそれだとばかり思っていたのです。ところが80年代になって久しぶりにこの映画を観て、私はこれらの特撮映画に実は伊福部音楽を聴いていたことを知ったのでした。

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1 コメント

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素晴らしい (samurai-kyousuke)
2006-03-03 22:43:28
こんにちわ。

「モスラ対ゴジラ」は大好きな一本です。私も当時6才で11才年上の兄に劇場に連れて行ってもらって観賞いたしました。インパクト大でしたねぇ~。トラックバックいただきました。
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