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ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」/パレンボイム&バイロイト祝祭O,コロ,マイヤー他

2009年01月09日 22時56分55秒 | クラシック(一般)
 先日、ペーター・コンヴィチュニ演出によるあまりにエキセントリックな「トリスタン」を観てしまったので、なんだか無性に観たくなったしまったのがこれ。実はあれを観た後すぐにアマゾンでポチっとしてしまった(笑)。この映像は十数年前くらいだったか、確かNHKでオンエアされたものを録画して何度か観ていて、私の「トリスタン」の映像の初体験だったものである。当時は、舞台の設定、例えばイゾルデは16,7歳くらいなはずなのにどう観てもヨハンナ・マイヤーがそうは見えないとか(笑)、オペラを観る時にいってはいけないリアリズムの問題が、実は気になってしかたなかったりしたのだが、久しぶりにこの映像を観たら(このDVDには字幕がないので、翻訳本片手なのだが....)、第一幕あたりでは、前述のリアリズムみたいなところを思い出したりもしたものの、第二幕以降、その美しさに感動してしまった。

 メインのステージには大樹がレイアウトされていて、それが第一幕から第三幕まで絶妙に変化していくのだが、その大樹を中心に展開されるドラマは実に素晴らしい。ルネ・コロに覇気満々なトリスタンといささかお姉さんになりすぎてはいるが(笑)、エレガントな美しさを振りまくマイヤーのご両人が、このドラマに自然に調和しているし、ドラマに忠実に奉仕しているようなバレンボイムの指揮もよく、本当に破綻のない満点な「トリスタン」というところである。第二幕の視覚的な美しさなどおそらく歴史に残るものだろうと思う。ついでにいえば、やはり今回ももっとも感動的だったのは、第三幕、かけつけるイゾルデも全てを許すマルケ王も、全てがトリスタンの譫妄の幻想であったかのように演出されるラストだ。本来のストーリー設定からいえば、非常にトリッキーな解釈なのだが、実には島にもどった瀕死のトリスタンがいまわの際で観た幻想だったというのは確かに涙を誘うものがあって、情緒面々たる余韻を残すものであった。

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