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ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」/メータ&バイエルン州立管弦楽団,マイヤー,ウェスト他

2009年01月04日 22時11分35秒 | クラシック(一般)
 先日、訪台した時に光華商場で格安で購入してきたDVDである。正月休みの最後でもあり、こういう長い休みも当分ないだろうから、オペラでもちょいと鑑賞してみようかなどと、なんの気なしに観はじめたのだが、そのぶっとんだ演出ぶりに仰天してしまった。いや、演奏そのものは、指揮はメータだし、イゾルデは名花ワルトラウト・マイアー、ベルント・ヴァイクルのクーペナルに、クルト・モルのマルケ王だから、実に豪華かつ正統派な布陣による重厚なものだが、ペーター・コンヴィチュニの演出があまりに奇想天外なのである。

 なにしろ、オープニングの舞台はカラフルな遊覧船、そこに現れるイゾルデとブランゲーネはまるで有閑マダムのような風情、別室のトリスタンは顎にシェービング・フォーム塗ってひげそりをしているのだがら、恐れ入ってしまう(笑)。そして、イゾルデとトリスタンがなじり合う場面では、そのひげ剃りナイフをイゾルデに手渡して、さぁオレの首を切れといわんばかりのシーンになるのである。第2幕ではトリスタンが2人が座るであろうソファーをステージの右からひっぱってくるし、第3幕の譫妄の場面では、トリスタンはリモコンを片手にスライドを眺めているという、実にエグイ、エグ過ぎる演出なのだ。極めつけはラスト、トリスタンは死なずステージ脇からイゾルデを眺めていて、愛の死が終わると2人はお手々つないでステージから去っていくという結末には、頭をかかえてしまった(笑)。

 よくわからないが、どうもこの演出家はアメリカのソープオペラのムードを借りて、このオペラを再構成しているようでもあるのだが、その必然性は?、意図は?と考えてみるに、私のような浅学なものにはよくわからないし、正直いって単に奇を衒っているとしか思えないところも散見する。私はそもそもオペラが苦手だし、「トリスタンとイゾルデ」といえば、コロとヨハンナ・マイヤーによる実に正統派(実はそうでもないのだが....)のバイロイト映像をかつて観たくらいなのだから、こういうエキセントリックな解釈はこの世界は日常茶飯事なのかもしれないが、それにしてもこれはちと凄すぎ、これを観ていたら、改めて前記バイロイトの映像がみたくなってしまった。

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