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レオンガヴァレロ 歌劇「道化師」/カラヤン&ミラノ・スカラ座O

2010年01月03日 18時54分08秒 | クラシック(一般)
 ついでに録りためてあった「カラヤンの芸術」からもう一本。レオンカヴァルロの「道化師」である。私はこのオペラについては、漠然と「ヴェリズモ・オペラ」の先鞭をつけた作品くらいの予備知識しかなかったのだが、「ばらの騎士」のように3時間も上演時間のかからない、1時間15分ほどの作品ということもあって、「こういうのを観ようという気も正月の今くらいしかなかろう」と、気楽な気分で観始めた。もっとも、Wikiによれば『妻である女優の浮気に怒り、次第に現実と芝居との区別がつかなくなり舞台上で殺人を犯す老座長カニオの悲哀を描いている』といういかにもイタリア臭い愛憎劇なことが分かったので(そらーそーだよな、だから「ヴェリズモ・オペラ」なんだろうし)、始まってすぐさま「中身はあまり気楽じゃないかもしれんねー」とかちょっと後悔もしたのだが(笑)。

 第1幕はまず道化師の口上から、街にやってきた道化師一座を迎える喧噪、一座の女優にネッダに言い寄るトニオ、ネッダが愛するシルヴィオとの二重唱(これは美しい)と進んでいく。「カルメン」などでもそうだったが、カラヤンの演出はテレビ的なショットを軽快に積み重ねていくスタイルで、ほとんど舞台であることを感じさせない独特のものだ。妻の不貞を知った座長(ジョン・ピッカーズ)がそれでも道化師を演じなければいけない苦悩を歌った部分もドラマチックな美しさがある。
 第2幕は劇中劇がメインとなり、徐々に現実と劇を混同しはじめる座長のカニオが、やがてネッダを殺害するところがハイライトとなる。第1幕の後半と同様、ジョン・ピッカーズが重厚な歌と演技でドラマチックに演じている。オペラブッフェ的な音楽から次第にシリアスな音楽に変わっていくあたりのプロセスは(ここも歌手のアップを交互に切り替えていく非常にテレビ的演出だった)、カラヤンらしくオケを雄弁に語らせ、劇のいっそう迫真性をもたせている。

 という訳で、観終わって感じたのは、この種の情念に満ちた不倫愛憎劇でもって、どちらかの死で終わるカタルシスみたいところは、大昔のイタリア映画なんかでもお馴染みのパターンだが、このオペラにもそうした「イタリアっぽさ」を感ぜずにはいられなかったといったところである。ちなみに、「道化師」と並ぶヴェリズモ・オペラの双璧である、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」も「カラヤンの芸術」でオンエアされたものを録画してあるのだが、こちらはどんな内容なのだろう?。

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