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PAUL McCARTNEY / Paul is Live

2007年11月26日 20時14分11秒 | Beatles
 93年発表のライブ・アルバム。ウィングスを除くと88年の「バック・イン・ザ・USSR 」、90年の「ポール・マッカートニー・ライブ!! 」、91年の「アンプラグド」に続くライブ第4作となるが、「バック・イン・ザ・USSR 」と「アンプラグド」はいささか特殊な内容なので、実質的には2作目という呼び方が妥当だろう。もう何度も書いたとおり、80年代のポールは低迷期にあったようだが、起死回生の傑作「フラワーズ・イン・ザ・ダート」で完全復活、ライブでも最強の布陣ともいえるメンツを集めて、ビートルズ・ナンバーを解禁するなど、いわばポールの音楽史上でもハイライトともいえる絶頂期にあった。「マッカートニー・ライブ!! 」とほぼ同傾向のライブを、約2年ほどのインターバルで出したというのは、ステージ・メンバーでスタジオ入りして完成させた新作「オフ・ザ・グラウンド」のフォローという意味あいも当然あったであろうが、ポールそのものが上り調子にあった勢いのようなものを感じさせずにはおかない。

 メンツはヘイミッシュ・スチュアート、ロビー・マッキントッシュ、ポール・ウィックス・ウィキンス、ブレア・カニンガムにポールとリンダを加えた6人。当然、「オフ・ザ・グラウンド」と同じ布陣だ。ちなみに「マッカートニー・ライブ!! 」で収録された前回のツアーでは、ドラムがクリス・ウィッテンだったが、どういう経緯でブレア・カニンガムに替わったのだろう?。クリスはいかにもブリティッシュ・ロック的なシャープでタイトなドラミングだったが、ブレアのそれは黒人的な粘りと重さがダンサンブルなスタイルで、ある意味対照的なタイプなのだ。個人的にはクリスのややテクノがかった、タイトなドラミングの方がポールの音楽には合っていたような気がするのだが、ボーカルも兼任するリズム・セクションのプレイヤーが演奏する時って、やはり後ノリでゆったりとしたドラムの方が気持ちよかったりするのかもしれない。ちなみに現在のアベ・ラボリエルJrも後乗りなヘビーなタイプである。

 内容的には「オフ・ザ・グラウンド」から5曲、ウィングス3曲、残りはほぼビートルズの曲で占められてられているサービス振りだが、シングル・アルバムのせいもあって、ワンステージをパッケージしたようなコンサートまるごと追体験のような趣はなく、いわばワールド・ツアーのスナップ集のような構成になっている。このあたりは、前作の「マッカートニー・ライブ!! 」との重複は最小限に収める配慮というのもあったのだろう。「オフ・ザ・グラウンド」からの曲はレコーディングした面々で演奏しているせいで、とてもこなれたパフォーマンスだし、ビートルズの曲についてはバンドメンの優秀さを否応なく感じさせる。ビートル的な香りを十二分に尊重しつつ、ニューウェイブ的なシャープさやモダンなギター・バンド的なニュアンスを上手に合体しているところが素晴らしいと思うし、ウィングス時代の曲もそつなくこなしているあたりさすがとしかいいようがない。本当に良いバンドだったと思う。冒頭の「ドライヴ・マイ・カー」や後半の「マジカル・ミステリー・ツアー」など抜群の仕上がりだ。

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