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モーツァルト ピアノ協奏曲第21,27番/バレンボイム&イギリス室内O

2007年05月03日 14時46分52秒 | クラシック(一般)
 バレンボイムはイギリス室内管と組んで、60年代後半から70年代前半にモーツァルトのピアノ協奏曲全集をEMIで完成させていますが、これはその中からの比較的近年に単売されたものです。バレンボイムは確かこの後にベルリン・フィルと組んで新全集を完成させていますから、これなど忘れ去られつつある演奏なのかもしれませんが、80年代の頃は非常に評価の高い演奏だったように記憶しています。当時のバレンボイムは中堅どころのスター指揮者として、レーベルを超えて引く手あまたの活動をしていましたが、そもそも指揮者としてはこの全集あたりがその評価を高めるきっかけになったのかもしれません。

 さて、このCD購入したは既に10年近く前になるのですが、どういう訳か、演奏内容の印象が全く残っておらず、久々に聴いてみたところ、「ははん」ときました。バレンボイムのモーツァルトって、私にとっては(あくまでも私にとってはですが)、いささか鈍重なんですね。特に27番のような羽毛のように軽く、天上的な美しさが際だった曲だと、それが目立ってしまうもんで、おそらく一聴して、「これはオレの好みじゃないな」と思って放置してしまったんでしょう。

 オケが提示する第一主題は実にじっくりとした足取りで進んでいきまして、ある種の壮麗な美しさは感じるんですが、残念ながらこの曲にあって欲しいロココ風な軽やかさは今一歩という感じですし、ピアノも先日レビュウしたアシュケナージもそうでしたが、やや角がまるくシャープさないのが個人的にはイマイチという印象です。もっとも展開部で短調に転じて、そのピークで主題が回帰するこの楽章のハイライトともいえる部分では、かなり濃厚にロマンティックな表現で、これはこれで聴かせてくれますけれど....。

 第2楽章ではこの楽章のメランコリックなところをよく表現していて、多分、全楽章ここが一番良いパフォーマンスなのではないと思いますが、第3楽章になるとまた腰の重い、なにやらベートーベンでも聴いているような重厚な演奏になってしまうんですね。バレンボイムって、先日レビュウしたワーグナー集もも見事にそうでしたけど、緩徐楽章的な音楽は非常に雰囲気ある音楽を展開するものの、リズミックな音楽になるとややシャープさに欠けるようなところがあるんじゃないでしょうか。

 バレンボイムのモーツァルトといえば、交響曲の全集も確かしていたと思いますが、その41番など最終楽章では指定されたリピートの全て実行して10分近い演奏時間をかけ、フルトヴェングラーみたいなテンポの揺れを伴いつつ、まるで後期ロマン派とみまごうようなスケールの大きな音楽を展開していましたけど(これはさすがにCD化されてないと思います、思い出した聴きたくなってきた-笑)、要するにこの演奏もそういうところがあるんでしょうね。

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