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ヘンリー・マンシーニ/料理長殿、ご用心

2010年04月04日 19時00分31秒 | サウンドトラック
 昨夜、というか今朝にTwitterで盛り上がった映画ネタのひとつに、「料理長殿、ご用心」があった。この作品はジャクリーン・ビセットとジョージ・シーガルが主演したお洒落なサスペンス映画だったのだが、何しろ1978年といえば、時代は「スター・ウォーズ」を筆頭にSF大作か、あとは「ジュリア」とか「グッバイ・ガール」のような女性映画がトレンドになっていたため、こういう映画は当時既に珍品の部類になっていたように思う。私はオードリー・ヘップバーンの「シャレード」という映画が大好きだったし、その頃、大のヒッチコックのファンで、かつジャクリーン・ビセットも大好きだったので、これは見逃してなるものかと勇んで劇場に向かったのだった。

 映画自体は、まぁ、たわいもないものといってもよく、ロンドンやパリといったヨーロッパの一流レストランのシェフ達が次々に殺されるという設定で、ジャクリーン・ビセットはお菓子作りのシェフ役で、彼女を助けるの元夫役がジョージ・シーガルという役回り、これに彩りを与えるのがロバート・モーリー、ジャン=ピエール・カッセル、フィリップ・ノワレ、ジャン・ロシュフォールというヨーロッパの名優達が揃った脇役陣に、ある意味この映画の主役ともいえる有名レストランと絢爛たる料理の数々(鳩の料理というのを私はこの映画で知った)といったところであった。
 監督のテッド・コッチェフの演出はまぁまぁといったところだったが、ピーター・ストーンによる脚本はかつて「シャレード」を担当した人だけあって、台詞がなかなかシャレていたように記憶しているし、とにかく、1978年に往年のパラマウント・スタイルというか、それを再現しようしたと意気込みはよく伝わってきた映画だったことは間違いない。主演のジャクリーン・ビセットはまさにそれに相応しい華があったように思う。そしてこの作品にもうひとつ、忘れられない華を添えていたのが、ヘンリー・マンシーニの音楽でなのであった。

 当時のマンシーニは60年代に一世を風靡したかつての勢いはすっかりなくなっていて、この時期の作品としてはせいぜい「10」が目立ったくらいのものだが、この作品は後期マンシーニが残した傑作といえる作品である。私がこの映画のサウンドトラックで覚えているのは2曲で、ファンファーレに始まりバロック風に華やいだムードでわくわくするようなムードを演出するメイン・タイトル、そしてジャッキー扮するナターシャがケーキ作りのところで流れるラブリーな「ナターシャのテーマ」だけなのだが、この2曲は当時自分本来の持ち味を失いかけていたマンシーニが久々に、ヘップバーンの映画にさえ使えそうな持ち味を復活させていて、個人的には「マンシーニのベストスコアのひとつ」とさえ思っているくらいなのだ。
 ところが、この作品のサントラはどういう訳か、公開時にアナログ盤で出たきりで、現在では事実上全く忘れられている。おそらくマンシーニのベスト盤やスコア盤にももこの2曲は収録されたこともないのではないか、極東のいちマンシーニ・ファンとしては残念でならないところである。

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