さて、本編である。シーンの追加、差し替えで30分も長くなったヴァージョンということで、どんな風になっているのか?と、このボックスセットの中でももっとも興味津々のヴァージョンだった訳だが、結論からいうと人間関係の描写が大分増えて(復元?)、従来のものに比べると物語的には筋が通った仕上がりになったかな....という感じ。大きな追加としては、核シェルターみたいなところに一旦閉じこめることに成功するものの、クレイジーな囚人のひとりがその扉を開けてしまい、状況が振り出しに戻るというあたりは、オリジナル・ヴァージョンからはまるまるカットされていた部分で、ドラマ的にはオリジナルに今一歩のメリハリを加えていたように思う。これがあるから最後の追っかけになだれ込んでいく必然性があるのだし....。ただし、牛からエイリアンが飛び出してくるシーンは、特に差し替えによるメリットや必然性は感じられなかった。
ただ、まぁ、こうして修復されたとはいえ、「エイリアン3」という作品が完全に様相を一変させたとまではいえまい。あいかわらず、登場人物の思惑や行動は不鮮明なところは多いし、最後の追っかけも状況がよく見えないままだ。やはり、メイキングで語られたその異常な製作プロセスが災いしているのだと思う。わたし的には武器のない囚人惑星という設定は悪くないと思うし、その状況下で鉛づけにしてトドメをさすというアイデアもなかなかだとは思うのだが、登場人物をもう少し明確なキャラクターをつけ、全体にもう少しすっきりとラストまで雪崩れ込んでいくような直線的な運びであればもっと良かったのに....と思う。言い換えれば、個々の場面は悪くないのだが、出来上がった作品はいくつかのエピソードが繋がっただけの串団子みたいな仕上がりにバランスの悪さを感じてしまうというところか。いや、全編を覆うデビッド・フィンチャーらしい陰鬱なトーンは実に魅力的で、この作品に独特の佇まいを与えてはいるのだが....。
ちなみに音楽はエリオット・ゴールデンサルで、これが出世作といえるかもしれない。音楽的にはゴールドスミスの流儀を踏襲したのか、現代音楽風な音響が主体だが、ここではドラマの設定上からか、宗教音楽的なテイストが随所に取り入れているのが特徴だ。サントラ・アルバムに収録された曲に、「アニュス・デイ」「レント」「アダージョ」といったタイトルがつけられていることからも分かる。つまり「SF的な音響+宗教音楽風なパーツ」といった感じで独特な効果を出している。とりわけ、レクイエムのような使われ方をする「アダージョ」のドラマチックで荘厳さは出色の出来だ。この音楽もちろんラストでも使われるのだが、ニュートとヒックスを溶鉱炉で火葬する場面も印象的だった。
ただ、まぁ、こうして修復されたとはいえ、「エイリアン3」という作品が完全に様相を一変させたとまではいえまい。あいかわらず、登場人物の思惑や行動は不鮮明なところは多いし、最後の追っかけも状況がよく見えないままだ。やはり、メイキングで語られたその異常な製作プロセスが災いしているのだと思う。わたし的には武器のない囚人惑星という設定は悪くないと思うし、その状況下で鉛づけにしてトドメをさすというアイデアもなかなかだとは思うのだが、登場人物をもう少し明確なキャラクターをつけ、全体にもう少しすっきりとラストまで雪崩れ込んでいくような直線的な運びであればもっと良かったのに....と思う。言い換えれば、個々の場面は悪くないのだが、出来上がった作品はいくつかのエピソードが繋がっただけの串団子みたいな仕上がりにバランスの悪さを感じてしまうというところか。いや、全編を覆うデビッド・フィンチャーらしい陰鬱なトーンは実に魅力的で、この作品に独特の佇まいを与えてはいるのだが....。
ちなみに音楽はエリオット・ゴールデンサルで、これが出世作といえるかもしれない。音楽的にはゴールドスミスの流儀を踏襲したのか、現代音楽風な音響が主体だが、ここではドラマの設定上からか、宗教音楽的なテイストが随所に取り入れているのが特徴だ。サントラ・アルバムに収録された曲に、「アニュス・デイ」「レント」「アダージョ」といったタイトルがつけられていることからも分かる。つまり「SF的な音響+宗教音楽風なパーツ」といった感じで独特な効果を出している。とりわけ、レクイエムのような使われ方をする「アダージョ」のドラマチックで荘厳さは出色の出来だ。この音楽もちろんラストでも使われるのだが、ニュートとヒックスを溶鉱炉で火葬する場面も印象的だった。
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