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ブラッド・スウェット&ティアーズ/ニュー・ブラッド

2008年08月11日 23時44分10秒 | ROCK-POP
  これも実に久しぶりに取り出してきて最近よく聴いているものである。BSTが72年に発表した第5作だが、あの時期にロックを聴いていたは知ってのとおり、BST第5作目にしてこれまでない凡作....というか、某巨大掲示板群風にいうと「BST史上最大のがっかり砲」なのであった(笑)。なにしろBSTは1971年に出した4作目の後、2枚目以降のバンドの表看板だったヴォーカル(作曲でも名曲を残した)のデビッド・クレイトン・トーマスが脱退、次いでBSTの理知的なアレンジを担当していたフレッド・リプシャスとデビッド・ハリガンまでも脱退してしまったのだ。例えていうなら、ストーンズからミック・ジャガーとキース・リチャーズが抜けてしまったようなものだろう。だから、この第5作はビル・ワイマンとチャーリー・ワッツ、あとミック・テイラーが中心になって、メンツを補強して作りあげたストーンズの新作みたいなものであった。

 なにしろ音楽的な中心メンバーがいなくなったのだから、音楽的な傾向は変わるに決まっている。どうも今、聴くと本作では前作までのような「ストレートで硬質なロック・スタイルとこれまた古典的な4ビートジャズの合体」というよりは、「ややレイドバックしたポップ・ロック+クロスオーバー風味」みたいなところに、明確に舵を切っているような印象なのだが、当時はまさにこのあたりが明確なバワーダウンとある種音楽の軟弱化を感じさせて、全く受けなかった訳だ。なにしろこのアルバム、日本での発売元であるソニーは音楽誌に大きな広告をのっけ、アルバムには豪華なブックレットを付け、大プッシュして期待を煽ったアルバムだっただけに、そのがっかり砲振りは逆に日本のファンには大きく焼き付けたという感もある。かくいう私もそのクチで、あまりにコレにがっかりしたせいで、あんに大好きだったBSTが、ほとんどの興味の範囲からはずれてしまったほどだから....。
 ともあれ、BSTはこのがっかり砲の後、ブラス・ロックのトップ・バンドの座はシカゴやチェイスに明け渡し、バンド自体はその後、デビッド・クレイトン・トーマスが復帰したりして、紆余曲折をたどりつつ継続したものの、かつての人気、勢いは二度と回復することなかった(もっとも現在でもバンドは存続しているらしいが....)。

 さて、そんなこのアルバムだが、先日レビュウしたチェイス同様、久しぶりに聴いてみるとなかなかいい。当時、あれほど抵抗を感じたジェリー・フィッシャーのボーカル(この人はロック史上、もっとも損な後釜役のひとりだと思う)もすんなり聴けるし、当時、ほとんど聴くに耐えないという印象をもったゴスペル風ポップの「タッチ・ミー」とか「ソー・ロング・デキシー」なども、「いい曲だったんだね~」と感心してしまう。また、前述の「ややレイドバックしたポップ・ロック+クロスオーバー風味」という点では、「アローン」と「スノー・クイーン」がよく出来ていて、ボーカルとインスト・パートのスリリングなバランス、ボビー・コロンビーのタイトなドラミング、ジョージ・ワデニスのジャズ・ロック風なギターなど楽しめる(コロンビーのドラムといえば「スノー・クイーン」のラストのドラム・ソロは当時からカッコ良いと思っていた)。ラストはハンコックの「処女航海」だが、まさにこれなどクロスオーバーそのものな出来で、当時のロック・ファンにはあまりに早すぎたとしかいいようがない音楽になっている。

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1 コメント

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Unknown (a)
2008-08-12 18:03:17
BSTってブラッド・スウェット&ティアーズの略だったのですね。

ただBS&Tだと思ってましたので
ここで初めて知りました。
それほど、チェイス、シカゴに比べては
馴染みないバンド(私は)だったのかもです。
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