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ハイドン 交響曲 第39番『the FIST』/フィッシャー&オーストリア・ハンガリー・ハイドンPO

2009年12月20日 19時02分22秒 | ハイドン
この交響曲39番はト短調です。そうです、モーツァルトの交響曲第40番、あと25番に使われた調性です(ついでにいうとバッハの小フーガもそう)。ディスクには38番に続いて収録されていたもので、ぱっと聴きで「おぉ、さすがはシュトルム・ウント・ドランク期の作品だわー」とか思ったんですが、いつも参照しているサイトで調べてみると、シュトルム・ウント・ドランク期の直前の作品に分類されています。そう考えると、余計にこの作品が珍品のように感じます(もっともWikiだと明快にシュトルム・ウント・ドランク期の作品としていますけど、大局的にみればそうなるのかな)。深刻ぶった作品を愛好する日本人としては、突如こうした作品を作った動機になにやらロマンティックな由来でもあったんじゃないかと勘ぐりたくもなったりしますが、おそらく気まぐれでしょう(笑)。

 まず第1楽章ですが、いかにもト短調したシリアスで暗い情熱に満ち満ちています。弦の細かい動きが転調を重ねて、ドラマチックにテンションを上げていく当たりは、どうしたってモーツァルトの25番を思い出しちゃいますよね。ちなみにモーツァルトが25番を作ったのは1773年、この曲は1768年頃の作曲といわれていますから、ひょっとするとモーツァルトは25番を作るにあたって、尊敬するハイドン師のこの作品を参考にしたという可能性もあるかもしれません。ただ、モーツァルトのような哀しみというより、ハイドンの場合、表だって出てくるのはベートーベン流の「悲愴」といった感情でしょうか。途中何回か休止が入りますが、これがいい効果あげます。あと、構えもきっちりかっちりしているのもドイツ流。第2楽章はかなりリズミカルなアンダンテの楽章、全体にしずしずとしていくらかユーモラスな表情で進んでいきますが、時折りフォルテで驚かすような楽句が頃合いのアクセントになってます。

 第3楽章はメヌエットですが、これはメヌエット部が短調で作られていて(かなり宗教的で敬虔な感じがします)、トリオが長調で田園的になるいつもパターンは逆の構成となっていますが、ここでは圧倒的に短調のメヌエット部の存在感が勝っている感じがします。続く第4楽章は当然ト短調となります。ここでもかなり劇的な様相を呈していますが、多少パースペクティブが開けたようなところがフィナーレに相応しい感じですね。ちなみに標題の「The Fist」なんですけど(iTunesで取り込むとこれが付いてくるんですよね)、これどういう意味合いなんですかね。直訳だと「握り拳」みたいなことになるんでしょうけど、どうも由来がわかりません。調べてみたんだけど、そもそもこの標題を採用している資料が少ないんですよね。どなたか適切な日本語訳教えてくださいませ。

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