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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

シューマン 交響曲第1番/ラハバリ&BRTフィルハーモニーO

2007年07月07日 18時50分16秒 | クラシック(一般)
 昨夜何気なく(そして実に久々に)聴いたシューマンの交響曲の第2番がけっこう良かったもので、本日は出張中の車の中で第1番の方を何回か繰り返し聴いてみた。こちらは一応「春」というニックネームがついていて、当初は各楽章にも「春のはじめ」「たそがれ」「楽しい遊び」「春たけなわ」という標題もついていたらしいが、それほど標題性があるような曲とも思えず、なにやらもやもやとしたうっそうとした響きの中で、随所に春らしい部分が顔を出すというイメージだが、案の定今聴いてもそうとうに渋い作品だ。20代の中頃に聴いて、「なにかいまひとつ実体の掴みがたい曲」と思ったのも無理もないと思う。

 第1楽章はファンファーレのような金管に始まる序奏部で始まり、分厚いもやもやとした響きの中、やがて第1主題が登場するという典型な交響曲第1楽章スタイルだ。この第1主題はシンコペーションの効いたシグナル風のもので、かなり精力的な勢いをもっている。これに対して第2主題の方はややもの悲しい叙情的なもので、かなり対照的な趣があるのはやはりロマン派の感性というべきなのだろう。展開部はややくどいくらい入念に主題操作が行われ(トライアングルの響きが印象的だ)、そのピークで型どおり主題が回帰する訳だけれど、どうもいまひとつ突き抜けたものがなく、なんとなく不完全燃焼のまま終わるような感がなくもない。
 第2楽章はいかにもドイツ~ウィーン流の平穏な田園風景が思い浮かぶ緩徐楽章で、これはとてもいい。昨夜も書いたけれど、こういう音楽は聴く方のコンディションによってはどうしようもなく退屈に感じてしまったりもする訳だけど、今の当方の気分としてはこの楽章のやさしげな雰囲気がなんとも心地よく感じるのだ。

 第3楽章は「楽しい遊び」というには、おっとりした感じとちと妙なものものしさが共存したスケルツォだが、この無骨なムードが印象的なせいで、久しぶりに聴いても、この楽章はよく覚えていた。トリオはふたつあるが最初の方は散文的というか、田舎風景というより、スケルツォの合間におかれた経過的なブリッジのように聴こえる。後の方はメンデルゾーン風なチャーミングなせわしなさが魅力的な。
 最終楽章は確かに「春たけなわ」といった感じの楽しげな楽章で、どことなくブラームスの第2番の最終楽章を思い出させる。ただ、やはりもやもやしたサウンドのせいなのか、リズムがいまひとつシャープでないせいなのか、ここでも聴いていて、もう少し炸裂してもいいのにな....と感じでしまう。という訳で、全体に決して悪くはないのだが、やはりいまひとつなのだなぁ....って、これじゃ20年前と同じ印象だ(笑)。
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ANA CARAM / The Other Side of Jobim

2007年07月07日 00時34分00秒 | Jobim+Bossa
 一昨年取り上げたアナ・カランの「アヴィオン(2nd-`91)」と「BOSSA NOVA(5th-`95)」の間に出た第3作。私はてっきりこの作品「the Other Side Of Jobim」というタイトルからして、「BOSSA NOVA」以降に出した、有名作品の落ち穂拾い的なアルバムなのでは?なとと思っていたのだが、どうも勘違いしていたようだ。それにしても、こういう比較的地味でマニアックな作品集を歌ってから、有名曲を歌うという順序は普通とは逆になる訳だが、こうしたアーティスティックさのようなものは、ともあれ、さすがはアナ・カランという感じがする。もっとも、ボサノバ路線でもってアルバムが売れてしまったので、最初期のオリジナルを中心したシンガー・ソングライター路線は放棄せざるを得なかったという、商売上の理由があったのかもしれないが....。

 音楽的には、ドラムやパーカスを後方に追いやり、シンセ類を極力排除して、アコスティック・ギターを中心に、時にチェロ、オーボエ、サックスなどを配し、その中から彼女のボーカルがぽっかりと浮かび上がってくるという、アナ・カラン初期の独特のスタイルだ。物憂さと一種意志の強さを感じさせるボーカルが、シンプルなアコスティック楽器のとり囲まれ、ぽっかりとオーディオ空間に浮かび上がる様は、チェスキー独特のリアルな空間描写と相まって独特のハイファイ感がある。曲としては、「アナ・ルイーザ」のしっとりとした情感、「オラ・マリア」のそこはかとないドラマチックさといったあたりが気に入ったが、「Falando de Amor」や「Caminhos Cruzados」といった曲での、アンニュイな雰囲気を表現するボーカルとアコースティック楽器との絡みからは、独特の感触があってとてもユニークだ。

 ちなみに録音だが、前述の通りデビッド・チェスキー独特のアコスティックな空間をすっぽりとCDにパックしたようなハイファイ録音で、聴いている感触としてはまるでクラシックの室内楽のような感触がある。逆にいうと、数少ない楽器とボーカルで構成された音楽を空間性豊かに収録されいるため、最近のマルチトラックを埋め尽くした音の洪水に慣れた耳には、この音スカスカな音はちと寂しいというか、寒々しいような感触を感じることもあるが、まるでパフォーマンスが眼前で繰り広げられているようなハイファイ感は凄いものには違いない。
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