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ANA CARAM / The Other Side of Jobim

2007年07月07日 00時34分00秒 | Jobim+Bossa
 一昨年取り上げたアナ・カランの「アヴィオン(2nd-`91)」と「BOSSA NOVA(5th-`95)」の間に出た第3作。私はてっきりこの作品「the Other Side Of Jobim」というタイトルからして、「BOSSA NOVA」以降に出した、有名作品の落ち穂拾い的なアルバムなのでは?なとと思っていたのだが、どうも勘違いしていたようだ。それにしても、こういう比較的地味でマニアックな作品集を歌ってから、有名曲を歌うという順序は普通とは逆になる訳だが、こうしたアーティスティックさのようなものは、ともあれ、さすがはアナ・カランという感じがする。もっとも、ボサノバ路線でもってアルバムが売れてしまったので、最初期のオリジナルを中心したシンガー・ソングライター路線は放棄せざるを得なかったという、商売上の理由があったのかもしれないが....。

 音楽的には、ドラムやパーカスを後方に追いやり、シンセ類を極力排除して、アコスティック・ギターを中心に、時にチェロ、オーボエ、サックスなどを配し、その中から彼女のボーカルがぽっかりと浮かび上がってくるという、アナ・カラン初期の独特のスタイルだ。物憂さと一種意志の強さを感じさせるボーカルが、シンプルなアコスティック楽器のとり囲まれ、ぽっかりとオーディオ空間に浮かび上がる様は、チェスキー独特のリアルな空間描写と相まって独特のハイファイ感がある。曲としては、「アナ・ルイーザ」のしっとりとした情感、「オラ・マリア」のそこはかとないドラマチックさといったあたりが気に入ったが、「Falando de Amor」や「Caminhos Cruzados」といった曲での、アンニュイな雰囲気を表現するボーカルとアコースティック楽器との絡みからは、独特の感触があってとてもユニークだ。

 ちなみに録音だが、前述の通りデビッド・チェスキー独特のアコスティックな空間をすっぽりとCDにパックしたようなハイファイ録音で、聴いている感触としてはまるでクラシックの室内楽のような感触がある。逆にいうと、数少ない楽器とボーカルで構成された音楽を空間性豊かに収録されいるため、最近のマルチトラックを埋め尽くした音の洪水に慣れた耳には、この音スカスカな音はちと寂しいというか、寒々しいような感触を感じることもあるが、まるでパフォーマンスが眼前で繰り広げられているようなハイファイ感は凄いものには違いない。

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