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シューマン 交響曲第1番「春」/インバル&フランクフルト放送響

2007年07月13日 00時11分04秒 | クラシック(一般)
 ムーティのシューマン交響曲全集と一緒に購入してきたもの。デンオンでのインバルはマーラーを手始めに、ベルリオーズ、ラベル、ブラームス、あとショスタコーヴィチなどをシリーズ化して固め打ちのように録音していたけれど、これもそうしたシリーズひとつだったと思う。この全集はシューマンの交響曲をディスクに1曲づつ収め、各ディスクのフィルアップに、なんと新ウィーン楽派のオーケストラ曲が入っているというのが凄い。なんだかセンスがいいんだか、悪いんだか、よくわからない構成である。なんでもブラームスもこの構成でやっているようだから、きっと新ウィーン楽曲を完全にロマン派のフレームの中に収めてしまうという試みが包含されているのかもしれない。まぁ、それもひとつの見識ではある(デンオンというレーベルでは新ウィーンという企画がokにならなかった故の措置かもしれないが)。

 インバルという人は演奏は、オーソドックスでスタイリッシュなところと、バーンスタインの弟子筋だからなのか、表情にけっこう濃淡をくっきりつけたり、テンポをかなり揺らしていたりする主情的なところが、妙な具合に入り交じっているようなものが多いと思うのだけれど、このシューマンもまさにそういう演奏である。全体としては、マーラーやブルックナーと同様、正確なリズムに裏打ちされた、クリーンで清潔なフレージング、精度が高くクリアな響きがするオーケストラ・サウンド、ドラマチックな場面でもあまり粘らずさらりと流すように演奏する軽快さ...,といった今時な演奏をではあるのだが、、例えば第1楽章の再現部後半などにみられるように、加速と減速の対照がかなりくっきりさせ、演奏の振幅を大きくといったりするような部分も随所に顔を出すのである。この人が指揮した演奏の評価をみると、どうってことないとか、なにがいいのかさっぱりわからないみたいなものがある一方、情熱的だとかホットだとかいうものも多いのだが、おそらくこうした演奏だからなのだろうと思う。つまり聴き方によって、レヴァインのようなスタイリッシュな印象を受けたり、ねちっこいバレンポイムのように聴こえたりする演奏なのだ。

 録音はデンオン・レーベルだから、ワンポイント的なホールトーンをたっぶり取り入れつつ、ディテールの緻密さもおろそかにせず、しかも全体としてはあっさりとした仕上がりになっている。ただし、有名なマーラーの録音などに比べると、もう少し音象が近く、押しやコシがあるように感じた。ある意味でテルデックでのブルックナーに近い感触もある音質だなように感じもした。
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