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アート・オブ・ノイズ/インヴィジブル・サイレンス

2006年12月06日 21時16分15秒 | ROCK-POP
 87年に出た新生アート・オブ・ノイズの第1作。新生というのは、それまでこのプロジェクトのコンセプトやポリシーを決めていたと思われるトレバー・ホーンとポール・モーリーがいなくなり、それまでもっぱら裏方的に徹していた音楽職人3人だけで再出発したからです。新生AoNは初期の頃にあった毒気やシニカルさ、ひきつるような音響だとかキリキリするような肌触りは後退したものの、当時最新の飛び道具だったサンプリングでもって、精緻に組み立てられた非常に構築的なテクノ・サウンドに、ややジャジーなキャバレー音楽(今でいえばクラブ風?)を加味したよう趣のサウンドに特徴がありましたが、それがもっとも良く現れているのがこのアルバムということになると思います。

 AoNには、ファンキー・リズムを全面に押し出したダンサンブルな方向、つまりビートボックス路線と、ヴォイス系のサンプリングを多用した静謐でロマンティックなアンビエント系な音、これもあえていえばモーメンツ・イン・ラブ路線を両極にして、アルバムを構成していった訳ですが、このアルバムには、ビートボックス路線としては「レッグス」、モーメンツ・イン・ラブ路線としては「カミラ」が入っています。前者は当時の大ヒット作品ですから、ファンには有名な作品ですが、後者はあまりに話題にならないものの、この路線の傑作中の傑作でしょう。雰囲気的には「モーメンツ・イン・ラブ」そのものなのですが、パーカス+アコスティック・ベース+ヴォイス系サウンドで繰り返されるシンプルなリズムの繰り返しの中、燦めくようなアコピの響き、静謐なストリング系シンセの音、立体的に交錯する各種ヴォイスなど、とにかく精緻極まりないサウンドの中、得も言われぬロマンティックが香気を立ち上る様は、すばらしいの一語につきます。

 ちなみに、このアルバム中のもうひとつの大ヒット作は、マンシーニに「ピーター・ガン」でこれは、アナクロを逆手にとったキャバレー路線の代表作ですかね。AoNはどちらかといえば日本ではこの路線で受けた訳ですが、個人的には最後までなじめなかったなぁ。この路線。
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