パクチーの出荷量は、静岡県が全国トップクラス。
その中でも、袋井市や磐田市が主な産地で周年栽培されています。
袋井市と磐田市・・・と聞いて、
真っ先に思い浮かぶのはマスクメロンの産地だということ。
そう、パクチー栽培はマスクメロンの栽培と深い関係がありました。
今日は、ご近所でパクチーを栽培していらっしゃる
名倉義剛さんのガラス温室を訪問させていただきました。
ガラス温室・・・これでもうおわかりでしょうか?
名倉さんは、元メロン農家。
10年ほど前、温室に使う重油の高騰で、
それまで25年続けたメロン栽培から手を引きました。
その時、JAに勧められたのがパクチーの栽培です。
病気に弱く、虫が付きやすく、天候により成長が左右される・・・
そんなパクチーの栽培にガラス温室が役立ちました。
露地より、ずっと安定した収穫が見込めます。
では、温室の中を見ていきましょう。
【種まき後2週間】
同じ日に種を蒔いたのに、芽が出ているところとそうでないところが・・・。
こちらはも同じ日に蒔いたものですが、こんなに成長しています。
パクチーは、芽の出方、成長の具合に差があります。
だから、種まきは規定の量の1.5倍を蒔くそうです。
【種まき後20日】
この時期は、水を制限して育てています。
目的は、しっかり根を張らせるため。
【種まき後26日】
ここからは、水やりをしっかり行います。
以前は、手で水やりを行っていましたが、
人の手では「一定」ということが難しく、病気が発生したことも。
そこで今は、チューブ潅水。
天竜川水系の井戸水を使っています。
【種まき後30日】
【種まき後36日】
【種まき後42日】
収穫まであと5日です。
今の時期は、種まきから47日で収穫。
冬場は、収穫まで70日かかります。
パクチー栽培で、一番の問題はヨトウムシ。
ヨトウムシがいない10月~翌年4月は、無農薬で栽培できるほどですが、
発生する時期は、農薬の使用にも気を使います。
収穫間際に農薬を使用するわけにもいかないので、
使用は12~13cmになるまでと決めています。
農薬の効果は約1週間あるので、その後は薬を与えなくても
出荷サイズまで無事に育ってくれる・・・という計算です。
根っこの部分を入れて40cmの長さに調整し、
110gずつ束ねて出荷されます。
ほぼ100%業務用として、首都圏に出荷されています。
しかし、この束ねる作業にも苦労があります。
傷んだ葉があるものを一緒に束ねてしまってはいけないので、
それは目で確認しながら、作業していきます。
つまり、老眼が進んだらその作業は難しくなります。
また、根っこの部分はきれいに洗って土を落とします。
冬場は、この作業がきつい!!
名倉さんは、パクチー栽培に乗り出した時、
この根っこを洗うための作業場に、薪ストーブを設置したそうです。
生育温度が25~26℃のパクチーにとっても、
調整作業を行う生産者さんにとっても、
これからつらい季節がやってきます。
でも、ガラス温室の中できらきら輝きながら、
袋井のパクチーは元気に育っていくことでしょう。
名倉さん、ありがとうございました。