UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

少なくとも、殴ったり、蹴ったり、のしかかったりするようなことはなくなったと言えます・・・

2016-11-14 00:28:11 | 日記

昨日、京都弁護士会館で「なぜ、冤罪事件はなくならないの~東住吉事件を考える~ 」と題された講演会がありました。

東住吉事件というのは1995年に大阪市住吉区の民家で起きた、当初「放火殺人事件」とされていた事件です。火災後、若い母親と内縁の夫が、長女が入浴中に保険金目当てで放火、長女を殺害したとされ、いったん取調べで自白したもののすぐに否認、しかし一審、二審ともに無期懲役の判決、最高裁でも上告が棄却され、無期懲役が確定、その後、両人は服役していたのですが、再審請求を行った結果、再審開始が認めら、今年の5月に再審公判が開かれ検察側は有罪の主張を放棄、その結果8月に無罪の判決が下されたれという冤罪事件です

この事件、警察・検察側は火災の原因は放火であると主張していたのですが、弁護団の緻密な再現実験や緻密な調査により、風呂場近くの屋内に停めてあった自動車の燃料タンクからガソリンが漏れ出ており、それに風呂の種火が引火し火災が起きたことが証明されました。

(東住吉事件について、より詳しくは以下のサイトなどとご覧ください)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BD%8F%E5%90%89%E4%BA%8B%E4%BB%B6

GGI、もちろんこの冤罪事件に関心はあったのですが、GGIは知人たちと協力して12月に湖都市内で「望むのは死刑ですか~考え悩む”世論“」と題された、死刑問題討論映画ともいうべきドキュメンタリー映画の上映会を行うことにしていますので、そのPRチラシを配ろうという不純なる下心もあって、この講演会を聴きにいきました。

この事件の弁護にあたった弁護士さんと、冤罪の被害者である、20年ものあいだ拘留され服役していた女性が講演されました。

講演の内容については、今日は省略したいと思いますが、ひとつだけ、やはり未だにそうだったのかと改めて驚いた話を一つ記しておきます。

講演後、質疑の時間がありましたので、GGIも一つだけ質問をいたしました。

「日本弁護士連合会の主張などもあって、冤罪防止のために、裁判員裁判の場合は取り調べの全過程をビデオ撮影などにより可視化することが実行に移されることになりましたが、映像の撮り方や見せ方によっては、間違った印象を与えてしまうという危険性があるのではないか(検察側が有利になるような映像が作られたりしないか)、可視化は冤罪防止のための切り札ではあっても、いろいろな問題点があるのではないか?」という意味の質問をしましたところの、東住吉事件の弁護を行った弁護士さんの答は以下のようなものでした。

「そうですねえ・・・(取調べの可視化は日弁連が主張していたものであるので)可視化について批判的なことを申し上げるのは、ちょっとここでは控えたいのですが、でも少なくともこのようなことは言えます。すなわち、取調べ中に、被疑者を殴ったり、蹴ったり、体重の重い警察官が被疑者にのしかっかたりするという暴力行為が行われることはなくなったと言えます・・・・」

この答を耳にしました、やはりそうだったのかとGGIは新ためて驚きました。

まだ裁判員裁判に限定されてはいるのですが、一応、取調過程の可視化が法制度として定められたのは、まだ昨年あたりのことです。ですから、この弁護士さんの説明からしますと、ごく最近までは、取調にあたる刑事や警察官たちは被疑者を殴ったり、蹴ったり、被疑者にのしかかかったりするという、文字とおりの暴力行為が容認されていたことになります・・・・

取調べの全過程の可視化が義務づけられているのは、今のところ裁判員裁判の対象となる重大事件だけとされていますが、このような重大事件は全事件のわずか3%程度に過ぎません。ですから、まだまだ乱暴な暴力刑事や警官が活躍する余地はあるのです。まだまだ冤罪が生まれる余地は少なからず存在しているのです

冤罪被害者である女性と弁護士さんの話を聞いていて、これまでの例からしますと、確定した死刑判決を取り消すことは司法(裁判官)にとってきわめて困難かつ重大な問題であることを考えると、これが無期懲役ではなく死刑判決であったならば、果たして再審が開始されただろうか、また弁護側の再現実験の結果が新証拠として採用さrただろうか、と思いました

昨年、犯人とされ死刑が確定していた人物が再審請求中に獄死してしまった「名張毒ぶとう酒事件」でも検察側の主張を覆す再現実験が行われ弁護側の反証が行われました。また被疑者とされた人物がすでに死刑を執行されてしまっており、遺族が再審請求を行っている「飯塚事件」でも、弁護側は証人の目撃証言が虚偽であることを証明するための再現実験を行い反証しましたが、再現実験の結果は証拠として採用されず、そのため死刑判決はいまだに覆っていません。

(遺族が再審請求している「飯塚事件」はあまり知られていないのですが、GGIは以前にこの日記にこの事件の弁護を行っている弁護士さんの話を書いたことがありますので、関心のある方は以下のサイトをご覧ください。)

 http://blog.goo.ne.jp/ugugggi/d/20151008

今日の写真は、講演会で、東住吉事件での火災の再現実験の様子を説明している弁護士さんを撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ。

グッドナイト・グッドラック!