このところ、日本の新聞もテレビもノーベル賞関連のニュースがてんこ盛りでありました。確かに日本人受賞者、立派な仕事をなさっているのですが、受賞を記念しての晩餐会のメニューから帰国後の様子を伝えるニュースまで、少々うんざり、もっと報道すべき大事なニュースがあるのじゃない?とイチャモン名人GGIが思っておりましたら、先日の朝日新聞、川柳欄に次のような一句がありました
《ノーベル賞お祭り騒ぎの日本国》
確かにお祭り騒ぎの感はあるのですが、ただしこれはノーベル賞と申しましても日本人が受賞した分野に限られています、日本のメディア、日本人が関係していない他の分野についてはほとんど関心がないようであります
そうした中で、12月10日に他の賞に先立ちノルウェーのオスロで今年のノーベル平和賞の授与式が行われことが報じられていました(朝日新聞は12月11日の第12面、外報面で報じていました、第一面では10日夕刻の授与式を目前にした日本人受賞者の様子を報じていました)
受賞者は北アフリカはチュニジアの「国民対話カルテット」という組織です。2010年末に始まったいわゆる「ジャスミン革命」で独裁政権が倒されて後の混乱の中で、なんとか対話によって政治的対立を解消し、民主化を推し進めてきたことが授賞理由とされています
「国民対話カルテッㇳ」というのはチュニジア労働総同盟、全国弁護士会、人権擁護連名、産業商業手工業連合を指しています
みなさんご存知のように、いわゆる「アラブの春」で知られる、アラブ・イスラム諸国などにおける2010~2012年にかけての一連の独裁政権に対する大規模な反政府運動は、チュニジアの「ジャスミン革命」を起点にして広く様々な国に波及しました。その影響の大きさは今世紀最大の歴史的変動といってよいでありませう
チュニジアに端を発した「ジャスミン革命」の影響はめざましいものでありました、ウィキペディアさんによるますと、政権が打倒されのはチュニジアをはじめとして、エジプト、リビア、イエメン、反政府運動により何らかの結実が見られた国はアルジェリア、モロッコ、サウジアラビア、ヨルダン、レバノン、クウェート、バーレーン、オマーンとされています。まだ、大規模なデモなどに発展して現在も反政府運動が続いている国はシリア、運動が政権側により制圧されてしまった国はモーリタニア、西サハラ、スーダン、ジブチ、ソマリア、イスラエル国境などとされています、
そしてアジアでも、一時は「中国ジャスミン革命」かと思わせる状況になりかけましたが、徹底的に弾圧されてしまいました
いずれの国においても、みなさんご存知のように「ジャスミン革命」後の状況は極めて困難なものであり、エジプトのように実質的に独裁政権に逆戻りしてしまった国もあります、こうした中でイスラム圏では、アフガン・イラク戦争による混乱とシリアにおける反政府運動があいまって「イスラム国」が生まれています、
このような中で、「アラブの春」の発端になったチュニジアのみが、ジャスミン革命後の混沌とした状況の中で、今でも国内でテロの嵐が収まらないなかで、なんとか民主化の努力を続けているのです、このたびノーベル平和賞を受賞した「国民対話カルテット」の面々が「ジャスミン革命」を結実させるために、暴力に頼ることなく対話を通じての民主化に努力を続けているのです
この「国民対話カルテッㇳ」の努力は、テロと「空爆」という名の報復の連鎖、欧米の主要国とロシアなどが「参戦」している「第三次世界大戦」もいうべき混乱極まる状況のなかで、まさに「希望の星」であるというのが、ノーベル平和賞のニュースを知ってのGGIの強き印象であります
これらの四つの団体の代表者は受賞演説でチュニジアの現状について述べています。
「政治や経済、社会、治安の面で課題が山積している。合意の基づく転換を成功させる道のりは遠い・・・私たちはこれからも努力を続け、対話と合意で困難を克服したい・・・それは文明間の対話と多様性の中で平和に共存存することの大切さなのです・・・」
前途多難、でも世界の希望の星、「国民対話カルテット」、のみなさん、ガンバレ!
今日の写真は代表者による受賞演説に真剣な面持ちで聞き入る関係者の面々です(BS2の映像)
グッドナイト・グッドラック!