透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「日本百名山」

2022-07-24 | A 読書日記



 『日本百名山』深田久弥(新潮文庫1978年発行、1995年31刷)の再読を終えた。深田久弥は百名山の選定基準として山の「品格、歴史、個性」を挙げている。さらに付加的な条件としておよそ1,500mという高さの線引きをしている。言うまでもなく登ったことがあることが前提。

本のとびらの前(口絵?)に山のカラー写真が4ページ、それから百名山をプロットした日本地図が折り込まれている。地図は若狭湾、琵琶湖、伊勢湾を結ぶラインで東西に分けられて表裏両面に印刷されているが、100座の内、89座までが東側に、残りの11座が西側という数だ。私が登ったことがある山はごく僅かで、名前を知らない山も多い。長野県は百名山(県境に位置する山を含む)が最も多く、30座近くあるが、日々存在を意識する山は美ヶ原と常念岳。


美ヶ原望遠 撮影日時2020.08.13 午前5時前


常念岳(左のピーク) 撮影日時2013.07.24 午後7時半頃

朝な夕なこんな光景を目にしながら過ごせることを、幸せだと思わないといけないのかもしれない・・・。


追記(7月24日の夕方)

 
                        鹿島槍ヶ岳 2008.12.04撮影

鹿島槍ヶ岳も百名山になっているが、ずいぶん前に国立代々木競技場の第一体育館の屋根の形がこの山と似ているということを書いた。

『日本百名山』でこの山(鹿島槍岳と表記されている)について、深田久弥は**北槍と南槍の両峰がキッとせり上っていて、その二つをつなぐ、やや傾(かし)いだ吊尾根、その品のいい美しさは見倦(みあ)きることがない。**(206頁)と書いている。

文中の吊尾根ということばは代々木体育館の吊構造に通ずる。この体育館の屋根の棟のラインはケーブルが力学的にバランスするカテナリー曲線だ。ちなみに電線のたわんだ様子も同じ曲線。

すごく単純化して捉えれば、この山の稜線と体育館の屋根棟、どちらも作用する重力に逆らうことなく素直に従った結果、似たような形になったと言えなくもないだろう。吊尾根はこのことを言い得ていることばだと思う。いやぁ、この山の稜線がカテナリー曲線に似ているのは全くの偶然だよ、という声も聞こえてきそうだが・・・。


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