透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

仮想世界

2022-02-25 | A あれこれ

 今はそうでもないが、しばらく前までスタジオ収録番組で、一部の出演者が設置された画面に写されてスタジオの出演者と同じようにコメントをするという方法が採られることがあった。その番組をテレビで見ている私にとって、スタジオの画面の中の出演者と実際にスタジオにいる出演者とは同等の存在、両者に違いはない。画面を消すことができたら、両者はまったく区別がつかないだろう(既に技術的は可能だろうが、敢えて画面を消していないのかもしれない)。テレビ画面に映し出されているこのような状態って完全にリアルな現実世界とは言い切れないような気がする。少し仮想世界が混ざった状態ではないのか。少なくとも出演者全員がスタジオにいるのとは違うということは明らかだ。

オンラインで行われる会議などで、参加者は背景を実際とは違う別のものに変えることが難なくできる。リゾート地にいて会議に参加しているのに、背景は部屋の中。あるいはその逆パターンもあるだろう。このような状況も完全にリアルな現実とは違うということは明らか。

AIで復活させた美空ひばりが出演して話題になったのは何年前の紅白歌合戦だっただろう。

長ったらしい説明で言いたいのはリアルな世界と仮想世界の境目は必ずしも明確ではなく、重なっている部分があるということ。今読んでいる『メタバースとは何か』岡嶋裕史(光文社新書)では**リアルと仮想の融合**と表現している(5頁)。

無縁と思っていた仮想世界に私も入り込むことがあるということだ。

**「自分が活躍したり、寛いだりする場所は、必ずしもリアルでなくていい」と言えるほどには、メタバースは現実になっているのである。**(58頁)

この本を読んでいると、混乱してくる。リアルってなんだ?