透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「恋のハレルヤ」

2016-09-21 | A あれこれ

ハレルヤ 花が散っても
ハレルヤ 風のせいじゃない
ハレルヤ 沈む夕陽は
ハレルヤ 止められない
愛されたくて 愛したんじゃない
燃える想いを あなたに 
ぶっつけただけなの
帰らぬ あなたの夢が 
今夜も 私を泣かす

愛されたくて 愛したんじゃない
燃える想いを あなたに
ぶっつけただけなの
夜空に 祈りを込めて
あなたの 名前を呼ぶの

 NHKのラジオ深夜便、朝4時過ぎからの「明日へのことば」というコーナーで作詞家・作家のなかにし礼さんへのインタビューを放送していました。その中でなかにしさんは黛ジュンのデビュー曲「恋のハレルヤ」の歌詞について、若いときの乏しい恋愛体験では作れないということが前作(タイトルは忘れました)の反省から分かり、戦争体験を恋歌に置き換えたということを明かしていました。

燃える思いを あなたに ぶっつけただけなの  この「あなた」とは国家、日本のことと理解してよさそうです。歌詞の根っこにあったのは戦争体験だったんですね。

満州生まれのなかにしさんは終戦後、家族とともに命からがら日本に引き揚げてきたそうですが、その壮絶な体験が作詞家としての原点なんですね。

この「恋のハレルヤ」を作詞したことで作詞家なかにし礼が誕生した、こんな風に語っていました。作詞工場ができたとも語っていたように思います。

黛ジュンの曲では「天使の誘惑」が好きですが、この歌の作詞もなかにし礼さんだとは今まで知りませんでした。


* 本稿には私の記憶違いから正確でない記述があるかもしれません。


「海辺の光景」安岡章太郎

2016-09-21 | A 読書日記



 『虹の岬』辻井 喬/中公文庫は10年ぶりの再読だったが、『海辺の光景』安岡章太郎/新潮文庫は40年ぶりの再読。ちなみにこの本の定価は200円。

本はいい。手元にありさえすればたとえ何十年ぶりであろうと、手にして読み始めることができるから。「海辺」はうみべではなく、かいへんと読むことは覚えていた。

昨日(20日)この本を書店の新潮文庫のコーナーに見つけることができた。やはり名作は残る。カバーのデザインは変わり、タイトルの「海辺」をかいへんとは読んでもらえないらしく、ルビがふってあった。

今週後半の休日に読もうと思う。

カバー裏面のこの小説の紹介文を載せておく。**海辺の精神病院に信太郎は父とともに入院中の母を見舞う。彼は西日のあたる病室に泊まりこんで、母が死ぬまで九日間看病する・・・。戦後の一家の窮乏した生活を回想風に語り、単調な時の動きの繰返しと、その果てにある母の死を虚無的な心象風景の中に捉えて、戦後最高の文学的達成の一つといわれる表題作。**

実に暗いトーンの小説だったことは今でも覚えている。私は暗くなんとも切ない小説に惹かれる・・・。

「忘却の河」然り。過去ログ