透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

和様の技術

2011-01-23 | B 繰り返しの美学

須坂市の普願寺本堂 

 境内の説明板によると現在の本堂は江戸中期、延亨4(1747)年の完成で、長野県内の浄土真宗寺院の中で最も大規模な本堂の一つだそうだ。山門に立つと本堂のシンメトリックな構成の力強さ、堂々とした佇まいに圧倒される。



本堂側面の軒下の組物に伝統的な和様の技術を観る。古建築の部材に付けられた名称はなかなか覚えることができない。尾垂木(おだるき)を二段に組み、その上に斗(ます)を載せ、桁を渡す。そこへ急勾配の地垂木(じだるき)、更にその上に緩勾配の飛擔(ひえん)垂木を架ける。これらの部材は天秤のようにバランスがとれていて、軒を大きく張り出すことを可能にしている。

精緻な建築技術、高い美意識。単に繰り返しの美学などと片付けてしまうことを躊躇う。日本の伝統的な建築文化、いや建築に限らず、広範な伝統文化に触れる機会を持ちたいと思う。


132 小布施の火の見櫓

2011-01-23 | A 火の見櫓っておもしろい


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 須坂から小布施へ移動。所要時間は車で10分くらい。

小布施の町なかに火の見櫓が立っていた。『小布施まちづくりの奇跡』 川向正人/新潮新書によると小布施には毎年120万人の観光客が訪れるという。だが、観光客の中でこの火の見櫓に気が付いてカメラを向ける人など極僅かだろう・・・。

須坂で見た火の見櫓とは違って、すっきりしている。櫓のブレースがアングル材で、直接同材の柱にジョイントされていること、見張り台に照明やスピーカーなどが付けられていないことなどが、その理由か。

平面が四角形の櫓に六角形の屋根が載っている。三角形の櫓と六角形の屋根、四角形の櫓と八角形の屋根の組み合わせなら柱の位置と屋根の下り棟の位置が合うがこの組み合わせだと合わない。だからいままで見かけたことがなかった(と思う)。

この組み合わせに加えて、屋根の上に大きな矢羽根が付いていること、下り棟に用いられた部材の先を曲げているが、クルっと巻いてはいないことなどがこの火の見櫓の特徴。モダンな印象の火の見櫓だ。





129~131 須坂の火の見櫓

2011-01-23 | A 火の見櫓っておもしろい


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須坂市内でまず目に入ったのがこの火の見櫓だった。櫓の中間の踊り場が櫓の外に付いていることとブレースの環状のバックルが大きいことが立ち姿を特徴付けている。櫓はスレンダーだが、存在感のある立ち姿。四角形の櫓に八角形の屋根は納まり上自然。




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この高さで踊り場が無い。この火の見櫓は上り下りするのが怖いだろう。三角形の櫓に八角形の屋根を載せるために円形のフレームを介している。なるほど!な納め方。①の櫓より「スケスケ感」が強いのはブレースの環状バックルとガセットプレートの大きさの違いによる。




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①の火の見櫓と立ち姿が似ている。外付けの踊り場、存在感のあるブレース、円形の見張り台と八角形の屋根が共通している。屋根の避雷針に付けられた矢羽根、縦繁の手すり子も同じ。

松本平の火の見櫓とはずいぶん印象が違う。デザインに地域性があることを実感した(20110123)。