透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「アンストッパブル」

2011-01-08 | E 週末には映画を観よう

■ 「寅さん」と「007」。共に正月映画の定番だった。昔はよく観たものだ(と昔を懐かしむのは歳をとった証拠だという。確かに歳をとった)。

この正月、観たい映画は特になかったが昨日(7日)から「アンストッパブル」が始まった。この映画は実際にアメリカで起こった鉄道事故に着想を得てつくられたという。今日、このハラハラ、ドキドキなパニック映画を観た。

ある操車場に停車中の貨物列車が作業員の不注意というか、ミスによって無人のまま走りだしてしまう。全長800メートルもある列車には大量の化学薬品も搭載されている・・・。暴走する貨物列車を追うヘリ、テレビでは貨物列車をライブで中継する。アンストッパブルな列車を誰が止める、どうやって・・・。

同じ路線で列車を走らせていたベテラン機関士と新米車掌が暴走列車を旧式の機関車で追う。暴走列車の最後尾に連結させて減速させようと試みるが・・・。列車は急カーブの高架に次第に近づく・・・。列車を減速させないと脱線して大惨事に!!

このふたりの鉄道員、共に家族とうまくいっていないことが明かされる。映画ではふたりが家族との絆を取り戻す過程も同時に描かれる。涙もろい中年はラストシーンに涙した。

以前も書いたことがあるが(過去ログ)、映画には観る者に向けてのメッセージが込められているもの。この映画だって単なるパニック映画ではない。訴えたいのは「家族の絆」の大切さだ。





「「鉄学」概論」

2011-01-08 | A 読書日記



 『「鉄学」概論 車窓から眺める日本近現代史』 原 武史/新潮文庫を読んだ。 

私はマニアックな鉄道ファンではないが、この手の本を見つけるとつい手にしてしまう。 巻末の紹介文によると本書は「NHK知る楽 探求この世界」のテキストとして刊行された「鉄道から見える日本」を加筆改稿し編集したものだという。

全八章から成る本書の第一章「鉄道紀行文学の巨人たち」を興味深く読む。この章には紀行文学の優れた書き手として知られる内田百、阿川弘之、そして宮脇俊三の人となりや作品が紹介されている。宮脇俊三の作品では、『時刻表2万キロ』*1や『最長片道切符の旅』*2など、昔読んだベストセラーが紹介されている。



第四章「西の阪急 東の東急」では、東西を代表するこの二つの大手私鉄を比較して、そこに小林一三と五島慶太、ふたりの実業家の手法の違いが現れていると指摘している。

梅田駅と渋谷駅の構造の違いから、旧国鉄すなわち「官」との関係の相違を読み取っていて、なるほど!だった。両ターミナル駅の構造、JR線との位置関係に、一貫して民の世界を歩いた小林と鉄道官僚出身の五島の経営手法の違いが現れているのだという。

ところで内田百といえば、『阿房列車』。新潮文庫に収められているが、未読。これを機に読んでみよう。


メモ
*1 1978年12月
*2 1980年04月

写真を撮るために書棚から取りだした『時刻表2万キロ』。塩尻駅が**塩尻は煤けて古めかしく、機関庫のあたりから蒸機が現れてきそうな風格のある駅だ。**と紹介されている。これは既に解体撤去された昔の木造の駅舎のことだ。松本駅については**新装の駅ビルで眠気覚ましのコーヒーを飲んでからホームで待っていると(後略)**とあるだけで、駅舎に関する記述はない。