透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ナスカの地上絵

2011-01-19 | A あれこれ




 今日(19日)の朝刊に「ナスカ 新たな地上絵」という見出しの記事が載っている。山形大学人文学部の研究チームが人間の頭部と動物とみられる地上絵2点を新たに発見したという。

記事には山形大学提供の写真も載っていて次のような説明が付いている(信濃毎日新聞)。**左側が口、右上が右目、右下が左目とされ、右目の上部に右耳がついている**口を下にしないで左目を下にして載せているのでこのような説明になるわけだが、これは何とも奇妙だ。この向きで見た方が人の顔に見える、という新聞社のアピールなのかもしれない。未確認だが、朝日新聞は口を下にした写真、つまり山形大の発表通りの向きの写真を載せているようだ。

上の写真のように山形大学が右目とした●を下にすると、私には手塚治虫が描いた子どもライオン(ジャングル大帝かなにか)の不安そうな顔に見えるがどうだろう・・・。

既に書いたが、脳は視覚情報を既にストックしてあるデータに帰着させようとする、既知のものだと認識しようとする。人間の脳には●が逆三角形に並ぶと上のふたつの●を目と認識する「クセ」があるのではないか。下の写真のふたつのをタイヤと見て、自動車を横から見たところなどと脳が認識することはあるまい。

ヒトが生まれてまず目にするもの、それは母親の顔だ。まだきちんと見えない状態で脳はふたつ横に並んだ●を目と見て、それをヒトの顔として認識し、データとしてストックする。そして、この最も古いデータをもたらされる視覚情報に優先的に当て嵌めようとするのではないか。それ故、下の写真は、ウィーとか言っている人の顔に見えるはず。

山形大の研究チームが人の頭部(顔)の地上絵を発見したとするならば、見る方向が定まらなければならないのではないか、と思うがどうだろう・・・。上の写真の「顔」はどの●を口と見做しても顔に見える。



手元のこの本に紹介されているサルやハチドリやクモなどとする地上絵(線画)は誰の目にもそのように見え、他のものに見えるということは無いだろう。それらの絵と比べるとこの地上絵を人間の頭部だとするのはどうも・・・、というのが素人の私の感想。


メモ)
『ナスカ 砂の王国 地上絵の謎を追ったマリア・ライへの生涯』  楠田枝里子/文春文庫

写真の顔、青木繁の「海の幸」に描かれた女性の白い顔に雰囲気が似ていると思うがどうだろう。まあ、予めこんな情報を与えられるとそう見えてしまうものだが。