透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

126 全体の構成と細部の意匠

2011-01-09 | A 火の見櫓っておもしろい


126 諏訪市四賀普門寺




 建築の観察のポイントは全体の構成と細部の意匠。

では建築家はこのどちらにデザインの力点を置くか。日本を代表する建築家、丹下健三と村野藤吾の場合(二人とも文化勲章受章者)。丹下健三は全体の構成にこだわっていた。代表作の国立代々木競技場(体育館)にもこのことがよくあらわれている。この建築に近づいて細部を観察しようにもそこにはコンクリート打ち放しの壁があるだけだ。

村野藤吾は細部の意匠。遠くから村野作品を眺めてもあまりおもしろくない。でも、近づくと魅力的な細部意匠に気がつく。遠景の丹下、近景の村野と対比的に評することができるだろう。

ところで全体の構成と細部の意匠、この観察ポイントは火の見櫓にも当て嵌まる。

諏訪市内で見かけたこの火の見櫓の場合は全体構成には特にこれといった特徴というか、魅力は見いだせない。この火の見櫓の特徴、魅力は屋根にある。急カーブを描く四隅の稜線(写真では分からないが)と大きな蕨手、避雷針の根元の飾り、そして軒のひだひだの鼻かくし。これら曲線のデザインがよくまとまっている。

今年も火の見櫓の観察を続ける。もちろん建築の観察も。