■しばらく前に読んだ内藤廣さんの『構造デザイン講義』。カバーデザインに使われているのはJR高知駅のスケッチです。
この新しい高知駅は既に完成していたんですね。
内藤さんは、実質的なデビュー作、渋谷のギャラリーTOMや自邸から最近の作品まで一貫して繰り返しの美学な架構をデザインしています。
ギャラリーTOMの架構は木造ではありませんが、「海の博物館の展示館」で始めて大断面集成材を使って以来、「安曇野ちひろ美術館」や「牧野富太郎記念館」「倫理研究所富士高原研修所」「日向市駅」などで木造(集成材とスチールとを組み合わせたハイブリッドな構造もありますが)の美しい架構を実現しています。
先に挙げた本に収録された講義で、内藤さんは**わたしは、木造こそが最先端であり、工学にとっても建設系のエンジニアリングにとっても、残された唯一の広大なフロンティアだとすら思っています。**と語っています。
木造の場合、技術的に解決しなくてはならない多くの問題がありますし、法的にクリアしなくてはならない課題も少なくないのです。
近代建築が目指した均質化、標準化、工業化に木は馴染まない、と内藤さんは指摘しています。それを承知で敢えて木造にチャレンジしつづけている内藤さんの作品に注目です。
でも高知、遠い・・・。