黎明の廃人日記

最近はやや更新が途切れがち、斜めに流し読み。
貴方にも私にも人生の役には立ちません。

乱歩

2005年08月11日 22時03分46秒 | Weblog
8月11日分の日記という事で。

 さて、今日もほとんど仕事ねぇな~とか思いながらぼけ~っと座っていたら、じわじわと効いてきました冷房病……。午後も後半になってくると、もうくしゃみが止まらなくなってきたりして、正直参りました。会社から引き上げて外に出てきたら、それだけで見事にくしゃみが止まるというのは、もう思いっきりそのまんま。帰りがけに本屋に寄ったら、そっちの店内も冷房がばっちり効いていて、またくしゃみを連発するハメになったのは内緒。寮で過ごしている間は冷房を使わず扇風機だけに頼る生活をしているので、暑いのはまだそれなりに保つのですが、どうやら寒いのに耐えられなくなりつつあるような悪寒が~。困ったもんだ……。
 まあ何はともあれ、明日一日を抜ければ、明後日からは連休に突入です。連休ってか夏休みですよ、夏休み。ああ、良い響きですね、夏休み。でも、夏休みって言われても九日間ってのがちょっと去年まで大学生だった身には寂しい話ですが、社会人としてはこれが普通なんだろうなぁ、とか。九日間もぐったり会社行かずに休んでたら、いざ休みが明けた時に会社行くのきついだろうな~。まあ、休みが明けたら明けたで、メドイだるいウザイ言いつつも、習慣的に会社へ行けるでしょうけれど。考えてみたら、会社入ってから初めての長期連休になるのですねぇ。あれ、五月にも一応連休があったんだっけか? もう覚えてません♪
 既に、平日になると次の休日になるのを待ちつつ、休日になるとぐったり死んでいるという典型的駄目社員になってますが。も~これでいいや。あんまりバリバリ働こうなんて意欲は初めから無いし、そんなに高い給料が欲しい訳でもない。今の水準でも、家賃が安いという最大の利点もあって、収支バランスとしては大幅黒に偏ってますし。寮に入っている以上、その分の不便はかなりあるにせよ、引き替えに得られるメリットは充分に活用すべきですわね♪ つーても、私の場合、その活かし方がひたすら貯蓄行きってのが何というか……色気がないというのか、若者らしくないというのか。
 夢、そんなもの最初からありませんが何か? 目標、そんなものなんて定める気すらありませんが何か? そもそもの大問題として、今何で私ゃ未だに生存してるんだっけか、ということが自分でもひっじょ~に疑問なのですが。生存欲求すらすっぽ抜けてる会社員ってのも、何だかなぁ。死ぬのもメドイし、生存しようと思うと金が要るし、本を買うにも金が要るから、しょーがないので会社員。ああ、な~んて消極的なんでしょ♪

<「乱歩に影響受けた」自殺サイト殺人の前上容疑者>
 インターネットの自殺サイトを利用した連続殺人事件で、逮捕された人材派遣会社契約社員・前上博容疑者(36)が大阪府警の調べに対し、「快楽殺人をテーマにした(推理作家の)江戸川乱歩の小説を中学生のころに何冊も読み、影響を受けた」と供述していることが10日、わかった。
 府警は、前上容疑者の心理解明の手がかりになるとみて調べている。
 前上容疑者は「中学生のころ、女性を窒息させる場面を描いた小説の挿絵に興奮した」と供述。小説の作者は江戸川乱歩だったと言い、「乱歩の作品を色々と読み、人を苦しめながら殺す内容のストーリーに興味を持った」と話した。
 乱歩の研究者らによると、乱歩には、前上容疑者が4年前に起こした傷害事件の手口と同様、女性の口に薬物をしみ込ませた布を押し付けるシーンが登場する作品もあるという。
(読売新聞) - 8月11日9時3分更新

 やはりこういう話が出てきたか、というのがまあ正直な感想なのですが。読んだ本に影響されて人の首を絞めた~、というだけのことであれば、「現代における氾濫する『有害図書』の影響云々……」といったようなもっともらしい解説が出てきそうな感じです。が、さてはてしかし、影響された本というのが江戸川乱歩とはまた。江戸川乱歩も有害図書扱いされるのかどうなのか、一種見物ではありますが、まあ恐らくは「インターネットの闇」というような、これまたもっともらしいけれどもあまりに抽象的な表現によってお茶に濁されるオチが付くのだろうとは予測しています。と言うか、実際既に、テレビに出てくるお偉い教授様がたは、そういったような論評を述べていたようですが。他に適当な言い訳も説明も、私には思い付きませんしね。
 こういう事件が出てくると、加害者はこれこれこういう『異常者』であったのだからこういった尋常ならざる犯行に及び、そしてそういう『異常者』は今回もう逮捕されましたから安心ですよ世間様一般の『普通』の方々、というような報道になります。ただ、よく考えてもみれば、そんなに『異常』なことなのだろうか、という疑問がふと湧き起こってきたりもします。何がしかの名著を読んで感銘を受けた、というような話は、特に有名人やら時の人の談話としてよく聞くものです。つまりはその名著に影響されたと言うことですが、それなら今回の事件にしたって同じことです。どっちも実質としては何も変わりがないし、誰にでもこういうことは起こり得るもの。ドラの格好よい主人公の生き方やら台詞に憧れて真似てみるというのも、まるっきり一緒です。誰にでもあることで、結構しょっちゅうあること。
 つまりお前は世間一般の人がみんな『異常者』の予備軍だと言いたいのか、と訊かれたら、私はその通りだと答えます。『普通』と『異常』の区分なんてものは随分と大雑把なものであり、しかもその基準が入れ替わってしまうことだって頻繁に起こります。戦前と戦後の日本の一大方針転換なんて例もありますし、些細なレベルでの基準の変更ならば随時起こり得るものです。多少うがった見方をするならば、マスコミが「これは異常だ」という概念を提示した時点から、それは『異常』となる、なんてところも無いとは言えないでしょう。言うなれば、それまでは『普通』という部類に含まれていた何かしら、もしくは『異常』という範疇には含まれていなかった何かしらが、これは『異常』なのだと定義付けられることによって『異常』とされる、ということ。かつて、キリスト教が異教の神々を悪魔として断罪したのと同じですね。
 基準、境界というものが至極あいまいで移ろいやすいものであるのは上で述べたとおりですが、となると、その基準・境界によって今までは『普通』だと自分では思っていた人が、ある日突然に周囲から『異常』であるとの烙印を押されてしまうことだって十分にあり得るということになります。転校したら、転校した先で急にいじめに遭った、なんて話がこういう典型例ですね。転校する前の学校では『普通』の側に属していたのに、転校したことによって、外部から来た異端者、『異常』な者と見なされ、そういう扱いを受ける。割と簡単に、誰しもが『異常』者扱いされる可能性があるということですね。結局の所、本の影響だのネットの影響だのとは言われますが、大体においてその時代に目立つもの、槍玉に挙げやすいものが理由として言われることはあっても、ほぼそれが真理を突いている事は無いのでしょう。
 コメンテーターとか評論家ってのは、つまりはそんなもんです。彼らの言は、正しいかどうかではなくて、取り敢えずそれで安心できるかどうか、それだけです。

 最後は、いつもの如し。ようやっと新潮版『白鯨』の上巻を読み終わりましたが、まだ下巻が残ってるんだよなぁ……長い長い。つまらない訳ではありませんが、個人的な好みである、読みやすい物語的な面白さというものとはちょっと違う。どちらかと言えば、一種の学術的な意味合いか、古典文学的な意味合いか、そういった教養面での面白みであって、ちと連打すると疲れそうです。そんな訳で、一旦『白鯨』は上巻を読み終えた所で数日休むとして、ちょっと間に何冊か違う毛色のものを挟んでいこうかと思います。
 で、昨日にブックオフで『サイコ』を一気に八冊買い占めるとかいうことをやってますが、今日は古本じゃあまり売って無かろうということで、正当に本屋で買い集めるべきものを買い込んできました。文庫は『蟲猫』の第二巻目だけでしたが、コミックスの方は『らきすた』を新たにくわえつつ、『ピルグリム・イェーガー』四巻目、『苺ましまろ』四巻目、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』三巻目、『神戸在住』五巻目と大まかに欲しいものは買い揃えた形に。あれ、そういえば、『カムナガラ』の最新刊が四巻なのか五巻なのか、調べておくのを忘れてました……。まあ、そっちは後回しにしても良いか、別に。
 ぼちぼち、新規の範囲拡張はここいらで一旦打ち止めかな~という気はしています。あんまり連打で一気に広げすぎると、割とバテるので。ひとまず欲しいものは、コミックスに関しては一気に揃えてしまったので、ここいらで増加ペースは落ちてくるかな、と。と言うか、普通落ちるだろうという冊数になってます。今月だけで既に何冊になってるかは、まあ今月分に関しては日記の最後に列挙が入ってるので、そっちを見れば分かりますが。今月は序盤からかっ飛ばしてるな~、ペース。

〈今日も本を数えてみよう〉
読み:文庫『白鯨』上巻
買い:文庫『蟲猫』二巻、コミックス『らきすた』一巻、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』三巻、『神戸在住』五巻、『ピルグリム・イェーガー』四巻、『苺ましまろ』四巻
途中:なし
累積読破:文庫6冊、コミックス13冊
累積購入:33冊

それでは。