とだ九条の会blog

「とだ九条の会」公式HPに併設=「とだ九条の会ブログ」でネットワークを広げます。

アーミテージの靖国問題

2006年07月27日 | ニュース
7月20日、アーミテージ前米国務副長官が行った産経新聞との会見内容が発表されました。
アーミテージ前米国務副長官といえば2000年10月に当時の大統領選挙の結果にかかわらず取られるべき対日政策として超党派の専門家グループで研究され、発表された『米国と日本――成熟したパートナーシップへ』と題された報告書、いわゆる『アーミテージ報告』をまとめた張本人で、その後、第一期ブッシュ政権の国務副長官を務めた人物です。
その報告書では、「成熟したパートナーシップ」としての日米同盟関係を、「米英関係が模範」としたうえで、「日本の集団的自衛の禁止が、同盟国としての協力の制約となっている。この制約を取り除くことによって、より緊密で効率のよい防衛協力が可能になる」と、改憲の必要性を迫っています。
ここで描かれている日米再編の狙いは、“大西洋の対岸に英国、太平洋の対岸に日本”と、最重要同盟国を配置した軍事大国アメリカの世界戦略です。
その後、この「アーミテージ報告」の方向で日本政府は、売国的にも米国政府の要求を無批判に受け入れ今日に至っているわけですが、このように日本の平和と安全に深く関係し、憲法九条の改変を執拗に求めるアーミテージ氏が、今度は産経新聞の会見に応じ、小泉首相の靖国参拝に言及したものです。

このアーミテージ氏は今年1月にも、小泉首相の靖国神社参拝を擁護する発言をしています。 1月14日付の日本経済新聞に掲載されたインタビューで「小泉首相の靖国神社参拝に対して 中国と韓国が腹を立てる理由はわかるが、両国がもう少し理解を示してもいいのではないか」と述べ、「小泉首相の参拝が米国外交を多少複雑にしている点は疑う余地がない」としながらも、「首相は平服で参拝し、参拝が個人的な信念に基づいたものであることを明白に示した。首相が個人的な信念をもつことは許される」と発言しました。
この時もアーミテージ氏は「靖国は症状に過ぎず、問題それ自体ではない。症状にだけ注意を向けていたら、問題の核心を見失う」とし、「日本と中国、韓国が理性的な通常関係を構築できるかどうかを論議すべきだ」と主張しました。
中日関係については「中国が望ましい方向に向かわない可能性に備え、(日本が)手を打っておくことも重要だ」とし、「米日安全保障協力を強化するために演習を増やし、相互運営能力を高めなければならない」と強調しました。

いみじくも、今回のアーミテージ氏の発言ニュースは、昭和天皇の「靖国参拝に不快感」のメモが発覚したこととほぼ同時でしたが、アーミテージ氏が日本の平和と安全に影響ある人物だけに、この主張も見ておく必要があります。
以下、参考までに産経新聞より今回の会見内容を転載します。


リチャード・アーミテージ前米国務副長官は産経新聞と会見し、米国の視点から日中関係 の現状や靖国問題について語り、中国政府が日本の首相に靖国参拝の中止を指示することは不当であり、米国も靖国問題にはかかわるべきではないとの見解を表明した

ブッシュ政権一期目に国務副長官を務めたアーミテージ氏は「ブッシュ大統領が『日中関係は単なる神社への参拝よりずっと複雑だ』と述べたように、靖国論議は日中関係を難しくした原因ではなく、難しい状態があることの症候(つまり結果)だ」と語り、日本の一部にある「首相の靖国参拝が日中関係を悪化させた」という主張を排した。日中関係の改善についても「日本よりまず中国が何をすべきかを考えるべきだ」と強調した。

日中関係悪化の主要因としては、「歴史上、初めてほぼ同じパワーの両国が北東アジアという同じスペースを同時に占めるようになったため、安保や領土など多くの問題が起きてきたことだ」とし、過去の歴史では日本と中国のいずれかが総合国力で他方よりもずっと優位にあったのが対等な位置で競合するようになったことが現在の摩擦を引き起こしているとの地政学的な見方を示した。

首相の靖国参拝について、(1)米国社会で犯罪者も丁重に埋葬されるように、A級戦犯も含めて戦没者などの先人をどう追悼するかは日本自身が決めることで、とくに死者の価値判断は現世の人間には簡単に下せない(2)中国は日本への圧力の手段として靖国問題を使っているため、日本側が譲歩して首相の参拝をやめたとしても、必ず別の難題を日本にぶつけてくるだろう(3)小泉首相は公人ではなく私人として参拝することを強調したが、中国側はその「譲歩」を全く認めず、靖国だけを問題にしているのではないことを印象づけた-などという点を指摘した。

アーミテージ氏はさらに「中国政府は日本の首相に靖国神社に参拝するなと指示や要求をすべきではない」と中国の対日要求を不当だと断じ、とくに「民主的に選出された一国の政府の長が非民主的な国からの圧力に屈してはならない。小泉首相には中国が靖国参拝反対を主張している限り、参拝をやめるという選択はない」と強調した。

ただし、靖国境内にある軍事博物館の遊就館については「戦争に関する一部展示の説明文は日本で一般に受け入れられた歴史の事実とも異なり、米国人や中国人の感情を傷つける」と述べた。
同氏は米国の対応についても、「米国政府が靖国や他の戦没者追悼の方法に関して小泉首相やその後継首相にあれこれ求めるべきではない。助言や意見を非公式に述べることは構わないだろう」と非関与を提唱した。

【リチャード・アーミテージ氏の略歴】 1967年、米海軍兵学校卒、海軍軍人としてベトナム勤務。73年に退役し、国防総省勤務、上院議員補佐官を経て83年にレーガン政権の国防次官補。2001年から04年末まで国務副長官。現在はコンサルタント企業「アーミテージ・アソシエイツ」代表。



■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 21世紀を「平和の世紀」に... | トップ | 各紙世論調査とも、次期首相... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ニュース」カテゴリの最新記事