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「明文改憲」と「解釈改憲」(2)――小沢民主党の解釈改憲戦略

2007年12月24日 | ニュース
昨日に引き続き、憲法会議の「学習討論集会」での渡辺治氏の講演「集団的自衛権と改憲問題」から、「明文改憲」と「解釈改憲」について見ていきたいと思います。(文責:サイト管理者)

渡辺氏は、歴代自民党政権下での「明文改憲」と「解釈改憲」の戦略の系譜を詳しく述べた上で、特に1990年代の冷戦終焉以降、世界がガラリと変わったこと、つまり米国や日本の多国籍企業がそれまでの社会主義経済圏までにも一気に市場が膨れ上がった状況の中で、経済グローバリゼーションにともなう改憲論が登場したと指摘しました。
それまで10億人だった市場が40億人、50億人と膨れ上がったわけで、その市場で大企業が安心して活動できる世界として維持するための「警察官」の役割を米国が引き受けることになったわけですが、そうした新しい世界秩序を守るために米国は日本に「ただ乗り」は許さないと軍事分担を強く求めるようになったのです。日本企業の海外展開を背景とした財界も、米国の軍事分担の要求に追随し、自民党政府に圧力をかけるようになりました。
そうした中で、それを保障するために確実な「明文改憲」論が強くなるのですが、「明文改憲」を打ち出して自民党政権がひっくり返ってしまったら元も子もないため、なかなか「明文改憲」に手をつけられなかったといいます。
渡辺氏は、そうした状況を打開するために、当時自民党の幹事長だった小沢一郎氏が考えたのが「解釈改憲」と「政治改革」=小選挙区制の導入だったと指摘しました。
護憲の最大野党であった社会党を潰すため小選挙区制を導入すれば、組織力のない社会党をぶっ壊すことができる――その目論みはまんまと図に当たるわけですが、「明文改憲」を追求していただけなら、米国や財界の要求に間に合わない、そこで小沢氏は「解釈改憲」=憲法九条に手を触れないで自衛隊を海外に出動させる体制づくりを構想したわけです。そこで登場したのが「国際貢献」論。「憲法九条があるからといって国際貢献しないでいいのか」という理屈で論陣が張られました。
渡辺氏は、当時の状況として櫻井よし子氏が月刊誌『諸君!』で小沢氏と対談した際、小沢氏が「解釈改憲」優先路線を取っていることに対し、「あなたはなぜ明文改憲という王道を取らないのか。卑屈な解釈改憲でゆくのか」と鋭く難詰したことを紹介しています。この問いに小沢氏は、「明文改憲は理想だが、間に合わない。そんなことを待ってられない」とはっきり本音を語っているのです。「明文改憲」派の右翼の“王道”をゆく櫻井氏に対し、それは“理想”だが間に合わないので「解釈改憲」に突っ走る小沢氏の基本姿勢がよく分かる問答と言えます。(つづく)


【参考】『月刊 憲法運動』9・10月合併号(憲法改悪阻止各界連絡会議刊、665円+税)

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