昨日に引き続き、「拡大抑止」について、国際問題研究者で「非核の政府を求める会」常任世話人の新原昭治氏が「非核の政府を求める会ニュース」2007年7・8月合併号(第221号)で解説していた「つづき」をご紹介させていただきたいと思います。(サイト管理者)
■“相手の殲滅”が目的
ブッシュ戦略における「拡大抑止」は、これまでの米国の戦略にも見られなかったほどの、重大な危険をはらんでいます。それは、2002年の核態勢見直しによって確立されたブッシュ新核戦略の中で、「拡大抑止」が圧倒的な核・通常両戦力の攻撃力による相手の殲滅をその目標として位置づけたことにもとづいています。この「拡大抑止」が、相手の攻撃力の「無力化」を目標とした「ミサイル防衛」と一体となって、いまや日米同盟の中核に位置づけられたのです。
これは、日本をアメリカの危険な核・通常両戦力の先制攻撃戦略にもろに巻き込むもので、いかなる国の核使用計画をも拒むという圧倒的な日本国民の原水爆禁止の意思をふみにじる暴挙です。
■核兵器使用禁止・廃絶の世論を大きく
マンハッタン計画参加の経験から核兵器廃絶のために真剣に努力されたノーベル平和賞受賞者の故ロートブラット博士が、「拡大抑止」をきびしく批判した発言が残っています。ロートブラット博士は、「『拡大抑止』政策の追求は、核兵器をいつまでも保有することを含意している。米国が現実にとっているこの政策は、明らかに核兵器の先制使用を意図している」ときびしく批判して、「人類に対する犯罪である核兵器の使用をどのようにして正当化しうるのか」と問いかけています(2001年3月)。
日米同盟を際限なく拡大強化する一環として、北朝鮮の核兵器開発を最大の口実に、日本をアメリカの核・通常両戦力の先制攻撃態勢にがっちりと組み込んだ「拡大抑止」の宣言に対置して、私たちは核兵器使用の禁止と核兵器廃絶の実現をすみやかにかちとらなければなりません。そのためにも、日本を核兵器使用戦略の拠点として利用することに強く反対し、非核の日本を実現する国民的な意思を内外に鮮明に示す世論を大きくひろげる必要があります。
【出典】「非核の政府を求める会ニュース」2007年7・8月合併号(第221号)より
http://www1.odn.ne.jp/hikaku/
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