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国際社会の変化無視し、派兵恒久化めざす09年「防衛白書」

2009年07月21日 | 国際・政治

7月17日、防衛省は1970年以来、今回で35回目となる2009年版「防衛白書」を発表しました。

その特徴は、
■第一に海外派兵を恒久化する「一般法」を整備することが「有意義」と述べているように、海外派兵強化の狙いをむきだしにしていること。
■第二に北朝鮮や中国などの動きのあれこれをとらえて「軍事脅威」論をあおっていること。
■第三に「宇宙開発利用に関する取組」という項目を新たに設け、宇宙の軍事利用方針を初めて表明していること。
■第四に前回の白書発表以降、田母神俊雄航空幕僚長(その後更迭、定年退職)が、過去の日本の侵略戦争を「濡れ衣(ぬれぎぬ)だった」とする、政府見解に反する「論文」を発表する事件が起こりましたが、この問題について根本問題を反省していないということ。
■第五に「核兵器のない世界」を国の目標に掲げるオバマ米政権登場の意味も深く吟味せず、“世界の変化が見えない”白書となっているということ、などです。

この間の大きな動きとしては、「海賊対処」を口実とした自衛隊の海外派兵です。ソマリア沖へ護衛艦や哨戒機を出動させ海外への派兵態勢を強める一方で、白書は「海洋政策に関する取組」という項目まで設け、海外派兵恒久法の制定を「防衛省として…検討していく必要がある」と初めて表明しました。「海賊対処」派兵特措法は期限のつかない事実上の恒久法で、海外での武力行使に道を開くものであり、
憲法違反の派兵恒久法制定には国民の多くが反対しているのは当たり前です。「海賊対処」を名目にすればいつでもどこにでも自衛隊を派兵できる態勢づくりは決して容認できません。

北朝鮮の核実験は、国連安保理決議(2006年)や朝鮮半島の非核化をめざす6ヵ国協議共同声明(2005年)に反する暴挙であって、絶対に許すことのできない軍事的な挑発であることは確かです。しかし、だからといって国際社会は軍事対応を強めているわけではありません。安保理決議1874は国際社会の一致した意思にもとづいて、国連憲章41条の非軍事的措置によって北朝鮮に核開発計画の断念をせまっています。そんなときに日本政府が北朝鮮問題や中国の「軍事脅威」をあおって、軍事力を強化するのは、国際社会の意思に反する以外の何ものでもありません。

また、「宇宙基本法」の具体化として今回初めて宇宙の軍事利用方針に言及していることは重大です。これは海外作戦の際の軍事通信や戦場の軍事動向を把握するために宇宙を利用しようというものであり、弾道ミサイル対処用という早期警戒衛星の保有がアメリカ本土の防衛につながることも否定できません。

そして田母神問題に関して、白書では高級幹部が「自らの社会的地位を踏まえた適切な言動を行う責任があることを十分に自覚すること」「部外に対して意見を発表する場合に必要な通報を行っていなかった」とするだけで、田母神氏のような考え方が防衛省・自衛隊にまん延しているという根本問題は反省していません。

さらに、米国との関係では「米国の相対的な優位性は軍事面を含め低下するとの指摘があるが…引き続き最も影響力を有する国家であることに変化はないものと考えられる」とし、ブッシュ前政権の対外戦略を無批判に紹介するとともに、オバマ大統領のプラハ演説については「核兵器のない世界を目標にする」ものの、「一方で米国が単独で核軍縮をすることはないとしている」などと述べ、米国主導の核軍縮を望まないかのような表現になっています。

このように2009年防衛白書は、世界の情勢の変化をふまえず、組織の重大な欠陥を点検もせずに、北朝鮮問題や国際テロ問題を口実にして海外派兵を常態化し、日本がアメリカとともに海外で戦争する国に変えるよう、「進化し続ける」としています。こうした危険な姿勢は絶対に認めるわけにはいきません。
異常な「軍事同盟絶対」の政治から脱却し、自主・自立の平和外交に転換することが重要です。

【参考】2009年7月19日付け「しんぶん赤旗」

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