ビジネス法務2007年7月号の巻頭エッセー「地平線」に棟居快行大阪大学大学院高等司法研究科教授が「憲法学から見た商事法」を寄稿されている。言い得て妙の、鋭い視点である。
「わが国の商法典は・・・官権的・規制的発想が強く見られ・・・ツギハギ状の議員立法は・・・国家による経済政策の手段であることを露骨に見せつけたゆえに、克服されるべきであった」
正しく、そのとおり。
「行政による事前規制から司法による事後規制へという行政改革のかけ声は・・・司法に『あるべき私的自治』の姿の決定権を、良くも悪くも与えることに帰着する。ところが司法による正義は、事の性質上、ドメスティックで弱者保護的である・・・ミクロの正義は達成されるかもしれないが、国際標準に準拠した公正で透明なルールとは言い難い・・・資本主義の競技場にあっては、『結果の平等』でなく『チャンスの平等』がひたすら志向されるべきであり、裁判所を含む国はそこだけを監視する行司役に徹すればよい」
「あるべき私的自治」の在り方を立法、行政が決めるというのも背理であると思われるので、司法に委ねざるを得ない。しかし、「ミクロの正義は達成されるかもしれないが・・・」は、確かにそのとおり。会社法改正の柱が、「やりたい人がやりたいことをできるように」ということだったので、ある意味無制約に近い自由が付与されてしまったたわけである。しかし、
「新会社法・・・には政令省令委任事項も多く、それが国際標準の取り込み口として機能するのか、それとも隠れた官権的規制の手段となるのか気がかりなところである・・・プレーヤーの意識改革が決め手であることは疑いない」
本来的に言えば、「あるべき私的自治」の在り方を司法に委ねるのではなく、プレーヤーである会社及びサポーターである法律専門家等が自らあるべき秩序を構築しようという意識を持たねばならないと言えよう。
「わが国の商法典は・・・官権的・規制的発想が強く見られ・・・ツギハギ状の議員立法は・・・国家による経済政策の手段であることを露骨に見せつけたゆえに、克服されるべきであった」
正しく、そのとおり。
「行政による事前規制から司法による事後規制へという行政改革のかけ声は・・・司法に『あるべき私的自治』の姿の決定権を、良くも悪くも与えることに帰着する。ところが司法による正義は、事の性質上、ドメスティックで弱者保護的である・・・ミクロの正義は達成されるかもしれないが、国際標準に準拠した公正で透明なルールとは言い難い・・・資本主義の競技場にあっては、『結果の平等』でなく『チャンスの平等』がひたすら志向されるべきであり、裁判所を含む国はそこだけを監視する行司役に徹すればよい」
「あるべき私的自治」の在り方を立法、行政が決めるというのも背理であると思われるので、司法に委ねざるを得ない。しかし、「ミクロの正義は達成されるかもしれないが・・・」は、確かにそのとおり。会社法改正の柱が、「やりたい人がやりたいことをできるように」ということだったので、ある意味無制約に近い自由が付与されてしまったたわけである。しかし、
「新会社法・・・には政令省令委任事項も多く、それが国際標準の取り込み口として機能するのか、それとも隠れた官権的規制の手段となるのか気がかりなところである・・・プレーヤーの意識改革が決め手であることは疑いない」
本来的に言えば、「あるべき私的自治」の在り方を司法に委ねるのではなく、プレーヤーである会社及びサポーターである法律専門家等が自らあるべき秩序を構築しようという意識を持たねばならないと言えよう。